PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2016年12月16日 (金)

【PMスタイル考】第119話:コンセプトを作る

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Concept20

◆はじめに
PMスタイル考も今回で119話になるが、これまでコンセプトの話をしていないことに気がついた。コンセプト作成についてはちょうど今、日経Sysytemsで1年間の連載を行っているほか、コンセプチュアルスキル講座でコンセプト企画のセミナーもやっているのにちょっと意外だ。

というわけで、今回のテーマはコンセプトを作る。


◆なぜ、今、コンセプトなのか

日本人はモノ作りはうまいが、コンセプトを作ることが下手だといわれる。その通りだと思うが、モノ作りに比べるとコンセプトを作ることに対して関心がないようにも思える。抽象的な思考を好まず、あくまでもモノという具体的な対象で考えることを好む。

モノについていえば、これもありだと思う。ところが、複数のモノを併せてシステムを作らないとならない場合や、サービスのように本質的に概念的なものを作らないとならない場合にはコンセプトを作ることが不可欠である。ITの分野でイノベーションが生まれないという問題があるが、これもシステムやサービスにおいてコンセプトが作れないところに原因がある。

これが最近、コンセプトに関心が高まってきた理由である。私たちが開催している講座にきてくれる人の多くはエンジニアなのだが、エンジニアの場合、コンセプトって何ですかという質問にちゃんと答えられない人も少なくない。



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2016年11月18日 (金)

【PMスタイル考】第118話:責任を設計する

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Sekinin1

◆プロジェクトの進め方

今のプロジェクトマネジメントで教科書通りにできていないことの一つは、権限と責任の決め方です。プロジェクトマネジメントでは

(1)タスクを決める
(2)タスクを遂行する組織と責任を決める
(3)責任を果たせるように権限を決める

というのが普通の考え方ですし、多くのプロジェクトマネジャーはそのように認識していると思います。

ところが現実にはそうなっていないケースの方が圧倒的に多いように思います。まず決めているのはプロジェクト体制であることが多いようです。つまり、まず、権限を決めているのです。

そのように進めると、小さなタスクを実施するにも、意思決定をするに当たって政治的な要素が入ってきます。それを権限委譲してなんとかスムーズに進めようとしますが、政治の上の話になりますので、なかなかうまく行きません。どうしても、権限を持つ人が介入してきます。

ということで、今回のPMスタイル考は、責任と権限について考えてみたいと思います。

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2016年10月27日 (木)

【PMスタイル考】第117話:価値を中心にプロジェクトを考える

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◆プロジェクトマネジメントの変化

プロジェクトマネジメントのスタートはオペレーションマネジメントだった。テーラーの時代にはオペレーションは繰り返し同じことをやる定型なものだったが、徐々に非定型になってきて、マネジメントをするには初期に計画が必要になってきた。加えて、非定型の中に不確実な要素が加わり、不確実性のマネジメントが必要になってきた。

さらに、現場のオペレーションから、経営のオペレーションまで対象にするようになってきた。つまり、予め計画された価値を実現することから、価値を企画し、価値を実現することまで、すなわち価値創造がプロジェクトの範囲になってきた。

プロジェクトマネジメントに求められる役割もこのような変化に併せて変わってきた。初期においてはオペレーションをいかに失敗せずに行えるかがプロジェクトマネジメントの役割だったが、今では価値を創造することがプロジェクトマネジメントの役割になってきた。詳しくは、

好川哲人「プロジェクトマネジメントの基本」、日本実業出版社(2011)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01BC58H2E/opc-22/ref=nosim

を読んで欲しい。

ところが、プロジェクトマネジメントはなかなか、価値創造に結びつかない。今回のPMサプリはこの問題について考えてみたい。

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2016年10月14日 (金)

【PMスタイル考】第116話:説明をデザインする

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◆説明とは何か

PMスタイルはWHYを中心に書いているが、今回のPMスタイル考はちょっと新しい試みでHOWを中心にして見ようと思っている。そこで「説明のデザイン」という行動テーマを取り上げてみたい。平たくいえば、説明をどのようにするのかという話をしたいと思う。

まず、説明とは何かというところから始めたい。説明という言葉は意外と定義しにく言葉だが、たとえば、

・事実の原因や背景、結果を明確にするようにその事実をまとめて述べること
・事実を明確にして、概念をわかりやすくすること
・なぜに答えること

といった定義があるようだ。ただ、これだけでははっきりしないので、説明と似ているが説明ではない概念を集めてみるとたとえば以下のようなものがある。

描写:行為、人物、出来事をそのまま述べること
定義:正確で字義的あ意味を述べること
指示:何かをするように指図、または命令をすること
詳述:詳細な情報を提供すること
報告:出来事について口頭で述べたり文章でまとめたりすること
例証:アイデアなどを明確にするのに役立つ例

日常会話の中で説明という言葉を使うときには報告とか、描写などが混ざっているこ
とも少なくないと思うが、厳密にいえばこれらは別物である。



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2016年10月 3日 (月)

【PMスタイル考】第115話:PDCAからOODAへ

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Ooda

◆不確実な環境で計画をどうするか

今ではITプロジェクトではすっかり定着してきた感があるアジャイルだが、アジャイルかウォーターフォールかという議論がずいぶんされてきた。この議論の本質は計画をどう考えるかという点にある。

たとえば、事業環境の変動によりプロジェクトの不確実性が非常に高いとする。このときに、どのような対応をするだろうか。大きく分けると、計画や管理を厳しくするか、計画や管理を緩くするかのいずれかである。

従来のプロジェクトマネジメントでは、前者を選択することが多い。例えば、計画を緻密にし、進捗報告のサイクルを短くして、変化に対応する。一方で、リスクの抽出を綿密に行い、変化をできるだけ早く捉えるようにするといった方法を取る。

一方で、計画ができないと考え、計画や管理を緩くすることも考えられる。アジャイルプロジェクトマネジメントはこの考え方を前提にしている。

計画を重視すべきかどうかの違いは、変化が想定できるものか、できないものかにある。想定できる変化であれば、計画を緻密にし、リスクマネジメントを強化すれば対応できる可能性が高いが、変化が想定できなればそもそも計画的なアプローチは極めて難しい。無計画だと言われるのは実がこういうケースが多い。



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2016年7月19日 (火)

【PMスタイル考】第114話:洞察について考える

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◆洞察

「洞察」という言葉がある。辞書を引くと

「物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜くこと。見通すこと。」

といった説明がされている。一般にはあまり使われない言葉だったが、最近、やたらと洞察をタイトルやテーマにした書籍が目立つようになってきた。原因は本質を見抜くことに対する関心が高まってきたことだろう。

一方でロジカルシンキングが普及してきて、論理的に考え、意見を述べることは普通になってきた。ところが、論理的であるにも関わらず、何か釈然としない、違和感があるといったことを感じることが多いと感じている人も少なくない。

実はここに洞察が必要な局面があるのだ。



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2016年5月30日 (月)

【PMスタイル考】第113話:パラドックスを受け入れる

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Paradox久しぶりに書きたいテーマがあってPMスタイル考を書くことにした。そのテーマは、パラドックスを受け入れることだ。

数々の賞を受賞しているベテランジャーナリストのジェフリー・ロスフィーダーが、ホンダに関する書籍を書き、ホンダらしさを実現しているのは

・パラドックスを受け入れていること
・三現主義
・個性を尊重すること

の3つだと指摘している。非常に興味深い指摘だが、おそらく、三現主義や個性の尊重はある程度、実践している企業があるが、パラドックスを受け入れているのは数少ないのではないかと思い、今回のPMスタイル考でテーマにした。

ジェフリー・ロスフィーダー「日本人の知らないHONDA」、海と月社(2016)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212548/opc-22/ref=nosim



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2016年1月31日 (日)

【PMスタイル考】第112話:経験を活かすにはどうすればよいか

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◆なぜ、理論は使えないと考える人が多いのか

理論と経験のどちらを重視するかと聞かれると、多くの人は経験だと答えると思います。多くの人はあまり理論は役に立たないと考えているからです。今回のPMサプリはこの問題について考えてみたいと思います。

まず、なぜ、理論が役に立たないと思っている人が多いのかと言う問題について考えてみましょう。この問題は2つの側面があります。一つは理論化されている範囲が狭く、そのため現実の業務の範囲をカバーできていないという問題です。現実に起こっていることを整理し、理論にするという理論の成り立ちを考えるとこの問題は対応できない問題です。ただ、多くの場合、現実に起こっていることから理論を構成し、そして、多くの人が理論を活用するという手順で考えるとこのこの問題はそんなに多くないように思います。

むしろ、多いのは2つ目の側面で、理論をどのように現実の問題に使えばよいかが分からないという問題です。たとえば、組織論で得られている知見を現実の問題に取り入れている組織は非常に少数です。リーダーシップ論を取り入れているリーダーはリーダー全体でみれば数えるほどしかいないでしょう。このような状況は、アプローチも含めて、どのように理論を現実の問題に適用すればよいかが分からないので起こっているものを考えられます。

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2016年1月29日 (金)

【PMスタイル考】第111話:続・システムについて考える~なぜ、システムが必要なのか

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◆デザインとは問題解決に役立つかどうかに価値がある

第109話で、システムについて考えるという話をチームという観点を中心にしました。今回は、その続きとして、デザインという視点からシステムについて考えてみたいと思います。

iPhoneがこれだけメジャーな製品になったのは、デザインが良かったからだです。では、よいデザインとはどういうものでしょうか。よくアートとデザインは違うと言われます。アートの良さは非常に主観的なものです。

まず、よいデザインとはここにポイントがあります。よいデザインは問題解決を行うものに限定されます。よいデザインとは厄介な課題を解きほぐすものです。言い換えると何かの手段であるのがデザインです。

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2016年1月14日 (木)

【PMスタイル考】第110話:プロジェクトのマネジメントについて考える

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Project2

◆プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメント

プロジェクトマネジメントというと、基本的な認識はオペレーションのマネジメントであり、コスト、時間、品質のバランス、つまり、スコープが管理の対象になります。言い換えると、できるだけ安く、速く、良いものを作ることが目的になります。

日本では15年くらい前にプロジェクトマネジメントが注目されるようになり、IT業界、製薬業界、製造業を中心に普及してきました。学んだ先は米国で、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)のまとめたPMBOK(R)の導入を中心に行われてきました。

しかし、米国には製品開発プロジェクトに関してはもう一つのマネジメントがありました。それはプロダクトマネジメントと呼ばれるものです。米国ではプロダクトマネジメントで価値のマネジメントが行われ、プロジェクトマネジメントでその実現オペレーションのマネジメントが行われていました。もっと一般的にいえば、戦略マネジメントがあり、そのオペレーションをマネジメントするのがプロジェクトマネジメントでした。

にも関わらず、日本はプロジェクトマネジメントの部分だけを導入しました。なぜ、このようになったのかと考えてみると、日本でプロジェクトマネジメントが注目されるようになってきた時代にはまだ、価値や戦略のマネジメントが一般化しておらず、欧米の模倣でやっていた企業が多かったため、実現オペレーションのマネジメントがより重要だったからだと思われます。

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