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2010年6月14日 (月)

プロジェクトマネジメントからプロダクトマネジメントへ

◆品質マネジメントからプロジェクトマネジメントへ

ライフサイクルマネジメントがビジネスの鍵を握るケースが増えてきた。

「Made in Japan」が高品質の代名詞だった時代には、生産開始までに設計品質を完璧にし、かつ、生産における品質改善を繰り返し、考えられる範囲で最高の品質の商品を出荷してきた。品質マネジメントを源泉とし、品質を競争力とする「ものづくり」である。そして、ものづくりは、ハードだけではなく、ソフトにも適用されてきた。

そのような中で、顧客のニーズが多様化し始めた。そのため、商品ロットが小さくなり、また、売れる期間(寿命)が短くなってきた。商品が競争力を持つには、顧客の要求に細やかに答えると同時に、商品を投入するタイミングや開発コストをコントロールする必要が生じた。そこで、注目されたのが、プロジェクトマネジメントである。

プロジェクトマネジメントは、ものづくりを製品の品質や原価をコントロールするだけではなく、プロジェクトの商品といわれる顧客要求への対応、納期やプロジェクトコストまでコントロールするために重要な役割を果たすようになってきている。


◆プロジェクトのマネジメントからライフサイクルのマネジメントへ

さらに最近では、プロダクトやプロジェクトの品質だけではなく、ライフサイクルのマネジメントが必要になってきた。同一モデルにおいて、一旦、出荷した商品を、顧客の声を反映して改善していくことが普通になってきた。逆に、そのような細やかな対応が競争力になってきた。

たとえば、最近話題のiPadというアップル社のタブレットPCがある。この商品では、最初から通信のスピードに問題があることがわかりながら、「今後、改善されていくだろう」というアップル社からのメッセージとともに出荷され、それがユーザに受け入れられている。もちろん、改善されれば、次のモデル以降で改善されるわけではなく、自分のiPadも改善されることがわかってるからだ。

つまり、ある商品に注目してみれば、出荷後、利用者の手に移って、そのユーザがその商品を廃棄するまで、ライフサイクル全体で開発を行っているような状況になっており、構成管理をはじめとして、ライフサイクルをマネジメントすることが不可欠になっている。

最初はソフトウエア商品から始まった動きであるが、今では情報家電と呼ばれるものをはじめとして、ソフトウエアの占める割合が多い自動車のようなハード商品にも同じような動きが出てきた。


◆プロダクトマネジメントとは

このニーズに応えるのがプロダクトマネジメントである。プロダクトマネジメントは、従来、プロジェクトマネジメントが注目してきた

・市場機会の発見
・製品デザイン
・製品テスト
・市場導入

の4つの製品サイクルに加えて、

・ライフサイクルマネジメント

の5つの製品サイクルをマネジメントするマネジメント手法である。


◆プロダクトマネジメントがもたらすメリット

プロジェクトマネジメントが品質マネジメントに、品質・スケジュール・コスト・スコープ(QCDS)のトレードオフを持ち込んだように、プロダクトマネジメントもプロジェクトマネジメントにライフサイクルを踏まえてQCDSのトレードオフも持ち込むことになる。

これはプロジェクトマネジメントにとっても重要な意味を持つ。あるべき姿を求めて行う活動をすべてプロジェクトの中で解決する必要がなくなり、ライフサイクル全体で目的を達成するという選択肢が取れるからだ。

別の言い方をすれば、プロジェクトマネジメントでは、QCDSのトレードオフにより、商品の価値を高めることが可能になった。プロダクトマネジメントは時間的なトレードオフにより、商品の価値を高めることが可能になることが期待される。

ただし、このようなメリットをもたらすには、市場機会の発見から、ライフサイクルマネジメントまでが、戦略的に、整合性を持って行われることが不可欠であるのはいうまでもない。


◆関連セミナー

第1回PMstyleプレミアムセミナーで、プロダクトマネジメントの入門講座を行います。講師は、「プロダクトマネジャーの教科書」の翻訳を手がけられた新井 宏征さんです。新井さんはプロダクトマネジメントのセミナーはほとんど実施されていませんので、滅多にない機会です。

奮ってご参加ください。

なお、PMstyleプレミアムセミナーはPMstyle+会員向けのセミナーですので、参加には、ゴールド会員(無料会員)、あるいは、プラチナ会員(有料会員)への登録が必要になります。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆第1回 PMstyleプレミアムセミナー
    ~プロダクトマネジャーの役割と仕事術    ☆3PDU取得可能
  日時:2010年7月16日(金) 13:30-16:30
  場所:銀座ブロッサム中央会館(東京都中央区)
  講師:新井 宏征氏
  詳細・お申込 http://bit.ly/9URqb0
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【カリキュラム】
□セッション1
講演:プロダクトマネジャーの役割と仕事術(講師:新井 宏征氏)
1.プロダクトマネジメントとは
2.プロダクトマネジメントのプロセス
3.プロダクトマネジャーの役割
4.プロダクトマネジャーが身につけるべきスキル
5.プロダクトマネジメント組織
6.プロダクトマネジメントの今後
□セッション2
解説:IT分野への適用 (講師:好川哲人)
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