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2020年10月13日 (火)

【VUCAマネジメント塾コラム】コミュニケーションせずに、コラボレーションすることは可能か?

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◆「あうん」

ちょっと必要があって、阿吽(あるん)ってどういう意味だと思って、ネットで検索したら

「サンスクリット語のアルファベットの最初の字音である「ア」と最後の字音である「フーム」をさす言葉。密教では,この2字が万有の始原と究極を象徴するとし,それぞれ万有の原理,それらの帰着する智徳を示すとする。」(ブリタニカ国際大百科事典)

という説明が出てきました。同じページにあったデジタル大辞典では、このような説明に加えて

「仁王(におう)や狛犬(こまいぬ)などにみられる、口を開いた阿形(あぎょう)と、口を閉じた吽形(うんぎょう)の一対の姿」

という説明があり、また、たぶん、ここから来た意味なのでしょうが、

「吐く息と吸う息。呼吸。」

という説明もありました。

ついでに英語でなんというかを調べたら単語としては、「A-un」としているものが多いようですが、「阿吽の呼吸」にいては、「息がぴったり」や「非常に気が合っている」といった意味だとして、例えば、

They have a good chemistry.

と訳したりしているようです。


◆コミュニケーションせずに、コラボレーションする

なぜ、調べたかというと、これまでの組織文化の在り方をあらわすような言葉はないかなと考えたからです。昨年の流行語になった「忖度」もそうなのですが、どうも日本にはコミュニケーションをしないコラボレーションがあるように思います。

もう少し深く考えるなら、そもそもコミュニケーションとは何かという話があって、ボディーランゲージのようなものも含めて言葉を使って意思を通じるのがコミュニケーションだとすると、まさに、日本にはコミュニケーションをしないで意思を通じる方法があると思われます。

これは組織の一様性故なのでしょうか?


◆シャインのいう「基本的仮定」

ところが、エドガー・シャインの組織文化論では、組織文化には3つのレベルがあるとし、3つ目に、「基本的仮定」と訳されている概念があります。これは

「組織に当たり前に受け入れられており、対立にも議論にもならないまま組織活動の前提条件となっているもの」

というのが定義です。詳しくはこちらをお読みください。

【マネジメントスタイル:雑談7】組織文化について考える(1)~なぜ組織文化が重要か
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2020/10/post-db8b.html

この定義から分かるように、「基本的仮定」というのは必ずしもコミュニケーションしなくてもコラボレーションできることを言っています。


◆前提条件は本当に明確にできるのか

基本的仮定のキーワードは前提条件です。基本的仮定とは、言い換えると、コミュニケーションしなくても共有されているものが組織活動の前提条件になっているものです。

ロジカルシンキングが普及してきて、論理(ものごと)には前提条件があることを理解する人が増えてきました。ロジカルシンキング以前は前提条件という概念を理解しているのは本当の一部の人だけでした。余談になりますが、これを理解している人が仕事ができると言われていたような気もします。

そういう経緯もあって、今では前提条件というのは明確にする、つまり、言葉にすることが多くなっていますが、本当に前提条件が言葉にできるかどうかは疑問があります。例えば、プロジェクトマネジメントでは、保険でキャッシュフローを決めるために考案されたアサンプションを応用し、計画のために用いようとしたアサンプション分析という概念があります。これは、前提条件には不確実性があるのでそれに対処することを狙ったものですが、前提条件には不確実性以外に、曖昧性もあります。

だとすれば曖昧性により、前提条件を明確にすることは不可能であり、組織の中で前提条件を共有してメンバー同士ががコラボレーションするには、コミュニケーションを不要な基本的仮定といった要素が必要なのだろうと考えられます。

こういう風に考えてみると、思い当たりのが「暗黙の了解」という言葉です。暗黙の了解と基本的仮定というのは同じなのか、違うのかが問題になります。


◆暗黙の了解と基本的仮定

暗黙の了解は

「口に出して明言しないものの、当事者間の理解や納得が得られているさま。言葉にしなくても皆が了承しているさま」

という意味です。ここで一つ例を考えてみましょう。

ITの世界でよく聞きますが、顧客の言いなりになることがあるそうです。これには顧客が望むことを全力で提供するのが自分たちのサービスだという考えが背景にあるという話をよく聞きます。これをよしとしている企業は少ないと思いますが、なかなか変わりません。ここで交渉力とか、説得力といったスキルが出てくるわけですが、そもそもなぜこういう状況になったのでしょう。

よく聞くのは、「顧客が発注できるのは自分たちだけではないので、次も自分たちが受注できるようにするため」だというものです。そしてこれは自社の「暗黙の了解」だと言っている人が多いのです。暗黙の了解というのはたぶん、こういう具体性の高いものだと思われます。


◆個々人が組織の基本的仮定から具体化して、行動に移す

これを基本的仮定として考えると、例えば、顧客の心をひきつける魅力的なサービスを提供することです。つまり、基本的仮定とは抽象度が高いもので、それを組織のメンバーの一人一人が具体化できて初めて、組織文化が構築できていると考えます。

この前提条件の共有ができている状態を、基本的仮定以外の言葉で何かないかと探していたというのが最初に書いた話ですが、阿吽というのはどうだろうと思った次第です。

基本的仮定があるというのは、抽象的なレベルで意思が統一されており、それを具体化することは、価値を考え、それをモノやサービスに落としていくことに他なりません。シャインの組織文化論はそれが可能な枠組みになっています。

この方法について、別の機会に説明しますが、いずれにしても組織文化がマネジメントやビジネスに役立つ前提は、個々のメンバーがコンセプチュアルスキルが高く、文化という抽象的なものを共有し、自らの具体的な活動に展開していけることです。

◆VUCAマネジメント塾とは

「VUCA時代に対応できるマネジメントを探求する」をコンセプトにした新しい
活動

「VUCAマネジメント塾」

https://vuca-mgmt.peatix.com/

を開始します。12月8日に第2回の説明会&体験会を開催します。

今回は、組織文化をテーマに行います。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆VUCA時代の事業と組織文化のつくり方~組織文化編◆
 日時:日時:2020年12月08日(火) 14:00-16:00
 場所:ZOOMオンライン
 講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ)
    新井宏征(株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役)
 詳細・お申込 https://vuca-mgmt-201105.peatix.com/
 主催:プロジェクトマネジメントオフィス、スタイリッシュ・アイデア
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13:50    開場
14:00-14:15 VUCAと向き合う(新井宏征)
14:15-14:45 組織文化でVUCAを乗り越える(好川哲人)
14:45-14:55 質疑
14:55-15:50 ワーク(好川哲人)
15:50-16:00 VUCAサービス紹介(新井宏征)
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