PMstyle 2025年7月~9月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2019年10月28日 (月)

【コンセプチュアルスキルを鍛える】エンジニアにとってのコンセプチュアルスキル

 バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/conceptual_training/

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◆考える前提
 
第1回はプロジェクトマネジャーについて考えましたが、第2回はエンジニアについてです。こういう括り方をすると、エンジニアが必要とするスキルは技術分野によって異なるし、それ以外はコミュニケーションスキルだとか、ネゴシエーションスキル、リーダーシップなどが必要だろうと考えているエンジニアは多いと思います。
 
コンセプチュアルスキルの提唱者であるロバート・カッツ博士の分類では、スキルは
 
・テクニカルスキル
・ヒューマンスキル
・コンセプチュアルスキル

Conceptual_model1

に分類できるとされます。これらの関係は図1のように上級の管理者になればなるほどコンセプチュアルスキルの必要性が高くなっているわけですが、実はこれが議論されたのはピーター・ドラッカーがマネジメントを提唱する前の時代で、いわば、工場のように職場に管理者がいて、管理者が細かく作業の指示をしていた時代の話です。
 
その後、ドラッカーはマネジメントの必要性と同時に、従業員の仕事はナレッジワークに変わっていくと予言し、今は圧倒的にナレッジワーカーの方が多くなっています。ナレッジワーカーは一言でいえば、企業に対して「ナレッジ(知識)」をもって付加価値を生み出す労働者のことで、これは従来の指示された通りに作業をする労働者とは本質的に異なる存在です。この2点を考慮し、コンセプチュアルスキルの必要性は全労働者になっているというのが、PMstyleが提唱している図2のコンセプチュアルスキルのモデルです。

Conceptual_model2

 
以上がエンジニアについても前提になります。つまり、テクニカルスキルやヒューマンスキル、あるいはマネジメントスキル以外に、コンセプチュアルスキルが必要であると考えています。そして、それはどのような技術分野の専門家であろうと同じスキルが必要です。これはヒューマンスキルと同じだといえます。
 

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【PMスタイル考】第158話:プロジェクトの成果と成果物

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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Prof

◆PMBOK(R)における成果と成果物

 今回のPMスタイル考は、プロジェクトの成果と成果物はなにかという議論をしてみたい。プロジェクトマネジメントの本質に関わる議論である。
 
まず、PMBOK(R)から見ていこう。PMBOK(R)では成果物は「Deliverable」の訳であり、ガイドの第6版では用語集では
 
「プロセス、フェーズ、またはプロジェクトを完遂するために生成することが求められる固有で検証可能はプロダクト、所産、またはサービス遂行能力」
 
と定義されている。
 
一方、成果は「outcomes」の訳であるが、用語集に示される明確な定義はない。また、ガイド中でもその意味は曖昧な部分があるが、意味合いを推察してみよう。
 
まず、成果の例としては
 
・ギザのピラミッド
・ポリオワクチン
・オリンピック
・子供向けの本の出版
・民間ジェット機の開発
・人類の月面着陸
 
といったものが例示されている。ここで注意すべきことは、ギザのピラミッドやポリオワクチンはモノであるが、オリンピックや出版、開発、月面着陸などはものではなくコトであることだ。これらを併せて所産と称している。
 
PMBOK(R)ガイドの中でプロジェクト成果に関連する記述を洗いだしてみると、本記事の最後に掲載している<参考:プロジェクト成果に関する記述>のようなものがある。これを見ていると気づくことは、成果という言葉は非常に広義に使われており、プロジェクトの成果だけではなく、プロジェクト中での各フェーズや各プロセスのアウトプットも成果だと表現しているようだ。
 
 
 

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2019年10月17日 (木)

【お知らせ】「コンセプチュアル講座探訪」をはじめました

「コンセプチュアル・マネジメント」ブログで、コンセプチュアルスキル講座、コンセプチュアル・マネジメント講座の各セミナーの背景にある問題意識や考え方を紹介する連載

 
「コンセプチュアル講座探訪」
 
を開始しました。
 
受講検討の際の参考にして頂くのはもちろんですが、記事としても読みごたえがあると思いますので、ぜひ、読んでみてください!
 

2019年10月15日 (火)

【お知らせ】コンセプチュアル・マネジメント講座の受講料が半額に!

Hangaku

ブログ

 
「コンセプチュアル・マネジメント」
https://mat.lekumo.biz/ppf/
「PMstyleプロデュース」
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/
 
の読者の方は、2019年度下期の「コンセプチュアル・マネジメント講座」の受講料を半額にさせて頂きます。
 
2019年下期のコンセプチュアル・マネジメント講座には以下のセミナーがあります。
 
「マネジメントをコンセプチュアルにする」(2019年11月18日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
 
「コンセプチュアル思考でマーケティング力を高める」(2019年12月09日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_marketing.htm
 
「コンセプチュアル思考で実行する戦略マネジメント」(2020年01月14日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_strategy.htm
 
「コンセプチュアル思考でイノベーションを起こす」(2020年02月17日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_innovation.htm
 
希望される方は、申し込みの際に、備考欄に
 
ブログ「ブログ名」読者
 
とお書きください。半額で請求させて頂きます。なお、早割り、複数人割引を同時に適用することはできませんので、ご了解ください。
 

【コンセプチュアルスタイル考】第52話:全体最適を考え、本質に迫る

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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Jobs

◆本質とは何か
 
本質はコンセプチュアルスキルの中核であり、本質を見極め、本質をベースに行動することはコンセプチュアルスキルの向上に欠かすことができません。今回のコンセプチュアルスキル考は本質に迫るためにとるべきスタンスについて考えてみたいと思います。
 
辞書によると本質は
 
「すべてのものに共通している/当てはまるさま」(大辞林)
 
と説明されています。
 
例えば、本質的問題というとすべてのトラブルに共通する問題点ですし、本質的要求というとすべての顧客が求めていることがらになります。
 
すべてのものごとに共通しているものごとを見つけようとすれば、抽象度を上げる必要があります。だからといって抽象度を上げすぎると、共通はしますが、本質に基づいて適切な行動を起こすことができなくなります。
 
例えば、働き方改革で社員の望むことの本質を考えてみましょう。
 
「満足な生活を送れること」を本質だと考えてしまうと確かにすべての社員に共通していることで、またすべての要素を包含しているといえます。しかし、何をもって「満足な生活」なのかがはっきりせず、具体性に欠けます。
 
そのため、本質をベースに、何か改革行動をしようとすると考える範囲が広すぎて改革として具体的な行動に落としていくのは困難になります。つまり、抽象度が高すぎるのです。
 
一方で、本質を「残業をしないこと」ことだと考えると、改革で取るべき具体的な行動として仕事の効率を上げるなどはっきりしましすが、それだけがすべてでないことは明らかです。やりがいのある仕事をしたい人もいるでしょうし、高い報酬を得たい人もいるでしょう。
 
このように、本質に迫るためには、適切な抽象度を見極めることがポイ
ントになります。このためには何ができればよいのでしょうか?

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2019年9月30日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考】第51話:コンセプチュアルスキル診断からコンセプチュアルスキル向上を計画する

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/ 

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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Conceptual0

◆コンセプチュアルスキル診断の概要とこれまでの結果
 
今回のコンセプチュアルスタイル考は、ちょっと趣向を変えてコンセプチュアルスキル診断という視点からコンセプチュアルスキルについて考えてみたいと思います。
 
PMstyleではコンセプチュアルスキルの診断のために、コンセプチュアルスキル診断を提供しています。
 
「PMstyleコンセプチュアルスキル診断」
https://pmstyle.biz/cncpt/conceptual_shindan.htm
昨年までで2300人くらいの方に実施して頂いています(今年の分をいれると3000人以上の方に実施していただいています)。
 
コンセプチュアルスキル診断は、PMstyleの「コンセプチュアル思考」に基づいてコンセプチュアルスキルを診断するシステムですが、結果は、
<軸による評価>コンセプチュアル思考の5軸のバランス
<行動に対する評価>5つのコンセプチュアルな行動の質
によって提示されます。

ちなみに、これまでの結果(平均点)は、それぞれに10点満点で
<軸による評価>
抽象的/具象的 のバランス 6.32
主観的/客観的 のバランス 6.38
直観的/論理的 のバランス 5.40
大局的/分析的 のバランス 6.90
長期的/短期的 のバランス 5.58
<行動に対する評価>
構想            5.50
計画            5.98
問題解決          5.72
意思決定          6.27
対人            7.12
となっています(現時点ではもう少し、平均点が下がっていると思われます)。

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【コンセプチュアルスキルを鍛える】プロジェクトマネジャーの業務とトレーニング

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/conceptual_training/

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Pm2

◆プロジェクトマネジャーにコンセプチュアルスキルが必要な理由
 
プロジェクトマネジャーのマネジメント業務の中で特にコンセプチュアルスキルが重要な役割を果たすのは以下のような業務です。
 
・プロジェクトのパーパスの決定
・プロジェクトのコンセプト(進め方)の決定
・ステークホルダーの利害関係の調整
・計画の策定と変更
・プロジェクト全体の把握と分析的介入
・トラブルにおける問題解決
・振返り
 
プロジェクトの
 
・プロジェクトデザイン
・プロジェクトの実施
・振返り
 
という流れの中で、それぞれのマネジメント業務においてコンセプチュアルスキルが果たす役割は以下のようなものです。
 

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2019年9月26日 (木)

【PMスタイル考】第157話:パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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Purpose2

◆目的工学の誕生
 
日本でいち早く、パーパスの重要性を提唱したのは、多摩大学の紺野登教授が代表を務められる目的工学研究所だ。紺野先生によると、目的工学とは
 
「イノベーション・新規事業のためのプロジェクトマネジメントの1つの手法であり、従来の工学では所与である目的をエンジニアリングするのが目的工学だ」
 
とのことだ。通常のプロジェクトでは、技術ありきで、目的を考えないからこのような提言をしているそうだ。
 
そして、目的工学研究所はそのための基盤になる組織で
 
「目的に基づく経営、目的を媒介にしたイノベーション プロジェクトマネジメントなどを対象に「目的工学」を研究・実践する」
 
ことを目的としている。その活動方針や目的(パーパス)は2013年に出版された
 
紺野 登、目的工学研究所「利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」、ダイヤモンド社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478010080/opc-22/ref=nosim
 
に述べられている。ちなみに、この本はパーパスについて的確に述べられており、日本のパーパスマネジメントの原点ともいえる本である。
 
 

◆注目されはじめたパーパス

それから5年後の今年、ダイヤモンドハーバードビジネスレビューの2019年3月号で「パーパス」が特集として取り上げられた。目的工学の提唱ののち、イノベーション以外でもも経営戦略やブランディングの中でパーパスが注目されるようにはなってきたが、ハーバードビジネスレビューの特集になったのはかなり唐突感があった。
 
「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2019年 3 月号
 (PURPOSE(パーパス)会社は何のために存在するのか/あなたはなぜそこで働くのか)」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07MPK2J87/opc-22/ref=nosim
 
パーパスは、企業のビジョンやミッションを定義するための根幹となる概念である。欧米の先進企業では、パーパスを明確に打ち出し、それを軸にしてコンセプト、戦略、社員の行動様式まですべてを統一するようになってきた。これは、「パーパス・ブランディング」と呼ばれるアプローチで、DHBRの特集でもBIOTOPE代表の佐宗邦威さんの
 
「パーパス・ブランディングを実践するために組織の存在意義をデザインする」
 
というタイトルの記事が掲載されており、分かりやすく実践法を解説している。この記事の中でもいくつかの企業のパーパスが紹介されている。
 
例えば、テスラ社の
 
「持続可能なエネルギーへのシフトを世界中で加速させる」
 
やメルカリの
 
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」
 
といったものがパーパスの例として挙げられている。世界でいち早くパーパスを定めたとされるのはP&Gで、
 
「自社製品に最高のクオリティーと価値を与え、世界中の顧客のニーズを満たす」
 
といったものだ。
 

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2019年9月18日 (水)

【PMスタイル考】第156話:VUCAの本質とリーダーシップ

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆はじめに

PMスタイル考の154話で
【PMスタイル考】第154話:VUCA化するビジネスやプロジェクトをマネジメントする
 https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/07/vuvca-a142.html
という記事を書いた。

Vuca_2

この記事でも書いているように、VUCAは
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
の頭文字をとった言葉(概念)で、この5年くらい、ビジネスの世界でもこういう現象が目立つようになってきている。VUCAを一言でいえば、
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」
だといえる。
今回のPMスタイル考は、このような状況においてだんだん増えてきている「VUCA時代をいかに生き抜くか」という議論を調査し、少し整理してみたい。

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2019年8月16日 (金)

【PMスタイル考】第155話:プロジェクトリーダーの意思決定は総合的にしか評価できない

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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Sentaku

◆リーダーの役割はメンバーのできないことやメンバーがやらないことをやること

今回のPMスタイル考は、古くて新しい問題である、プロジェクトリーダーの意思決定の問題を考えてみたい。なぜ、こういう記事を書こうと思ったかというと、あるプロジェクトリーダーと話をしていて、「2つの意見のどちらが正しいか判断できないときには、専門的な議論になるので、メンバーに話し合いをさせて決めてもらう」といったくだりがあり、違和感を感じたからだ。

この記事でもっとも言いたいことを最初に書いておくと、リーダーの役割は「メンバーのできないことやメンバーがやらないことをやること」だ。

ここで専門家であるメンバーが判断できないことをあまり詳しくない自分が判断できないと思うリーダーが少なからずいると思う。このように感じる理由は、どういう事情があるにせよ、メンバーの実務の詳細に口をはさんでいるからだ。

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