【PMstyle Column:002】開発力とカスタマイズ力
スマホの競争が面白くなってきました。ついにサムスンがフルメタルユニボディのスマホを発表。デザインもスタイリッシュですが、これを機能的にはスペックダウンさせたバージョンで価格帯はフラグシップモデルの半分くらいとのことです。
「サムスン、薄型スリムボディの「GALAXY A」シリーズ発表」
http://www.rbbtoday.com/article/2014/10/31/125015.html
ターゲットは、今では世界第3位のメーカーとなったXiaomiがトップシェアを持っている中国市場で、最初に中国に投入するそうです。
一方で、同じ日にソニーは中国向けのスマホの開発中止を発表しました。事業の赤字縮小のための措置だそうです。
「ソニー、中国向けスマホ開発を中止へ--最終赤字1091億円」
http://japan.cnet.com/news/business/35055991/
この2つのニュースを読んでサムスンとソニーの違いは開発力の違いではないかと思いました。
グローバルなビジネスにおける開発力は新しいもの、高機能なもの、高品質なものを開発する能力だけではありません。カスタマイズ力がポイントで、中でも、新興国市場向けの新製品をいかに作れるかが問題になります。
サムスンを見ていると、新しく技術的に高度な製品の開発力もあれば、カスタマイズ力もあるように見えます。
一方で、ソニーもフラグシップモデルのコンパクト版を作っていますが、原価の違いレベルの価格の差はあれ、価格はほどんど変わらず、単なる小型化であり、結局、中国で戦える商品は作れなかったわけです。
これは低価格版の作り方に問題があり、日本のメーカーが考える低価格版というのは「安物」のイメージで、機能を落とし、デザインも手抜きする傾向があります。これは新興国に対する認識に問題があるからだと思われます。アップルも一世代前の製品では同じような失敗をしました。新興国向けに、デザインや機能が劣る廉価版を投入して失敗しました。
当然のことながらこれでは新興市場での競争には勝てません。中国でいえば、Xiaomiのように現地企業が安くて高機能なものを提供するからです。
従って、値段が安いけど、フラグシップモデルより良いところがある商品が必要になります。今回のサムスンの新製品はサムスン初のフルメタルユニボディで、デザインもフラグシップよりよいと評価されています。日本のメーカーはこういうカスタマイズが下手なのです。
いろいろと考えてみると、価格と機能が比例するという価値観が根付いたのはVEの問題ではないかと思います(正確にいえば、VEそのものではなく、VEの誤った適用方法の問題)。プラスだけのVEではなく、全体のバランスを取るVEを目指す必要があるのではないでしょうか。
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