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2011年12月30日 (金)

【プロデューサーの本棚】Right Projects Done Right(2005)

P0787971138aul Dinsmore、Terence Cooke-Davies「Right Projects Done Right: From Business Strategy to Successful Pr oject Implementation」、Jossey-Bass(2005)

プロジェクトガバナンスの名著。

一般的には、プロジェクトガバナンスは「Right Project Done Right」という。正しいプロジェクトを選ぶ、そのプロジェクトを正しく行うことによって、ガバナンスが実現できる。

現場だけで考えるとその通りである。つまり、戦略実行をするためには、戦略と整合性の高いプロジェクトを選び、そのプロジェクトを統合マネジメントしながら、戦略への貢献を最大化する。これによって、ガバナンスが高まっていく。

ただし、資源が無制限にあればその通りだが、一般的に資源は有限である。人・金・モノという資源の制約条件があるからだ。そのような制限の中で、ガバナンスを維持しようとすると、少し話が変わってくる。

コンビネーションを正しく行わなくてはならない。この本では、The Right Combinationと言っている。



同じような意味の言葉に、「プロジェクトミックス」という言葉があるが、この本でいう「The Right Combination」はもう少し、意味が深く、いくつかの意味を持っている。

まず、最初は、戦略実行するために実施するプロジェクトの候補を正しく選ぶと同時に、プロジェクトの優先順位を正しくつける必要がある。戦略実行は年次計画などですべて決まるわけではない。通常はクオーターごとに進捗を判断し、プロジェクトの組み合わせを見直す必要がある。たとえば、あるプロジェクトはペンディングし、別のプロジェクトを行うとか、プロジェクトの優先順位を変えるといったことだ。大抵は、このマネジメントはプロジェクトポートフォリオを使って行われる。

二つ目は、パフォーマンスを最適化(継続的改善)することだ。プロジェクトを遂行するパフォーマンスが向上すれば、同じ資源で実施することのできるプロジェクトの数が多くなる。それによって、戦略ゴールの達成度が上がる。言い換えると、コンビネーションが正しくなる。

三つ目は戦略自身の適切さである。戦略が適切なものでなければ、いくら、適切なポートフォリオを組んでみても仕方ない。

ただし、これは、戦略が不適切だと判断された場合、The Right Combinationという機能によって、戦略修正がなされることを意味している。

ちなみに、Right Projectは

・ステークホルダ満足
・ステークホルダコミットメント

によって評価され、

・明確で達成可能なゴール
・ステークホルダ満足
・ステークホルダコミットメント
・ベネフィットプロセス
・プロジェクト戦略
・プロジェクトマネジメントオフィス

などによって実現される。

また、done Rightは

・時間
・コスト
・品質
・スコープ
・技術性能
・安全

によって評価され、

・明確で達成可能なゴール
・有能かつ有効なチーム
・明確な技術要求
・効果的な計画とコントロール
・リスクマネジメント
・リカバリーマネジメント

などによって実現されるとしている。

このような基本的なコンセプトのもとに、具体的なマネジメントの方法を解説した一冊である。

基本的にはプロジェクトスポンサーや、エグゼクティブに役立つ本であるが、プロジェクトマネジャーが自分が取り組んでいる仕事の経営的位置づけを知る上でも有用な一冊である。

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