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2014年10月29日 (水)

【プロデューサーの本棚】パターン・ランゲージを学ぶ

この2年くらい、「パターンランゲージ」というのが注目されるようになってきました。

その理由は2つあり、一つはITの世界で日本でもアジャイルが普及してきて、マネジメントや設計のパターンの在り方に興味を持つ人が増えてきたこと。

もう一つは、かなり属人的な話ですが、慶応大学の井庭崇先生が提唱されている人間行動のパターンランゲージという考え方がウケていること。

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井庭崇先生はパターンランゲージを概観する本を作られています。パターンランゲージがすでにある分野、可能性のある分野の識者と対談し、パターンランゲージの可能性を追求するという趣旨の本です。第1章では井庭先生の詳しめの総論もあり、一冊読めば、パターンランゲージの通になれます。

井庭 崇編著、中埜 博、竹中 平蔵、江渡 浩一郎、中西 泰人、羽生田 栄一著「パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語」、慶應義塾大学出版会(2013)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766419871/opc-22/ref=nosim

パターンランゲージについてイメージしたければこの本がお薦めです。

僕も今、プロジェクト・イニシアチブのデザインをするパターン・ランゲージを作っています。それで、この1年くらいの間にパターン・ランゲージの本をいくつか読みましたので、感想をつけてご紹介します。

実は僕がパターン・ランゲージに興味を持ったのは1992年です。この年からあるコミュニティからロボットの設計をする言語の開発という仕事を受け、そこでパターン・ランゲージに着目したという経緯があります。

そのときに参考にしたのが

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クリストファー・アレグザンダー(平田 翰那訳)「パタン・ランゲージ―環境設計の手引」、鹿島出版会(1984)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4306041719/opc-22/ref=nosim

です。

パターン・ランゲージという概念を考えたのは、20世紀でもっとも偉大だと評価する人もいるクリストファー・アレグザンダーという建築家です。

この本はある意味でクリストファー・アレグザンダーの当時としての集大成なのですが、当然、それまでこのアイデアで行ってきた活動があります。都市づくり、まちづくり、住宅づくりなどが記録本として出版されています。

そのような活動を紹介した本としてもっとも興味深いのが、オレゴン大学のキャンパスを建築したケースです。なぜ、パターン・ランゲージが必要かをうまく解説しています。

この本は1970年代に出版され翻訳もされていますが、ずっと絶版になっていました。それが昨年復刊されました。パターン。・ランゲージの専門書を一冊だけ読みたいと思えば、この本がお薦めです。

クリストファー・アレグザンダー「オレゴン大学の実験 (SD選書) 」、鹿島出版会(2013)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4306051285/opc-22/ref=nosim

クリストファー・アレグザンダーはその後もさまざまな活動を続けており、2003年にその集大成ともいえるシリーズを出版しました。それが「The Nature of Order」という4部作の本です。

「The Phenomenon of Life: The Nature of Order, Book 1」
「The Process of Creating Life: The Nature of Order, Book 2」
「A Vision of a Living World: The Nature of Order, Book 3」
「The Luminous Ground: The Nature of Order, Book 4」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0972652914/opc-22/ref=nosim

この中のBook1のみが邦訳されています。

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クリストファー・アレグザンダー(中埜 博訳)「生命の現象 (ザ・ネイチャー・オブ・オーダー 建築の美学と世界の本質)」、鹿島出版会(2013)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4306045935/opc-22/ref=nosim

クリストファー・アレグザンダーの積年のテーマである「生き生きとしたパタン」からさらに展開し、「生命(Life)」や「全体性(Wholeness)」、「センター(Center)」がキーワードとし、パターン・ランゲージのへの本質的なインプリケーションを与えてくれます。

この本は自分で一度、あるいは何度かパターン・ランゲージを創ってみた後で読まれることをお勧めします。

ということで、クリストファー・アレグザンダーの本の紹介は終わりです。

あといくつか、日本語で読めるパターン・ランゲージの本を紹介しておきます。

まず、井庭先生が自ら作られたプレゼンテーションのパターン・ランゲージを紹介する本を出版されています。パターンランゲージそのものがどういうものかを知るにはうってつけの一冊です。

井庭 崇、井庭研究室「プレゼンテーション・パターン: 創造を誘発する表現のヒント (パターン・ランゲージ・ブックス)」、慶應義塾大学出版会(2013)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766419898/opc-22/ref=nosim

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2冊目は、アジャイルの祖であるジェームス・コプリエンが、アジャイル開発のようにチームの成長によるソフトウエアの開発を変革するためのパターン・ランゲージについて示した本です。僕はこの本がパターン・ランゲージの本の中で最高傑作ではないかと思います。

こういうレベルの本がたくさん出てくると、パターン・ランゲージも知財としての価値があるように思います。

James O. Coplien、Neil B. Harriosn(和智右桂訳)「組織パターン」、翔泳社(2013)
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2014/05/post-1386.html

もう一冊。こちらは変革のパターンランゲージです。パターン・ランゲージというよりは、パターン集のような気もしますが、実践的な本です。

Mary Lynn Manns、Linda Rising(川口 恭伸監訳、木村 卓央、高江洲 睦、高橋 一貴、中込 大祐、安井 力、山口 鉄平、角 征典訳)「Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン」、丸善出版(2014)
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2014/05/fearless-change-0dd8.html

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