PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2018年11月30日 (金)

【PMスタイル考】第139話:アートとテクノロジーの組み合わせとコンセプチュアル思考

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆アート、クラフト、サイエンスの役割分担

Maneg

前回のPMスタイル考では、ヘンリー・ミンツバーグ教授の

経営とは、「直感(アート)」、「経験(クラフト)」、「分析(サイエンス)」を適度にブレンドしたものである

という指摘を取り上げ、バランスを取る方法として、コンセプチュアル思考が適していることを述べた。

【PMスタイル考】第138話:直感・経験・分析のバランスの取れた意思決定を行う
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2018/10/poste645.html

今回は、この議論をもう少し深めてみたい。

まず最初に、前回の記事に対していただいた質問、どういう風にアート、クラフト、サイエンスの3つの要素を使うのかという問題を整理しておきたい。

これがミンツバーグ教授のいうブレンドのポイントだと考えられるが、もっともオーソドックスなのは

(1)アートにより、ビジョンが生み出される
(2)クラフトにより、ビジョンが実現される
(3)サイエンスにより効率化されていく

という役割分担だろう。

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2018年10月29日 (月)

【PMスタイル考】第138話:直感・経験・分析のバランスの取れた意思決定を行う

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Tyokkan


◆MBAが会社を滅ぼす

ヘンリー・ミンツバーグ教授は「人間感覚のマネジメント」、「マネジャーの仕事」をはじめ、エクセントリックともいえる経営理論の著作で有名だが、その中でも世間を驚かせた一冊に

MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方」(2006、日経BP社)

がある。この著書は従来のMBA制度を批判し、新しいコンセプトの制度を提案したもので、

経営とは、「直感(アート)」、「経験(クラフト)」、「分析(サイエンス)」を適度にブレンドしたものである

という認識のもと、サイエンスを重視するMBA制度から、クラフトやアートとサイエンスのバランスの取れたMBA制度にすべきだと述べたものである。

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2018年9月13日 (木)

【PMスタイル考】第137話:ベネフィットリアライゼーションマネジメント(2020/03/23改訂)

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Benit1

◆プロジェクトで目的を実現するためのマネジメント

日経ビジネスのオンラインの記事に

「勉強不足の経営者、プロジェクトの失敗を防げず」

というタイトルで、PMI(プロジェクトマネジメントインスティチュート)のマーク・ラングレー プレジデント兼CEOのインタビュー記事が掲載されていた。全般的にはタイトルの通り、経営者向けにプロジェクトマネジメントの啓蒙を行う内容だったが、この中で、PMIの取り組みとして「ベネフィットリアライゼーションマネジメント(Benefit Realization Management)」というテーマを研究しているという言及があった。ベネフィットというのは目的のことで、ベネフィットリアライゼーションマネジメントは、プロジェクトで目的を実現するためのマネジメントということになる。

今回のPMサプリはこの議論をしてみたい。

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2018年8月28日 (火)

【PMスタイル考】第136話:高品質・低価格という発想を捨てる

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Kouhinsitu◆「高品質・低価格」による甘えの構造

「日本企業の生産性が低い背景にあるのが、高品質・低価格という価値観である。」

といわれると反論したくなる人も多いと思うが、今回のPMスタイル考はこの問題について議論してみたい。

業種に限らず多くの企業は、生産性を犠牲にしても「高品質・低価格」を実現すべきだと考えている。

これはこれで、一つの価値観・方向性であるが、問題はこれで甘えの構造ができていることだ。それは主に

・高品質・低価格を実現するには生産性が犠牲になるのはやむをえない
・新しいものより、高品質・低価格が重要だ

の2つである。

現実には、高品質・低価格は求められていないことが多くある。いくつかのパターンがあるが、その中には、提供者がひたすら高品質・低価格の重要性を主張し、消費者を洗脳してしまうといったパターンもある。まさに甘えの構造ができてしまっている。

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2018年8月17日 (金)

【PMスタイル考】第135話:コンセプチュアルスキルの高いプロジェクトマネジャーになる

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Pm

◆コンセプト力でプロジェクトを動かす

PMstyleでは、コンセプチュアルプロジェクトマネジメントという名称で、イノベーションなどのように、オペレーションの範囲に留まらず、経営的な意思決定を伴うプロジェクトをコンセプチュアルに進めていくための方法論を提唱している。具体的な内容については、昨年日経BP社から出版した

「コンセプト力でプロジェクトを動かす」
 https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/482225948X/opc-22/ref=nosim

を参考にしていただきたいと思うが、この本を読んで頂いた人からコンセプチュアルプロジェクトマネジメントではプロジェクトマネジャーにどのような資質を求めているのかと訊かれることがある。

今回のPMスタイル考はこの問題について述べてみたい。

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【PMスタイル考】第134話:イノベーションはビジョンから!~イノベーションの本質

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Innovation1◆イノベーションの本質

「日経ビジネス2018年7月23日号」に共感した記事があった。それは、今も昔もイノベ
ーションの本質は変わらないという趣旨の記事だ。この記事では、井深大(ソニー)、松下幸之助(パナソニック)、本田宗一郎(ホンダ)の3人を偉人だとし、

「3人の偉人が持ち合わせていたのは、それぞれ「Want(欲する)」「Believe(確信する)」「Do(とにかくやる)」という3つの強い意志だ。」

と指摘している。この記事では、スタートトゥデイの前澤氏やメルカリ山田氏に注目し、この3つの本質を突いた活動だとしている。

日本だけではなく、米国でも、アップル、グーグルやアマゾンをみていると、まさにこの3つが本質だというのは納得できるところだ。

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2018年6月12日 (火)

【PMスタイル考】第133話:制約を逆手に取る

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Seiyaku_2◆リソースの足らないプロジェクトをいかにやり抜くか

プロジェクトにおいて、「人材」、「資金」「ツール」などのリソースが足らない状況は珍しくない。これを何とかするのがプロジェクトマネジメントだといってもよいだろう。一般的な方法は、QCDSのバランスを取ることだ。つまり、

・コストが少なければ、スコープを縮小する
・納期が短ければ品質を最小限にする

といったバランスを取ることにより、可能な範囲で最大限の成果を目指すわけだ。

また分野にもよるが、デザインやソフトウェアのように生産性が「人」に依存する比率が高いプロジェクトでは、よい人材を確保するという方法がとられることもある。

これらの方法はいずれもプロジェクトの目的の達成度が高い目標を設定するという方向性で進めるものだが、それ以外の方向性はないのだろうか?

そのように考えたときに出てくるのが、

ソースが足らない状況をなんとかするというより、一歩進んで、ポジティブに受け入れ、成果を大きくすることに活用する

という方向性である。そんな夢みたいな話があるはずがないと思われる方も多いと思うが、とりあえず、読み進んでほしい。

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2018年3月13日 (火)

【PMスタイル考】第132話:生産性と効率性

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Nwork

◆生産性と効率性

プロジェクトにおいても生産性向上を課題にするような話をよく耳にするようになった。ところが、プロジェクトマネジャーと話をしていると、意外と生産性とは何かということが理解されていないと感じることが多い。

特に多いのが、生産性と効率性の区別のついていないケースだ。実はこの違いは、プロジェクトマネジメントにとっては本質的なものである。そこで、まず、効率性と生産性の違いについて明確にしておこう。

効率性はある作業の労力や時間、資源をどれだけ小さくすることができるかを示す指標だ。例えば、1日に何個の商品を作れるか、プロジェクトで1日にどれだけの(作業)成果物を作れるかは効率性である。

これに対して、生産性は、使える資源をすべて総合的に使って、どれだけ新しい価値を生み出せるかを表わす指標である。ここで価値というのは、プロジェクトの成果物とは限らないことに注意してほしい。プロジェクトにおいて作られた成果物がどれだけプロジェクトの目的に役立つかが価値である。プロジェクトの最終的な成果だといってもよい。

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2018年2月 1日 (木)

【PMスタイル考】第131話 コンセプチュアルスキルでダイバーシティーを高める

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Divaersity◆抽象は嫌われる

著者はこの5年間くらい、コンセプチュアルスキルへの取り組みを行っている。その中で、抽象的であることはよくない。ゆえに、抽象を扱うコンセプチュアルスキルは好ましいものではないと考えている人が意外と多いことに気が付いた。

経営活動に関わる人は人に依るが、現場の人は少なくとも数年前まではそうだった。最近、現状ではまずいと考え、イノベーションを目指す組織においては少しずつ変わってきているように感じるが、大勢はあまり変わらない。

ついでに述べておくと、特に顕著に感じるのは、本来ソフトウエアというコンセプチュアルな商品や製品を手掛けているIT系の企業にその傾向が強いことだ。外資系と国内系のIT企業の端的な違いはこの点だと思う。

この点については今回の議論からは外れるので、また、別の機会にしたいと思っているが、コンセプチュアルスキルがあまり好ましくないと思っていない人には特にこの記事を読んでいただければと思う。

コンセプチュアルスキルがなぜ必要なのかはこれまで何度も述べてきたが、今回は「抽象的な思考が嫌い」な人を念頭において、なぜ重要なのか、著者が何を実現したいと思っているかと併せて説明してみたい。

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2018年1月11日 (木)

【PMスタイル考】第130話:イノベーションにおけるコンセプチュアルスキルの役割

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Innovation◆イノベーションとは

コンセプチュアルスキルの必要性への認識が高まってきている。イノベーションの創出、生産性の向上をはじめとする、直面する多くの課題取り組みの行き詰まりの一因が「コンセプチュアルスキルの低さ」だと考えられるからだ。

生産性とコンセプチュアルスキルの関係についてはこれまでに何度か書いてきたので、今回はイノベーションにおけるコンセプチュアルスキルの役割について考えてみたい。

まず最初に、さまざまな場面で使われるにも関わらず定義の不明確なイノベーションという言葉の定義を明確にしておこう。

イノベーションはオーストリアの経済学者だったヨーゼフ・シュンペーターが20世紀初頭に名付けた概念だが、彼は経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することをイノベーションと呼んだ。

すなわち、イノベーションを「生産手段の新結合」とし、市場における価値を、社会や市場の中から発見することによって実現されると考えた。何もないところからいきなり生み出すのではなく、「結合」、つまりすでにあるものの組み合わせから、これまでなかった価値を作り出すものだというのがシュンペーターの考えるイノベーションである。

この記事ではイノベーションという言葉を、シュンペーターのいうイノベーションの意味で使うことにする。

シュンペーターの考えは、100年経った今でも変わっていない。むしろ、最近は、結合の範囲が拡大し、組み合わせの重要性が高まってきている。

例えば、21世紀の最大のイノベーションの一つだと考えられているiPhoneにしても、もともとさまざまな技術の組み合わせで生まれてきたが、それだけでは成功していない。そこにコンテンツの流通や制作などのやり方を組み合わせることによって全く新しい価値が生まれ、成功がもたらされたといえる。

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