◆品質マネジメントからプロジェクトマネジメントへ
ライフサイクルマネジメントがビジネスの鍵を握るケースが増えてきた。
「Made in Japan」が高品質の代名詞だった時代には、生産開始までに設計品質を完璧にし、かつ、生産における品質改善を繰り返し、考えられる範囲で最高の品質の商品を出荷してきた。品質マネジメントを源泉とし、品質を競争力とする「ものづくり」である。そして、ものづくりは、ハードだけではなく、ソフトにも適用されてきた。
そのような中で、顧客のニーズが多様化し始めた。そのため、商品ロットが小さくなり、また、売れる期間(寿命)が短くなってきた。商品が競争力を持つには、顧客の要求に細やかに答えると同時に、商品を投入するタイミングや開発コストをコントロールする必要が生じた。そこで、注目されたのが、プロジェクトマネジメントである。
プロジェクトマネジメントは、ものづくりを製品の品質や原価をコントロールするだけではなく、プロジェクトの商品といわれる顧客要求への対応、納期やプロジェクトコストまでコントロールするために重要な役割を果たすようになってきている。
◆与えられた仕事を行う理由を徹底的に考えて下さい
もう20年以上前の話になりますが、大学を卒業して三菱重工業という機械メーカに入社したときに入所式でこんなことを言われた方がいらっしゃいました。
上司から仕事を命じられたら、なぜその仕事をやらなくてはならないのかを徹底的に考えて下さい。分からなければ命じた上司に聞いてください。理解してから取りかかってください。理解するのに時間がかかっても構いません。結局それが近道になります。そして、理解できたら、その仕事を通じて自分として達成したい課題を一つ必ず見つけて取り組んでください。その課題が本来やらなくてはならない仕事の中にあるようなら、我が社の将来はありません。
実は三菱重工にいたときにはなんとも思わなかったのですが、その後、コンサルタントとして独立し、いろいろな会社をみているうちに、如何にすごいことを言っているかが理解できるようになってきました。多くの企業では、「そんな余計なことを考えなくてよい、言われたことを如何に高い品質で実現するかだけを考えろ」と指導されていたのです。
ある企業の事業部長が著者にこういいました。
プロジェクトがうまくいかないのはプロジェクトマネジャーの力量に問題があるからだ。
どう思いますか。「PMOは何をしているんだ」、「そんなプロジェクトマネジャーを選んだ組織にも問題がある」といった異論も出てきそうです。