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2020年8月25日 (火)

【マネジメントスタイル:雑談4】VUCAの時代には問題解決より問題発見が重要である

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◆VUCAにおけるAIと人間の役割分担

Mondaihakkenこの1年間くらい、ずいぶんVUCAの中での思考や意思決定、行動についていろいろと書いてきました。

VUCAの議論を熱心にしている背景にはAIの普及があります。VUCAとAIになんの関係があるのかと思う人もいると思いますが、要するにVUCAの時代には今のところAIではできず、人間がすべきことが活動の中心になると思われます。VUCAの時代に生き延びるには、AIの得意とする領域で活動を守るのではなく、AIに任せることは任せて、人間にしかできないことを人間が行う形で協調することが必要だと考えています。

これは問題解決の視点から見れば分かりやすいと思います。

ビジネスの基本は広い意味での問題解決です。何をつくって、どう売っていくかはすべて広い意味での問題解決です。では問題解決とは何か。まず、イノベーションを考えることによってこの問題を考えてみたいと思います。


◆2種類のイノベーション

日本ではイノベーションが生まれないと言われるようになって久しいですが、本当に以前はイノベーションができていたのでしょうか。

「日本の戦後で、日本企業が実現したイノベーションといえば」と聞かれると、インスタントラーメン、ウォークマン、アニメ、ウォッシュレット、ファミコン、トヨタ生産方式といったものを上げる人が多いと思います。新幹線や内視鏡やハイブリッド車を上げる人もいるかもしれませんし、ひょっとすると発光ダイオードを上げる人もいるかもしれません。いずれにしても20世紀のものばかりですが、こうしてみるとイノベーションには2つあることが分かります。

一つはコンセプト自体があたらいものです。もう一つは従来からあったコンセプトに対してあたらしい実現方法を考えたものです。違う言葉でいえば、前者はWHYのイノベーションで、後者はHOWのイノベーションです。

例を挙げると前者の例はウォークマン、ウォッシュレットなどです。歩きながら音楽を聞くとか、排便のあと水で洗浄するといったコンセプトはそれまでになかったものです。つまり、WHYないのだろうと考え、実現していくところからイノベーションが生まれています。

後者の例としては、内視鏡やハイブリッド車などを上げることができます。いずれも偉大な技術イノベーションです。内視鏡は画期的な技術ですが、体内にカメラを入れて観察するというコンセプトの道具としては胃カメラなどがありました。ハイブリッド車も自動車のコンセプトそのものを変えたわけではありません。あくまでも自動車を構成する画期的な方法を実現することによって技術イノベーションが生まれています。

◆HOWのイノベーションからWHYのイノベーションへ

このような視点から考えると、商品のイノベーションは前者であり、技術のイノベーションは後者であるといえます。これは今でも変わっていませんが、21世紀になって比重が前者に移ってきています。iPhoneのようなイノベーションもありますが、アップルでいえばiPodというプラットホームを提供して、そこで音楽を一曲ずつ販売するというビジネスモデルは画期的なものでした。このように商品イノベーションにとどまらず、ビジネスシステムのイノベーションが中心になってきました。GAFAの起こしたイノベーションはほとんど、ビジネスモデルのイノベーションです。

少し長くなりましたが、日本企業がイノベーションを起こせなくなってきたのは技術イノベーションの必要性が小さくなってきたからです。もう少し正確にいえば、まだまだ解決したい技術課題はあるのですが、その解決の難しさと効果を比較すると投資できない課題がほとんどになって、技術イノベーションへの投資する価値が小さいと考えられるようになってきたためです。

一方で、製品イノベーションも昔のウォークマンやファミコンのように製品単体ではイノベーションになりにくくなって、新しいビジネスモデルやエコシステムのイノベーションを伴うことが不可避になってきました。この二点が日本企がイノベーションをできなくなった理由であり、今後、なんとかしなくてはならない課題だといえます。


◆問題解決から問題発見へ

さて、問題解決の話に戻りますが、イノベーションの例から分かるように問題解決にはコンセプト自体を考える問題解決とコンセプトの実現方法を考える問題解決があります。コンセプトを創るということは新しい問題を考えることであり、コンセプトを実現する方法を考えることは、既存の問題に対して

上で広い意味での問題解決という言い方をしましたが、これは問題発見と問題解決の両方が含まれる活動です。

技術イノベーションは典型的な問題解決です。実現したいこと(問題)が決まっていて、その問題を解くあたらしい方法を生み出すのが技術イノベーションです。これによって、従来はできなかったことができるようになるわけです。もちろん、その結果、新しいビジネスモデルが生まれることもありますし、その技術なくては新しいコンセプトが実現できない場合もあります。

これに対して、あたらしいコンセプトやビジネスモデルをつくるためには、問題自体を創る必要があります。これが問題発見と呼ばれる活動です。

日本企業がイノベーションを起こせなくなった理由は明確で、問題発見が弱点だからです。なぜ問題発見が弱いのかという議論はまた別の機会にしたいと思いますが、一つだけ明確なことはHOWへの関心は高いものに、WHYについてはあまり関心がないことでしょう。トヨタの5WHYはその意味で慧眼だったといえます。

ついでにいえば、20年くらい前から「なぜなぜ分析」といった名称でWHYを考える習慣をつけようとしている人が増えていますが、その効果は人によって違います。筋のよいWHYを考えられる人もいれば、残念なからできない人もいますが、この議論は別途にしたいと思います・


◆問題発見と問題解決の違いの整理

ここで、問題発見と問題解決の違いを整理しておきましょう。

まず、問題発見と問題解決にはアウトプットの違いがあります。問題解決は問題という枠を与えられて、その中でうまく解決案を考える活動です。これに対して、問題発見のアウトプットは答えではなく、「問い」です。この5年くらい、問いの重要性がよく言われるようになってきていますが、これは言葉を変えると問題解決より、問題発見が重視されるようになってきたからに他なりません。

また、思考法という視点から見ると、問題解決はできるだけ具体的に考えていくことが不可欠です。問題解決の次には行動があり、抽象的な答えでは行動に結びつかないからです。

ちょっと脱線しますが、日本の現場ではこれを徹底的にやって競争力をつけてきました。現場志向というのは問題解決によるものだといえます。その代表が改善です。その背景にはキャッチアップがあり、まさに先行国から与えられた問題に対して、より優れたアイデアで解決し、より機能の高い製品を生み出し、国際競争に勝ち、経済発展してきたのがいわゆる高度成長期です。その中で、上にあげたような新しいコンセプトを創ったイノベーションが起こったのは奇跡に近いと思いますが、これはウォークマンの盛田昭夫氏といった卓越したリーダーがいたからだと思われます。

さて、話を戻します。問題解決はできるだけ具体的に考えて答えを出す必要があるわけですが、問題発見は逆です。問題発見のアウトプットである「問い」は抽象的である方がかの問題解決の幅が広くなります。

このようなアウトプットを生み出すために、問題解決では「How」を重視する必要がありますが、問題発見では「Why」が重視されることになります。


◆VUCAの時代の問題定義の難しさ

こういった特性を整理してみると分かりますように、問題解決はAIが得意とすることですが、問題発見は今のところ、人間にしかできないことだということが分かります。

VUCAは

「Volatility」(変動が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性が高い)
「Complexity」(複雑である)
「Ambiguity」(曖昧である)

という特性ですが、これを問題に当てはめてみると二つの状況があることが分かります。一つは問題が定義できないという状況です。

・問題が曖昧である
・問題が複雑である
・問題の不確実性が高い

という特性があるので問題が十分に定義できないという状況です。ITの業界では、VUCAになって顧客も何をしてよいか分からないため、ベンダーが要求を聞き出そうとしても「何かいいことを提案してくれ」でとどまることがよくあるそうです。顧客にしても問題がないと思っているわけではないのですが、複雑、曖昧、不確実といった理由でどういう問題として考えればよいか分からないというのが現実なのでしょう。

また、もう一つは、問題を定義できたとしても

・問題の変動が激しい

ため、問題解決を考えている中で、何度も変わってしまうという問題があります。


◆VUCAの時代の人間の役割は問題発見

このようにVUCAの時代には、問題解決以前に問題発見をし、問題を定義することが前に進むために重要なのです。上にも述べましたように、これは現在のところAIではできません。人間でも不得手な人が多いのですが、AIの技術的な進展速度を考えると10年、20年かかる話でしょうから人間がスキルアップをして受け持っていくしかないと思われます。

ここに大きな問題があります。それは問題解決をAIに任せて人間はその管理しかしないことです。日本の製造業は現場の生産性が高いと言われていますが、これは自動化をするとともに、人は工法やプロセスの改善を初め、知識労働に努めてきたからです。ところがオフィスワークでは残念ながらそのようなスタンスは見られません。だから、人がいろいろと理由をつけて問題解決の作業を離そうとしないのです。

このスタンスを変えなくてはAIに問題解決を任せる意味がありません。そこで人がすべきことは問題解決の監視をすることではなく、問題を発見することです。このような認識を持つことによって、VUCAの状況下で問題を見つけ、問題を定義し、AIに解決させることが可能になります。

◆関連講座

コンセプチュアルスキルを活用した問題発見と問題解決を学び、体験する講座です。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆本質に注目したコンセプチュアルな問題解決 ◆(7PDU's)
日時:2020年 11月 24日(火) 13:30-17:00、11月 25日(水) 13:30-17:00
場所:ZOOMオンライン
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_solve.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
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【カリキュラム】                     
1.なぜ、コンセプチュアルであるべきか
2.コンセプチュアルな問題解決の流れ
3.本質的問題の発見
 【エクスサイズ】問題の本質を見極める
4.本質に注目した創造的問題解決の方法
 【エクスサイズ】本質に注目した問題解決
5.問題解決をコンセプチュアルにするポイント
 【エクスサイズ】各ポイントのエクスサイズ
6.うまく行かないときの対応
7.コンセプチュアルな問題解決エクスサイズ
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