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2013年1月17日 (木)

【プロデューサーの本棚】イノベーション5つの原則

4478017484カーティス・R・カールソン、ウィリアム・W・ウィルモット(楠木 建 監訳、電通イノベーションプロジェクト訳)「イノベーション5つの原則」、ダイヤモンド社(2012)

イノベーションには、創造性が必要で、発明も必要だ。さらに、技術、ビジネスモデル、製造プロセス、デザインなどの要素も必要である。しかし、これだけでは不十分で、

新たな顧客価値を創り出し、市場に送り届けるプロセス

があって、初めてイノベーションになる。これは、SRIのイノベーションに関する知見である。

SRIは、多くのフィールドワークを通じて得られたベストプラクティスから、実践理論を構築した。それが、本書のタイトルにもなっている「イノベーション5つの原則」である。

5つの原則は

(1)真の顧客ニーズ
自分がおもしろいと感じることだけでなく、顧客と市場にとって重要なニーズに取り組む

(2)価値創出
価値創出のツールを活用して、顧客価値を迅速に生み出す

(3)イノベーションをリードするチャンピオン
「イノベーションを率いるチャンピオン」になって価値創出プロセスを推進する

(4)イノベーションチームの構築
様々な分野の専門家を集めた混成チームにより、天才レベルの集合知を実現する

(5)組織の方向付け
チームを組織全体の方向性に合致させ、価値の高いイノベーションを体系的に生み出す

の5つである。

(1)については、RFIDタグ、顧客価値創出方法などが紹介されている。

(2)に対しては、NABC、ウォータリング・ホール、エレベータピッチ、イノベーションプランなどを紹介している。

(3)についてはチャンピオンの役割と組織の責任について論じている。

(4)については、チームの才能を引き出すこと、チームの構築、イノベーションの壁をチームで乗り越える、チームの動機づけなどについて考察している。

(5)については、イノベーション文化の構築とグローバル競争に勝つための方法を論じている。

イノベーションの方法は形式化できないと考えてる人が多いが、これだけの詳細な方法論をまとめるというのは実践としても、研究としても並大抵ではないと思う。

ただし、この実践理論を適用すれば、通常業務のようにイノベーションができるかというとノーだと思う。楠木先生が監訳者の解説に書かれているように、この5つの原則を統合するストーリーと、一意専心の取り組みが必要だ。

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