PMstyle 2024年6月~9月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Powered by Six Apart

« 【お知らせ】「VUCAマネジメント塾」開始 | メイン | 【PMスタイル考】特別編 「PMstyle」は両利きの経営を目指す »

2020年12月28日 (月)

【マネジメントスタイル:雑談11】ミドルアップダウンで組織文化を構築する

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Middle

◆ミドルトップダウンとは

著者がミドルアップダウンという言葉は初めて耳にしたのは、1994年くらいでした。情報源は金井壽宏先生、米倉誠一郎先生、沼上 幹先生という日本の経営学を作られた3人の先生の書かれた「創造するミドル」(有斐閣、1994)という本だったように思います。

この本は、バブル崩壊で疲れたミドルマネジャーに励ましのメッセージを送るために書かれた本で、創造的な活動をしているミドルへのインタビューが詳細に紹介されています。

この中で、創造するミドルに共通しているのは、

・会社の今に「主体的な危機感」を持っている
・動機に重なる「原体験」を持っている
・想いや行動に共感した「仲間(時に上司)」ができる

の3つだとしています。こういうスタイルのマネジメントがミドルトップダウンだとも言えますし、もう少し一般的に言えば、ミドルトップダウンとは、

トップと一般社員の中間に位置するミドルが主体的に動き、第一線で働く現場の声を吸い上げて経営に提言したり、経営者が発信しているメッセージをわかりやすく一般社員に伝えたりする役割を担うことによって経営成果を高めていこうとするマネジメント方式

だということができます。

当時は、日本ではボトムアップスタイルが主流で、経営より現場の方が強く、その中で業績のよい組織はボトムアップにミドルが巧みに絡んでいたので当たり前のような気がしていましたが、その後、特にグローバル化と、企業ガバナンスの強化とともに日本の経営もトップダウン経営になっていきました。


◆トップダウンでなぜ日本企業は凋落したのか

そして、トップダウン経営への変化とともに、どんどん日本企業の凋落が始まります。その原因は諸説ありますが、よく耳にするものに、トップの人材不足(リーダーシップ不足)と、そもそもトップダウンスタイルのマネジメントは日本人には合わないというのがあります。

いずれにしても、日本企業の特徴であり、強みでもあったミドルアップダウンというミドルのパワーを活用できない組織になり、日本企業は沈没していったわけです。

ミドルトップダウンが機能しなくなった、あるいは維持できなくなった理由はいくつか考えられますが、もっとも影響が大きかったのはグローバル化だと思われます。バブル崩壊後、さまざまな方法でコストダウンを図っていますが、その中で多くの企業が一様に行ったのがトップダウンによるグローバル経営です。

グローバル化すると、現場が海外に移ります。そして、そこに日本的な現場のやり方を持ち込もうとしますが、国によって多様性があり、非常に難しい問題になりました。これというやり方はいまだに見つかっていません。考えみれば当たり前で、日本が50年かけて創ってきた現場をそんなに簡単にコピーできるわけがありません。

そこで表面的に同じ仕組みを導入し、それをうまく動かすためにミドルマネジャーが管理するというやり方にならざるを得ませんでした。このようにグローバル経営では、従来のミドルアップダウンは終焉し、トップダウンになって行きました。

ただし、日本企業で唯一グローバル市場で活躍しているトヨタのように、時間がかかっても自らが信じるやり方を一から海外の現場で再構築しようとした企業もあります。これは組織文化の問題とも大いに関連がありますので、頭の片隅に残しておいてください。

トップダウンで組織を動かそうとすると現場は考えなくなります。これが日本の凋落の大きな理由ではないかと思われます。

国際比較で考えても日本人はまじめで、賢い人が多いので、自分で考えずに上司に従うように扱うのは非常にもったいないことです。そうではなく、自分で考えて、他のメンバーとコラボレーションしながら仕事に取り組んでいくようなマネジメントこそ、日本企業がもう一度輝く条件です。そのためにはミドル、によるミドルアップダウンスタイルのマネジメントが最も適しています。

この数年、再びミドルアップダウンスタイルに関心が集まっているのは、トヨタのように現場の力を活かす方法として捉えている一面があります。


◆VUCA時代にはミドルアップダウン

加えて、VUCAと呼ばれる時代になって、少し状況が変わってきました。VUCAの時代には、マネジメントには

(1)変化が激しく、迅速な意思決定が求められる環境下で成果を上げること
(2)新たな価値の創造と事業の発展を目指すこと

の2つが求められます。

この2つをトップダウンで実現するには、難しいものがあります。迅速な意思決定はできるものの、そもそも変化自体を適切に把握できず、また、価値創造は難しいものがあるからです。

このためにVUCA時代に適していると注目されているスタイルが、自律分散型と、ミドルアップダウンです。両者を比べたとき、上でも触れたようにミドルトップダウンの方が現実的です。

ということで、ミドルアップダウンは今後普及してくるものと思されますが、その活用方法の一つとして考えられるのが、VUCA時代のマネジメントに不可欠な組織文化の構築や変革です。


◆VUCA時代の組織文化の位置づけ

従来、組織文化はトップがそのあるべき姿を示し、そこを目指して事業展開を通じて構築されてきました。ところが、VUCAな時代では変わって来ています。

VUCA時代には経営環境が変動することから、もう少し概念的な企業の在り方としてビジョンやパーパスを決め、それを実現していくために戦略を作り、収益を上げながら、ビジョンやパーパスを実現することが求められるようになってきました。特に、これまで一度決めたらある程度は絶対的なものと位置付けられていた戦略も頻繁に変えざるを得ず、ビジョンやパーパスに立ち返らざるを得ないケースが増えています。

このような中で、組織文化が戦略と同等に、ビジョンやパーパスの実現のための手段として位置付けられるようになってきました。簡単に言えば、掲げているビジョンやパーパスを実現するには、どういう組織文化が必要かという風に考えられるようになってきているのです。

戦略は経営環境が変わると変更せざるを得ません。これに対して、組織文化には逆の性質があります。経営環境の変動が大きければ大きいほど、強い組織文化があった方が都合がいいのです。

最終的には、組織文化が主体となり、組織文化を活かして事業を成功させるためには、どのような戦略がよいかという意味付けになってくる可能性もあると思われます。実際に今でも、戦略を考えるときに、実行性を考えて、自社の人材やスキルだけではなく、組織文化を考える経営者もいます。


◆組織文化の構築にはミドルアップダウンが適している

このような位置づけの組織文化を構築や変革していくために、ミドルマネジャーが主体的に組織文化の構築や変革の中心になっているケースは少なくありません。

組織文化の構築といえば、トップリーダーが定めるものだと考えている人も少なくないと思いますが、これは必ずしも正しくありません。スタートアップをはじめ、トップリーダーがこういう文化にしたいということを決めることは珍しくありませんが、その場合に、目指す文化を創るには、ミドルが推進していかなくては文化として定着することは無理です。その方法がミドルトップダウンです。

シャインの組織文化モデルを例にとって考えてみましょう。

シャインのモデルは、人工物、価値観、基本的仮定の3つで構成されますが、このモデルによると、人工物を基本的仮定に結ぶつけていくような価値観が必要です。これを考えるのがミドルマネジャーの役割です。

これは、価値観が業務の進め方と深い関係があることによります。業務の中で価値観を提示し、それを一般社員に示して、普及していく。ここがシャインのモデルの場合、文化定着のポイントになります。

つまり、、この価値観を現場に落とし込み、一般社員に人工物として業務の進め方や開発する製品について提案していきます。同時に、トップにビジョンやパーパスを実現するためにこういう基本的仮定を持つ会社にしていこうと提案していくことができるわけです。

このように目指す文化は決まっていても、その定着のために、ミドルマネジャーのミドルアップダウンの役割は欠かせません。


◆大規模な組織には構造が必要

ましてや、今の時代はトップダウンの時代ではありません。

組織の全員が自発的に行動することが重要視されるようになってきました。この大きな動きの目指すところは、特にIT系の企業が熱を入れている自律分散型組織だと思われますが、現実を考えると組織が完全な自律分散になっていくのは無理があると思われます。組織の規模が小さいときには自立分散が実現できても、大きな組織で実現するのは難しいからです。

小規模な自律的組織ではごく少数の事業で成り立っている場合が多く、業務と経営だけで運営できますが、規模が大きくなると事業間の調整が必要になります。そして、この調整を行うために階層を作っていくのです。

階層があれば、少なくとも経営的視点、事業的視点、業務的視点が生まれ、これを調整していかない限り、自律分散はできないからです。

余談ですが、実際に自律分散組織ができるようになるには、AIなどにより、具体的な仕事(業務的視点)はコンピュータが分担し、人間はもっと概念的な部分(経営的視点、事業的視点)の仕事をするようになったときだと思われます。

もし、仮に階層が排除できたとしても、大規模な組織には機能分担は不可欠だと思われます。すると大規模な組織を動かすには、機能間のインタフェースになる人が必ず必要になります。

このように階層間のインタフェース、機能間のインタフェースはミドルマネジメントの役割です。ミドルマネジメントがその調整をすることによって初めて、自律分散型の組織になります。そして、それを支援するのがミドルアップダウンです。


◆組織文化構築に全社員を巻き込む

組織文化の構築においても、このような傾向はみられます。組織文化は、その組織で活動する人がどのような組織であってほしいかを反映して、組織文化が構築されるようになってきています。

すると、組織文化を創るには、まず、組織のメンバーの想いを拾い上げ、統合し、概念化してトップレベルの組織の文化にしていく必要があります。

このようなアプローチのメリットは、組織文化の浸透が早いことにあります。特に、メンバーのレベルで自分の想いが反映された文化であるからです。このようにして、文化ができていけば、文化も企業を選ぶ重要なファクターになっていくでしょう。


◆関連セミナー

ということで、ミドルアップダウン型のマネジメントを目指すミドルマネジャーのためのセミナーです。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ミドルアップダウンによりコンセプチュアルスキルの高い組織を作る
                 ~VUCA時代のマネジメント◆(7PDU's)
 日時・場所:【ZOOM】2021年 02月 03日(水) 13:30-17:00、
               02月 04日(木) 13:30-17:00
      ※ZOOMによるオンライン開催です。
      ※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
 講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)MBA
 詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
 主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【カリキュラム】                     
 1.コンセプチュアルな視点から自組織のマネジメントを振り返る
 2.コンセプチュアルなマネジメントの6つのポイント
 3.ミドルアップダウンによるコンセプチュアル・マネジメントの実践
 4.コンセプチュアルなマネジメントの5つの効果
 5.自身のコンセプチュアル・マネジメントの実践方法を考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

コメント

コメントを投稿