PM2.0の本を創りました。こんな本です。
好川哲人「プロジェクトマネジメントの基本」、日本実業出版社(2011)
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また、この本の内容をベースに、2日間のセミナーを行っています。次回は、10月5日~6日です。
プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス~PM2.0の勘所
さて、それではこの本のまえがきをご紹介します。
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はじめに
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日本でもいろいろなプロジェクトが行なわれるようになってきました。公的機関はもちろん、民間企業でもプロジェクトは日常的に行なわれています。
企業で行なわれるプロジェクトには2つのタイプがあります。一つは業務変革を行なうプロジェクトです。主として新商品の開発、新サービスの開発、ビジネスプロセスの変革、新規事業の開発などですが、広い意味では、組織変革など、経営革新もこのタイプのプロジェクトとして行なわれています。これらのプロジェクトは既存の機能組織では難しい業務をプロジェクトして行なっており、新規要素が多く、不確実性も高いのが特徴です。
もう一つは、基幹業務を行なうプロジェクトです。たとえば、IT企業では情報システムの受注開発をプロジェクトとして行ないます。エンジニアリング企業ではプラントや機械の開発をプロジェクトとして行ないます。メーカーであれば、工場のラインで行なう商品の生産業務をプロジェクトとして行なっているわけです。これらのプロジェクトは、顧客や立地といったプロジェクト環境の違いはありますが、多くのプロジェクトでは業務自体はリピート性が高く、定常業務に近いものです。
このようなプロジェクトを支えるのがプロジェクトマネジメントですが、その普及は後者に主眼を置いて行なわれてきました。日本で最初にプロジェクトマネジメントに注目したのはIT業界です。IT業界は品質向上を目的とした開発方法論に基づいてプロジェクトを実施していました。しかし、プロジェクトが複雑化し、マルチベンダー化したため、コストや納期の問題が生じ、結果として品質も落ちるといった問題が発生していました。
そこで、経営組織が設定したSQCD(スコープ・品質・コスト・納期)の目標を確実に達成するために、多くのIT企業がプロジェクトマネジメントを導入しました。導入にあたっては日本の実情に合わせた工夫もされ、プロジェクトマネジメント自体も進化し、多くのプロジェクトはSQCDの目標をクリアできるようになってきました。これをPM1.0と呼びます。
一方で、業務変革を行なうプロジェクトについては、プロジェクトマネジメントの普及は大きく遅れています。このタイプのプロジェクトと生産を行なうプロジェクトと根本的な違いがあるのは、プロジェクトが目標を決めなくてはならないことです。場合によっては、テーマや目的を決める必要も生じます。
プロジェクトマネジメントはプロジェクトの企画から実施まですべてをマネジメントしなくてはなりません。したがって、生産型のプロジェクトマネジメントとは異なる体制や方法での取り組みが求められ、また、プロジェクトリーダーをはじめとするプロジェクトのキーパーソンにも異なるスキルが求められます。著者たちが運営するPMstyleでは、このようなプロジェクトマネジメントを「PM2.0」と呼んでいます。
また、生産型のプロジェクトにおいても、いま求められているものはイノベーションです。スコープ・品質・納期・コストの目標は設定されますが、その目標を超えてより価値のあるものを、より高い品質で、より速く、より安く実現することが求められます。このようなニーズに応えるためには、やはり、PM2.0のスキルが求められます。
『プロジェクトマネジメントの基本』というタイトルから、生産型のプロジェクトマネジメントの基礎的な解説をイメージされた方もいらっしゃると思いますが、本書はこれからの時代に必要なプロジェクトマネジメントである、プロジェクトマネジメント2.0の「基本」を解説するものです。本書が、PM1.0から、PM2.0へのバージョンアップのニーズを持つ読者のお役に立つことも願ってやみません。
好川哲人
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