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2020年7月 2日 (木)

【マネジメントスタイル:雑談2】コンセプチュアル思考の各軸を極めるための本

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PMstyleでは、「コンセプチュアル思考」という思考法を提唱しています。

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好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim

コンセプチュアル思考は5つの軸の軸の行き来で実践します。

大局/分析
抽象/具象
直観/論理
主観/客観
長期/短期

の5軸です。大局や長期は経営者やマネジャーのスキルとしては古くから重要性が指摘されていたものですが、この5年くらいで他の軸についても急速に認知されるようになってきたように感じています。

そこで、この記事では、抽象/具象、直観/論理、主観/客観の3軸に関する書籍を簡単にコメントをつけながら紹介してみたいと思います。


◆抽象/具象の本

まず、最初に重要だと言われるようになってきたのは、抽象と具象の行き来です。これについては90年代から指摘する人もいましたが、具体との行き来で初めて意味が生まれるということを言っていた人はありませんでした。それを最初に言ったが楠木建先生のこの本です。

楠木 建「経営センスの論理 (新潮新書) 」、新潮社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105152/opc-22/ref=nosim

この後、この分野では定番になる本が登場します。ビジネスコンサルタントの細谷功さんの

細谷 功「具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ」、dZERO(2014)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4907623100/opc-22/ref=nosim

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です。細谷さんはそれまでにも、「地頭力」や「アナロジー思考」などで、抽象化能力の重要性を言われていましたが、この本で全貌を描かれた感じです。また、最近ではこのテーマでトレーニングブックを出されています。

細谷 功「「具体?抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書)」、PHP研究所(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569845991/opc-22/ref=nosim

細谷さんのほとんどの著作ではこの問題へ言及されています。

抽象と具象の行き来に関しては、他にもこんな本があります。

安田 健介「抽象・具体の往復思考 ―安田健介傑作選―」、幻冬舎(2016)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/434499440X/opc-22/ref=nosim

また、ビジネス書ではなく、創造行為や芸術の分野を想定した本だが、読んでみて非常に面白かったのがこちらの本です。

栂 正行「抽象と具体 創造行為を描き出すこと」、三月社(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990775546/opc-22/ref=nosim

この本では、抽象と具象をどのように表現しているかを論じていて、この議論の本質に触れることができます。

このほかにも、抽象と具体について述べたり、論じたりしている本は非常に増えてきています。


◆直観/論理に関する本

次に直感(直観)に関する本です。この分野も古くから本があるのですが、どちらかというと直感力が高いことは人生にとっていいことだという前提があり、そのため、直感力がどう役に立つかはあまり深堀りされず、直感力の高め方に関するものがほとんどだったように思います。ビジネス書としては際物的な位置づけだったわけですが、ビジネスの分野につないだ本がこの本だと思っています。

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羽生 善治「直感力 (PHP新書)」、PHP研究所(2012)

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569804896/opc-22/ref=nosim

棋士は「直感」と「読み」と「大局観」の三つを使いこなしながら対局に臨んでいるという話からこの本は直感について述べられたものですが、「読む」とは直観と論理の組み合わせであることがよく分かる本です。ちなみに羽生さんは大局観に関する本も書かれています。


羽生 善治「大局観 自分と闘って負けない心 (角川新書)」、角川書店(2011)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047102768/opc-22/ref=nosim

この本を読むと、「読む」ことのもう一つの側面として、大局と分析の行き来をすることであることが分かります。

直感は今、ビジネス書ではブームともいえるような状況になっていますが、そのきっかけになったのが、内田和成さんのこの本です。

内田和成「右脳思考」、東洋経済新報社(2018)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557865/opc-22/ref=nosim

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内田さんは2008年に「スパークする思考」(角川書店)という本でクリエイティブな仕事をする上で、右脳思考が重要であることを述べられていますが、その部分だけを深堀りした内容になっている本です。ちなみに、「スパークする思考」は

内田 和成「右脳思考を鍛える: 「観・感・勘」を実践! 究極のアイデアのつくり方」、東洋経済新報社(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557911/opc-22/ref=nosim

として復刊されています。このほか、2019年には、

野中 郁次郎、山口 一郎「直観の経営 「共感の哲学」で読み解く動態経営論」、KADOKAWA(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046024909/opc-22/ref=nosim

佐宗 邦威「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」、ダイヤモンド社(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478102856/opc-22/ref=nosim

といった本が出されています。また、2020年になってからは、

田坂 広志「直観を磨く 深く考える七つの技法 (講談社現代新書) 」、講談社 (2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065187958/opc-22/ref=nosim

伊丹 敬之「直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍: 経営の知的思考」、東洋経済新報社(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492315306/opc-22/ref=nosim

といった本が出版されています。野中先生、内田さん、田坂さん、伊丹先生という大物がラインナップされていますので、出版社もそれなりに気合が入っているテーマなのでしょうし、これからもしばらく続くのではないかと思います。

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それからビジネス書という範疇ではありませんが、僕が気に入っている直感の本に、内田樹先生の本があります。この本です。

内田 樹「直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座 (朝日文庫)」、朝日新聞出版(2017)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022619082/opc-22/ref=nosim
(これは論理との行き来について書いた本ではなく、あくまでも直感の役割について書いた本です)。

 

  

 
◆主観/客観に関する本

この軸では、客観性に関する本はビジネスの分野でもそれなりにありましたふが、主観についてはビジネス書ではあまり見当たりませんでした。ところが、最近注目されるようになってきた美意識系やセンスメイキングを中心に本を見かけるようになってきました。代表的なのはこの本です。

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山口 周「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」」、光文社(2017)

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334039960/opc-22/ref=nosim

山口さんは、役に立つことをする時代は終わり、意味があるかどうかが問題になってくるだろうという指摘をしています。いろいろな本で述べられていますが、例えばこの本です。


☆山口 周、水野 学「世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術」、朝日新聞出版(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022516739/opc-22/ref=nosim

山口 周「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」、ダイヤモンド社 (2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447810834X/opc-22/ref=nosim、

こういう価値観のもとで仕事をするには、意味の定義は客観的、普遍的なものではなく、個々人や組織が主観で決めることになります。

意味を考えるということでは、センスメイキング系も主観の話です。センスメイキングは、人間が経験から意味を与える過程であり、本としては2018年に出たマスビアウさんの本がよく知られています。

クリスチャン・マスビアウ(斎藤栄一郎訳)「センスメイキング」、プレジデント社(2018)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423065/opc-22/ref=nosim

しかし、実はバイブル的な本もあったりします。この本です。

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カール・E. ワイク(遠田 雄志、西本 直人訳)「センスメーキング イン オーガニゼーションズ」、文眞堂(2001)

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4830943807/opc-22/ref=nosim

ワイク先生は組織の社会心理学者ですが、その理論の中でセンスメーキングを提唱しました。


いずれにしてもビジネスでも主観はこれから欠かすことのできない分野になっていくと思われます。その懸け橋になりそうなのが、アートで、アートとビジネスの本についてはこちらの記事を参考にしてください。

「アート」と「ビジネス」や「マネジメント」の関係づけを考えた本(改訂版)
https://mat.lekumo.biz/books/2020/02/post-5882.html

ちなみに、哲学の分野では古くから、結構、多い分野でもあります。中でもお薦めはこの本です。

ドナルド・デイヴィドソン「主観的、間主観的、客観的」、春秋社(2007)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4393323076/opc-22/ref=nosim

ということで、コンセプチュアル思考の5軸のうち、最近重視されるようになった3軸に関する本を紹介しました。問題はこれらの軸を如何に統合していくかです。これがコンセプチュアル思考にキモでもあるわけですが、これについては冒頭に紹介しました、こちらの本をお読みください!

好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim

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