【告知】プロジェクトにおける学習
◆2つの学習
日本に企業でも「学習」という言葉をよく耳にするようになってきました。もともと、日本企業は「改善活動」を通じて学習を行ってきたわけですが、改善だけではどうも時代の流れについていけないと感じるようになっているようです。なぜでしょうか?
組織学習の考え方として有名なのは、クリス・アージリス博士とドナルド・ショーン博士が提示した「シングル・ループ学習」と「ダブル・ループ学習」という2つのモードです。これは経験と通じた人間の学習のモデルで、シングルループ学習は、既存の行動の枠組みにしたがって行われた行動の結果に問題がある場合、問題を解決するために行動の方法を変えることです。これに対して、ダブル・ループ学習は、問題を解決するために、既存の枠組みを捨てて新しい行動の枠組みを取り込むことです。
◆シングルループ学習
改善活動は一般にはシングルループ学習を指します。枠組みは変えずに問題解決を行います。
たとえば、ある製品開発プロジェクトで成果物の品質が好ましくあ りません。このままではスケジュールにも影響が出てくる可能性があります。そこで、品質管理の専属要員を確保し、設計品質を改善することにしました。これ はシングルループ学習です。シングルルール学習の結果は教訓になり、他のプロジェクトでも使われていきます。
◆ダブルループ学習の必要性
ところが、品質を落としている原因が頻繁な要求変更にあったとします。すると、いくら設計品質のチェックをしても、改善効果は限界あります。そのような場合、まず、なぜ、頻繁に要求変更が起こるかを見極め、その原因を潰していく必要があります。
調 べたところ、製品デザイン部門がプロジェクトからの要求仕様の催促に押されて、生煮えのままで要求を出して、あとから変更していたことが分かりました。こ のような現象は当該プロジェクト以外でも生じており、その原因は製品デザインは開発プロジェクトに要求仕様を渡すタイミング以外は明確な計画がなく、ま た、開発プロジェクトと異なり輻輳が多いことにも原因があるようです。
この問題はもはや当該プロジェクトだけで解決できる問題ではありま せん。組織として改善に取り組む必要があります。そこで、デザインから開発までを一つのプロジェクトとみなし、統一の計画を作り、その計画に従って進めて いくことにしました。これがダブルループ学習です。このようにダブルループ学習の結果は、仕組みの変更になるわけです。
◆プロジェクトにおける学習
プロジェクトでいえば、プロジェクト実行中の問題解決はシングルループ学習で対応する必要があります。しかし、それは本質的な解決策ではなく、当面の対応策にならざるを得 ないことが少なくありません。つまり、プロジェクトではなんとか問題を解決したからといっても放っておくと、また、他のプロジェクトで同じ問題が発生して しまう可能性が高いわけです。
そこで、プロジェクト終了後に起こった問題はプロジェクトの問題なのか、組織の問題なのかを良く整理し、ダブルループ学習を起こしていく必要があります。
ダブルループ学習をするときに、もう一つ、重要な学習があります。それは、プロジェクトリーダー自身(あるいは、個々のチームメンバー)の学習です。シング ルループ学習でも起こることがありますが、組織学習の難しさは決めたことができるとは限らないことです。特にダブルループの場合には枠組みそのものを変え ますので、それに併せて、リーダーも変わることが求められます。この問題は結構複雑で、あるプロジェクトから生まれた改善が組織の仕組みの変更になったと きに、そのプロジェクトのプロジェクトマネジャーはそれに従わないといったこともあるのです。
このような場合も含めて、やり方(シングルループ)や仕組み(ダブルループ)を変えるには、併せて、人の考え方を変える必要があります。そのためには、内省が欠かせません。内省とは、業務や現場から離れて、自分の行動や経験を振り返る活動です。これが三つ目の振返りです。
たとえば、仕組みが変わったときには、自分にとってその仕組みがどういうものか、自分がその仕組みにどのように対応できているかを振り返り、どのように対応すべきかを考えます。
本講座は、以上の3つの振返りと学習について考えるセミナーです。
╋【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━☆開催決定☆━【2013.08.30】╋
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└■ 振返り講座 ◆7PDU's
日時:2013年 08月 30日(金) 10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:ヴィラフォンテーヌ汐留(東京都港区)
講師:好川 哲人(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/lesson20.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
1.振返りとマネジメント
2.組織レベルの振り返り方法
3.プロジェクト・業務レベルの振り返りの方法
4.個人レベルの振り返り
5.3つのレベルの振返りを統合する
6.プロジェクトのタイプと振り返りの目的と方法(討議)
・ルーティン
・クリエイティブルーティン(アジャイル)
・イノベーション
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