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2011年12月30日 (金)

【プロデューサーの本棚】Perspectives on Projects(2010)

0415993741Rodney J. Turner、Martina Huemann、Frank T. Anbari、Christophe、N. Bredillet「Perspectives on Projects」、Routledge(2010)

会社とは何かという議論があります。付加価値を生み出し、社会の富を増やしていくための機能だという考えもあれば、人々に働く場を与え、人生の目標を与えるための場という考え方もあります。あるいは、資産家が自分の資産を増やすための仕組みだと考える人もいらっしゃるでしょう。

会社は誰のものかという問いが、オープンプロブレム(答えのない問題)になっているのは、このような多様性のためです。

会社以上に多様性があるのは、「プロジェクト」です。この本は、プロジェクトの機能を7つのパースペクティブから捉えています。

・Optimization: The Project as a Machine
・Modelling: The Project as a Mirror
・Success: The Project as Business Objective
・Governance: The Project as a Legal Entity
・Behaviour: The Project as a Social System
・Marketing: The Project as a Billboard
・Process: The Project as an Algorithm
・Decision: The Project as a Computer
・Contingency: The Project as a Chameleon


日本でも90年代のプロジェクトマネジメントの本には、結構、こういう議論が含まれているものがありました。しかし、プロジェクトが増えてきて、プロジェクトの概念が固定化し、本末転倒が起こっているように思います。つまり、

「有期性」があり、「新規性」があり、「ローリングウェーブ」が必要な仕事なので、プロジェクトで行うという理屈がまかり通るようになってきています。

本来は逆で、プロジェクトにはそのような性質を持つものが多いという話です。それはどうでもいいのですが、このようにプロジェクトの機能性を考えないというのは、ほぼ、「創造」を捨てることとイコールです。

問題はどのようにプロジェクトをマネジメントするかではありませんし、なぜ、そのプロジェクトをやるかでもありません。なぜ、それをプロジェクトで行うかなのです。

それがきまれば、おのずと、何の目的で行い、どのように管理していけばよいかは決まってきます。

日本でもこの種の議論を組織の中に限ってした本があります。ちょっと古い本ですので、プロジェクトの企画ネタは少し古い感じがしますが、本質は変わらないので、本書と併せて、一度、読んで見られては如何でしょうか?

林 伸二「組織が活力を取りもどす―プロジェクトの立案から監査まで」、同友館(1997)

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