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2010年7月 5日 (月)

【コンセプチュアルスキル講座】第1講 ロジカルシンキング(2)隠れた前提を探せ!

◆前回の宿題

前回、論理の基本の話をした。そして、最後に、以下の例

Aプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入しよう
Bプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入するのはやめよう

を示し、なぜ、同じメッセージから、どうしてこんな矛盾した結論がでてくるのかを宿題とした。どのくらいの方が気づかれただろうか?


◆演繹には二つ以上の前提が必要

気づかれた方は先に進んでほしい。気づかれなかった方は、もう一度、前回の演繹のところを読み直してほしい。実は、これは一見正しいように見えるが、論理として正しくない。これは演繹構造である。したがって、「納期遵守は重要である」というのは一つの前提であって、実はそれだけでは結論を引き出すことはできない。だから、一つの前提だけで演繹すると、まったく異なる答えが出てきてもおかしくない。

つまり、AとBの答えが違うのは、隠れている前提が違うからだ。たとえば

Aプロジェクトでは、プロジェクトが大規模で計画的にプロジェクトが行われているので新メンバーの加入により既存メンバーのパフォーマンスは落ちない

Bプロジェクトは小規模なプロジェクトで、プロジェクトマネジャーが属人的にプロジェクトを進めているので新メンバーの加入により既存メンバーのパフォーマンスは落ちる

という「プロジェクトの納期遵守が重要」以外の「隠れた」前提があるわけだ。最初の前提を大前提、この前提を小前提ということがある。


◆前提を見逃すと判断ミスにつながる

実は、この隠れた小前提をきちんと探さずに、

Aプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入しよう

をロジックだといって失敗しているケースが多いのだ。このような論理は「短絡的」と言われるが、短絡的な論理によってプロジェクトを失敗させているケースは結構多い。これが、理屈よりも経験と勘、KKD派閥のなくならない理由になっている。これは、明らかな勘違いである。


◆論理とKKD

経験と勘について少し、考えておこう。本来であれば、隠れた前提があって論理が成り立っているにもかかわらず、経験を前提にすることによって論理にしてしまうのが経験重視である。たとえば、

「プロジェクトの納期遵守が重要」
 かつ「以前同じようなプロジェクトでは要員投入でうまくいった」

という経験則を前提としてくっつけてしまうのだ。このように書くとよくわかると思うが、経験則というのは結論が前提に入る。論理としてみればおかしい。しかし、経験が役に立たないわけではない。

実は経験則の鍵は、「同じような」という言葉にある。同じようなという言葉の意味が上に述べたように

大規模で計画的に行われているプロジェクト

であれば、問題はない。ところがプロジェクトマネジャーの経験が、

大規模だが、KKDで運用されているプロジェクト

であれば論理は成り立たない。経験によって判断することは貴重なことである。しかし、経験を一度、ロジックに落として、前提として適切であることを確認した上で、判断を下すべきである。この失敗も多いので、心しておきたい。

さて、ここでもう一つ。

プロジェクトが大規模で計画的にプロジェクトが行われているので新メンバーの加入により既存メンバーのパフォーマンスは落ちない

という前提はどの程度正しいのかという問題がある。

◆宿題

「風が吹けば桶屋が儲かる」という論理がある。

風が吹くと砂ほこりが舞う。砂ほこりが舞うと目に入って失明する人が出る。失明した人は稼ぎのために三味線を弾く。三味線の需要が増えるので猫が減る。猫が減ると鼠が増える。鼠が増えると桶を齧る。桶の需要が増えるので桶屋が儲かる。

というのが、原型だが、

風が吹くと屋根が傷む。屋根が傷むと雨漏りがする。雨漏りがすると桶で受ける。桶の需要が増えるので桶屋が儲かる。

といった論理もあるようだ。論理としての正しさができるだけ高い「風が吹けば桶屋が儲かる」を作ってみてほしい。

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