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2020年9月24日 (木)

【マネジメントスタイル:雑談6】全員がリーダーシップを持つ~VUCA時代のリーダーシップ

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◆全員リーダーシップという考え方

Leadership


リーダーシップといえばチームの1人のリーダーが突出し、チームを引っ張っていくというスタイルを思い浮べる人が多いと思います。また特にチームが大きい場合や組織の場合、1人ではなく、2~3人の人がリーダーシップを持つことが望ましいという考え方もあります。

これに対して、チームの中の特定の人がリーダーシップを持つのではなく、全員が持つ必要があるものだという考え方があります。この記事では、このような考え方を全員リーダーシップと呼ぶことにします。

著者が最初にこういう考え方を知ったのはジョン・R・ カッツェンバックの著書

「「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織」、ダイヤモンド社(1994)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478430098/opc-22/ref=nosim

を読んだときでした。

この本は、リーダーシップ分野のグルの一人であるジョン・R・ カッツェンバック死が、マッキンゼーにおける経験をまとめたもので、グループとチームは異なり、高業績チームを作るには、すべてのメンバーがリーダーシップを持つことが重要だというポイントがあります。

この本を読んだのは1995年でしたので、日本ではリーダーシップという言葉があまり知られておらず、また、世界的に見てもリーダーシップはカリスマリーダーが持つものだというイメージがありました。この中でカッツェンバックの主張に非常に刺激を受けた覚えがあります。その後、プロジェクトマネジメントに関わるようになって、少なくともプロジェクトにおけるリーダーシップは全員リーダーシップでなくてはだめだと思うようになりました。


◆広がる全員リーダーシップ

その後、全員リーダーシップは書籍などの影響で、徐々に広まってきました。特に、米国で大きな影響を与えたのは、リンダ・ヒルさんの

「ハーバード流 逆転のリーダーシップ」、日本経済新聞社(2015)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4532319897/opc-22/ref=nosi

で、継続的にイノベーションを実現できるチームは全員リーダーシップを持ったチームであるという指摘でした。

日本でも、カッツェンバックと同じマッキンゼーの出身のコンサルタント伊賀泰代さんのベストセラー

「採用基準」、ダイヤモンド社 (2012)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478023417/opc-22/ref=nosim

において、マッキンゼーが成果を出すために必要なものとして、全員リーダーシップを発揮できることだと考えていることを紹介し、大きな影響を与えました。

このような流れを経て、日本でもリーダーシップはチームの全員が持つものであるという考え方は広まりつつあります。

一方で、リーダシップというとカリスマ型であるかどうかは別にして、まだ、組織やチームの一部の人達の役割だと考えている人が圧倒的に多いことも事実です。


◆VUCAの時代には全員リーダーシップが不可欠

しかし、ここにきて、全員型リーダーシップの必要性が非常に増えてきています。理由は、VUCAにあります。

ビジネスでもVUCAな時代だと言われるようになって10年近くになります。VUCAはこれまでのパラダイムを大きく変えていますが、その中の一つがビジネスの方法です。

VUCA以前のビジネスは、何か一つ成功事例を作り、同じパターンで成功を積み重ねて、事業を成長させてしていくという方法を取ってきました。しかし、VUCAの時代には、変化が早く、予期できないため、過去の成功体験の延長では次の一手が打てなくなっています。

言い換えると、今までの事業領域がダメになりそうなとき、これまでのように事業領域を周辺領域に広げるだけでは解決策になりません。世の中のニーズに応じて、自分たちの強みを生かして、誰も想定できないような領域を探し、実施していくことが必要なのです。つまり、連続的な成長ではなく、非連続な成長が求めらているのです。。

このためには、従来の延長線上にあるビジネス課題に対して、何とか成功するような方法を考え出す問題解決より、まずビジネス課題を見つけだす問題発見が重要になってきます。


◆経験が役に立たない

このような中でビジネスを進めていくには、経験豊富なリーダーがリーダーシップを発揮することではうまくいきません。現実にもよくそういう問題を耳にします。リーダーは何とかしようと先頭に立って悪戦苦労しているのですが成果がでないという問題を抱えているチームや組織は多くあるようです。

これは当たり前の話で、上に述べましたように、連続的な事業で成長していけるのであれば経験は重要な武器ですが、非連続な事業にチャレンジする時には経験はあまり役に立ちません。そもそも、その事業でどんな経験が必要なのかも分からないわけです。これがVUCAの世界の特徴の一つです。


◆非連続な事業にチャレンジするには

非連続な事業にチャレンジするにはチームや組織の中でリーダーという肩書の人だけが発揮するリーダーシップではなく、チームにおいてそれぞれのメンバーがリーダーシップを発揮し、チームや組織の成果に役立つような活動をしてくれることが不可欠なのです。つまり、全員リーダーシップが必要だということです。

さらにいえば、このような状況においてはチームや組織に閉じて考えるのではなく、オープンな場を作り、そこで新しい視点や価値観を与えあうことが重要です。それによって、発見できるビジネス課題は広くなり、自社の強みを活用することができる課題設定をすることができるようになります。これは、競争力になると同時に、ウィンウィンの関係を築くことができます。


◆「Amazonでは、全員がリーダーです」という人材像を掲げるアマゾン

では、全員リーダーシップを持つために何が重要なのでしょうか。これについて、非常に良い指針を出しているのは、アマゾンです。アマゾンは上意下達の企業だというイメージがありますが、実は、チームを持つマネージャーであるかどうかにかかわらず、全員がリーダーであるという考え方の会社です。そのために、具体的な活動もさまざま行っていますが、そのベースにあるのは、社員一人ひとりが、全ての日々の活動において従って行動するように求めている「Our Leadership Principles」という14項目の信条です。

このプリンシプルには

・Customer Obsession:リーダーはお客様を起点に考え行動します。
・Ownership:リーダーにはオーナーシップが必要です。
・Invent and Simplify:リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め、同時に常にシンプルな方法を模索します。
・Are Right, A Lot:リーダーは多くの場合、正しい判断を行います。
・Learn and Be Curious:リーダーは常に学び、自分自身を向上させ続けます。

など、14項目が含まれています。興味がある方は、アマゾンのサイトに公開されていますので、ご覧ください。

求める人物像
Amazonでは、全員がリーダーです。
https://www.amazon.co.jp/b?node=4967768051

特に、注目したいのはCustomer ObsessionとOwnershipです。顧客起点には、

「客様から信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります。」

という説明が、またオーナーシップには

「リーダーは長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。」

という説明が加えられていますが、Customer ObsessionとOwnershipがまさに全員リーダーシップ宣言の中核だといえます。このような行動をとろうとすれば、リーダーだけではなく、全員がリーダーシップを持っていなくては不可能だからです。

この中で特に、注目したいのはCustomer ObsessionとOwnershipです。顧客起点は、

「客様から信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります。」

と説明されています。またオーナーシップは

「リーダーは長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。」

という説明が加えられていますが、Customer ObsessionとOwnershipがまさに全員リーダーシップ宣言の中核だといえます。このような行動をとろうとすれば、リーダーだけではなく、全員がリーダーシップを持っていなくては不可能だからです。


◆全員リーダーシップに必要なスキル

最後に全員リーダーシップを持つために、メンバーのそれぞれが持つべきスキルについて整理しておきたいと思います。全員リーダーシップを持つためには

・オーナーシップ
・問題発見力
・学習能力
・異文化理解力
・越境力
・コンセプチュアルスキル

などが必要になってきます。これらは、VUCAというパラダイムに適応していくために必要な能力であり、いずれもトレーニングできるものです。

VUCA時代に適応するためには、自律分散型組織など組織の在り方を考え、組織文化を作り上げると同時に、個々人のこれらの能力を鍛えていくとよいでしょう。

◆コンセプチュアルリーダー塾

PMstyleでは、VUCAの時代にリーダーシップを発揮して活動をする人材をコンセプチュアルリーダーと呼び、そのようなリーダーシップ育成のためにコンセプチュアルリーダー塾という場を提供しています。

その基本プログラムとして、コンセプチュアルリーダー養成講座を実施しています。全員型リーダーシップを身に付けたい人はぜひご参加ください。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コンセプチュアルリーダー養成講座(全4回)           ◆
 日時:<基本編> 2021年07月14日(水) 19:30-22:00
          2021年08月18日(水) 19:30-22:00
          2021年09月15日(水) 19:30-22:00
    <センス編>2021年10月13日(水)19:00-22:00
 形態:ZOOMオンライン
 講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
 詳細・お申込  https://pmstyle.biz/smn/conceptual_juku0.htm
 主催 プロジェクトマネジメントオフィス、エムアンドティ
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【カリキュラム】
 第1回 意味をうくる(基本編)
 第2回 問題を創る(基本編)
 第3回 柔軟性を重視する(基本編)
 第4回 コンセプチュアル思考でセンスを高める(センス編)
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