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2011年9月 1日 (木)

【PMスタイル考】第18話:強みを活かしたプロジェクトマネジメント

Style ◆強みを活かすとはどういうことか

金井壽宏先生の「人勢塾」を読んでいたところ、ストレングスファインダーでで有名なギャラップ社のストラテジック・コンサルタント小屋一雄氏の講演の採録 があり、なかなか、興味深いことがいくつか書いてありました。ちなみに、ストレングスファインダーはこの本を買えば、Web上で利用できます。

マーカス・バッキンガム、ドナルド・クリフトン(田口 俊樹訳)「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」、日本経済新聞出版社 (2001)

同社の事業コンセプトは「強み」を活かしたマネジメントですが、まず、「強みを活かす」という考え方への誤解があるといいます。強みを活かすという言葉に 対して、クライアントの反応として多いのが、「結局やりたいようにやらせることか」という反応だそうです。小屋氏はそうではないと言います。強みを活かす とは

ビジネスや組織の目標を達成するためにメンバーの「才能」をフルに活用する

というのが強みを活かすマネジメントだと言います。ここで問題は、「才能」という言葉の意味です。ギャラップ社のいう才能とは

無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン

です。ギャラップ社では、才能を

アレンジ、運命思考、回復思考、学習欲、活発性、共感性、競争性、規律性、原点思考、公平性、個別性、コミュニケーション、最上思考、自我、自己確信、社 交性、収集心、指令性、慎重さ、信念、親密性、成長促進、責任観、戦略性、達成欲、着想、調和性、適応性、内省、分析思考、包含、ポジティブ、未来志向、 目標思考

の34に分けています。これをみれば分かるように、才能とはコンピテンシーに近いものです。

強みを活かすというと、つい、経験や知識、スキルにこだわってしまうことが多いですが、これらに比べると才能ははるかに個人のパフォーマンスを高めるため に強いインパクトを持っているそうです。また、知識やスキルは比較的容易に身につくのに対して、才能はなかなか変えにくいそうです。

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【PMスタイル考】第17話:プロジェクトマネジャーのジレンマ

Style ◆組織を一部だけ変えることはできない

組織というものはひとつのシステムであり、他の部分への影響を及ぼすことなく、システムの一部だけを変えることはできない。ある人が変化を試みているにもかかわらず、属しているシステムが同じ状態であった場合には、その人はジレンマに陥ってしまう。

この南カリフォルニア大学マーシャルビジネススクールのフレーズはモーガン・マッコール博士の

ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法」(プレジデント社、2002)

の一フレーズです。この本は、マッコール博士が、リーダー育成機関として欧米No.1の評価を得るCenter for Creative Leadership(CCL)でリサーチ部門のトップだったときの調査結果を中心にまとめた本です。

人材育成、特に、リーダーの育成をする際には、この指摘は極めて本質的なものです。10年近く、プロジェクトマネジメントの普及の仕事をしてきて、改めて、マッコール博士の言葉の重さを痛感しています。

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2011年8月22日 (月)

【PMスタイル考】第16話:マネジメント過剰・リーダーシップ不足

◆「顧客満足」というミラクルワード

Style 「御社にはどんな戦略がありますか?」と質問すると、製造業の方は、それなりに答えが答えが返ってきますが、IT系の方は、ほとんど「顧客満足」、「品質向上」です。

「顧客満足」という言葉はミラクルワードで、「目標はなんですか」、「戦略はなんですか」、「経営理念はなんですか」など、どんな質問の答えでも、「顧客満足」と答えておけば一見もっともらしく思えます。

ところが、「その先に何があるのですか」と尋ねてみると、「継続的な取引」とか、「顧客の抱え込み」とか、あるいは、もっと情緒的に「お客様の喜ぶ顔が見たい」といった答えが返ってきます。

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2010年12月14日 (火)

【PMスタイル考】第15話:目的と手段

◆組織の中の目的と手段の関係は「入れ子」になっている

「目的」と「手段」をはき違えないというのは、ビジネスマンであれば一度は言われたことがあるのではないかと思います。個人を中心にみれば、この議論はそんなに難しい議論ではありません。しかし、組織やチームの中で考えると、結構、複雑な議論になることがあります。

プロジェクトで新商品を開発するとしましょう。プロジェクトにとっては、商品を開発することは目的です。そのための手段として、技術やプロセス、あるいはスキルといったものがあります。

ところがマーケティング部門にとっては、商品を開発すること自体は目的ではありません。市場シェアを拡大するとか、競合に勝つといった目的があり、商品を開発することはそのための手段に過ぎません。

経営にとっても同じことです。顧客の役に立つ、社会の役に立つといったことが目的かもしれませんし、利益を上げて、従業員に報いる、株主に配当をするといったことが目的かもしれません。その手段として、市場シェアを拡大することや、競合に勝つといったことがあります。

このように組織の中では、現場の目的は事業部門の手段、事業部門の目的は経営の手段というように、目的と手段が入れ子になっていることがよくあります。これが目的と手段を考える難しさの原因です。

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2010年11月 2日 (火)

【PMスタイル考】第14話:リーダーシップはどこに

◆マネジメントとリーダーシップ

Style リーダーシップ研究の権威であり、日本でもよく知られているジョン・コッター博士によると、マネジメントとリーダーシップには以下のような違いがあるそうです。

マネジメント:現在のシステムを機能させ続けるために、複雑さに対処することリーダーシップ:現在のシステムをよりよくするために、変革を推し進めること

プロジェクトでいえば、マネジメントはまさに、プロジェクトの複雑性に対処することです。そのために、WBSによるスコープ管理、ベースライン管理や、リスク管理、コミュニケーションの活性化など、さまざまな取り組みをしているわけです。

では、プロジェクトでいうリーダーシップとはなんなのでしょうか?これは簡単なようで、なかなか難しい問題です。


◆プロジェクトのリーダーシップ

プロジェクトのリーダーシップには大きくは2つの意味があるように思います。一つは、プロジェクトチームに対するリーダーシップです。つまり、プロジェクトに集まってきたメンバーをまとめ、チームパフォーマンスを最大化するリーダーシップです。これはすっきりした話ですし、多くの人がプロジェクトのリーダーシップというときにイメージするものだと思います。

もう一つのリーダーシップは、プロジェクトそのものをよい方向に導いていくリーダーシップです。プロジェクトが一生懸命に生み出した成果を経営的に意味のある成果にいくことです。違う言い方をすれば、プロジェクトが取り組んでいることの価値を経営に認めさせることです。このリーダーシップが欠如している組織が多いのではないかと思います。


◆リーダーシップの欠如のわけ

欠如しているのは2つの状況があると思われます。一つは現場側の問題で、「与えられた課題の解決は経営的な成果になる」という「思い込み」です。これを思い込みだというと違和感を覚える人もいると思いますが、戦略を実行するというのは仮説検証の繰り返しで、プロジェクトはその一端を担ぐ活動ですので、それをきちんとやれば経営的な成果になるというのは思い込みです。ただし、経営活動の中での責任を果たしたことになるといえば、そう言えなくもありません。

もう一つの方が重要で、(経営)管理側の問題です。プロジェクトの活動を意味のあるものにできていないという問題です。プロジェクトの成果を経営的に意味のあるものにするというと、収益を思い浮かべる人が多いと思います。もちろん、収益は経営的な成果です。ただし、収益というのは、「不満足要因」、つまり、予定通りに達成できて当たり前、できなければ不満の対象になる要因に過ぎないことを理解しておくべきです。


◆満足要因を創り出すリーダーシップ

本当の意味で経営的成果だと言えるのは、「満足要因」になるものです。経営トップが「できるといいな」と思っているようなことです。計画より高い品質を実現できた、予算計画を上回る収益が得られた、スケジュールを前倒しにできた、プロセスの改善に寄与した、人材を育てた、顧客との信頼関係が強固になったなど、考えればいくらでもあります。経営トップはビジョンや戦略として表現します。

このような満足要因を生み出すような課題の設定ができていないことに、管理側の問題があります。トップから下に降りてくるものには2種類の課題があります。一つは、売上げ、収益などの数字です。これは、指示に近いものです。もう一つは、ビジョンや戦略です。こちらは「○○をせよ」というものではありません。強いていえば、「自分で考えて、決めなさい」という指示ですが、むしろ、自発的に取り組んでいくものです。

ここにリーダーシップが必要になってきます。満足要因というのは、言い換えると「今はできていないこと」で、できるようにしたいと思っていることです。つまり、コッター博士のいう、現在のシステムをよくするために変革した「成果」に他なりません。

この成果を生み出すために、戦略を読み解いて、プロジェクトの活動で満足要因を見つけ出し、その達成のための課題設定をすること、これが管理者に求められるリーダーシップです。


◆管理者はリーダーシップの旅にでよう

もう一つの問題は、プロジェクトが頑張って満足要因になることを自発的に生み出そうとしたときの扱い方です。十中八九、余計なことをするなと言われます。もちろん、そんな露骨な言い方はしません。「リスク管理」と称して、満足要因は徹底的に排除し、不満足要因の達成にのみ、注力させるような扱い方をしている組織がほとんどです。これも管理者のリーダーシップの欠如です。仮に不満足要因の達成だけで精一杯なプロジェクトであったとしても、それを経営トップに売り込んでいく姿勢が現場のトップリーダーとしての姿勢だといえます。

このような管理者のリーダーシップがない状況では、プロジェクトに十分な成果を期待することはできません。プロジェクトには

・経営的リーダーシップ:管理者(プロジェクトスポンサー)
・プロジェクトのマネジメント:プロジェクトマネジャー
・プロジェクトチームのリーダーシップ:プロジェクトマネジャー、チームリーダー

といったマネジメントとリーダーシップの分業が求められます。プロジェクトの管理者はリーダーシップの旅に出ましょう。

 

2010年9月24日 (金)

【PMスタイル考】第13話:プロジェクトマネジメントのオーナーシップ

◆2人の上位管理者

Style プロジェクトの上位の管理者は2人います。分かりますか?

一人はプロジェクトスポンサーです。もう一人はプログラムマネジャーです。このようにいうと混乱してしまうかもしれませんね。

もう少し、具体的にいえば、

・ビジネスに関する上位管理者
・プロジェクトマネジメントに関する上位管理者

です。

10年近く前だと思いますが、米国のIBM社がプロジェクトマネジメント担当役員、いわゆるCPO(Chief Project Officer)を置いたことが日本でもニュースになったことがあります。日本のメディアの取り上げ方をみていると、キャリアの問題として取り上げていましたが、これはもっと重要な意味があります。「プロジェクトマネジメントのガバナンス」の問題で、プロジェクトマネジメントのオーナーシップを設置したことです。今でも、日本の企業で、CPOをおいている企業はほとんどみかけません。まれに、中堅企業で、役員がPMOのマネジャーを兼務している例をみることがあるくらいです。

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2010年9月17日 (金)

【PMスタイル考】第12話:プロジェクトインテグリティ

◆インテグリティとは何か

Style 最近、プロジェクトにおいて「インテグリティ」という概念が注目されるようになってきました。この概念はたいへんに興味深い概念です。

まず、インテグリティという言葉はどういう意味かを紹介しておきましょう。オックスフォード英語辞典には

1.正直。強い道徳性をもっていること。高潔さ。
2.分断されていない全体性。(例)領土の保全と国家の主権を確保する
3.構造が損なわれず、統合された、健全な状態。(例)小説の統一性
4.電子データの内部の一貫性、損なわれていないこと

の4つくらいの意味が記されています。1.は主に人間性についてインテグリティという言葉が使われるときの意味です。また、4.は情報処理の世界では普通に使われている使い方です。マネジメントでは、主に、2.や3.の意味が重要になってきます。

インテグリティという言葉の根底にあるのは

全体が分断されずに統合されており、完全で、うまく機能している

というニュアンスです。キーワードは、統合、完全、ですね。

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2010年9月13日 (月)

【PMスタイル考】第11話:プロジェクトとアドミニストレーション

◆管理原則の父

Style 「マネジメントの父」は、ピーター・ドラッカー博士、「科学的管理法の父」はフレデリック・テイラー博士です。では、「管理原則の父」と言われているフランス人がいます。誰か、ご存じでしょうか?

アンリ・ファヨール博士です。ファヨール博士は経営におけるアドミニストレーションのプロセスと原則を示したことで知られますが、そのプロセスとは、

・計画する
将来を探求・吟味して、活動計画を作成する
・組織する
原材料や設備、資本、人的資源などの計画実行に必要な資源を準備する
・命令する
従業員が自分に求められる機能を遂行できるように指示・配慮する
・調整する
すべての活動を結びつけ、統合し、調和させる
・統制する
ルールや指示にしたがって物事が行われていることを監視する

というものです。1900年代の前半に管理原則は欧米を中心に受け入れられました。

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2010年9月10日 (金)

【PMスタイル考】第10話:リスクインテリジェンス

◆PMstyleリスクマネジメント成熟モデル

Style PMstyleでは、プロジェクトリスクマネジメントの5段階というモデル(PMstyleリスクマネジメント成熟度モデル)を開発し、活用しています。以下のようなモデルです。

【レベル1】場当たり
プロジェクトマネジャーが気づいた範囲でリスク対策を立てている

【レベル2】体系化
プロジェクトマネジャーがプロジェクトリスクマネジメントの手法を導入して、リスクマネジメントを行っている

レベル3:標準化
組織としてリスクマネジメント標準手法や標準リスク事象を導入し、プロジェクトマネジャーやリスクオーナーとなるメンバーが標準に則り、リスクマネジメントを行っている。

【レベル4】定着化
組織としてリスクマネジメントに取り組み、個別プロジェクトにおける失敗の経験などが標準リスク事象として反映されている

【レベル5】インテリジェンス化
プロジェクトマネジャーやリスクオーナーのリスクマインドが醸成され、リスクに対する効率的かつ、効果的な管理に向けた継続的な改善が行われている

 

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【PMスタイル考】第9話:アカウンタビリティを高めるために

◆レスポンシビリティとアカウンタビリティ

Style プロジェクトを成功させるためには、2つの責任を全うすることが必要です。一つは、レスポンシビリティ。これはRAM(Responsibility Assignment Matrix:責任分担表)としてプロジェクトマネジメントの手法の中に出てくるので、よく認識されています。「実行責任」ということで、プロジェクトチームのメンバーの一人一人が、自分の与えられた仕事を遂行する責任です。

もう一つ、アカウンタビリティという責任があります。これは日本語では、「説明責任」とか、「成果責任」と呼ばれる責任です。分かったようで、よく分からない言葉なのですが、もともとアカウンタビリティは経営の用語で、企業がステークホルダに対して持つ経営判断に対する説明の責任です。今、アカウンタビリティという言葉を使うときは、もっと広い意味で使われていて、組織や個人が影響を与えたことに対して、その意志決定の理由を合理的に説明する責任です。簡単にいえば、組織や個人がどうしてそのような行動をとったかを合理的に説明する責任ということです。

 

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