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2010年5月25日 (火)

【コンセプチュアルスキル講座】第1講 ロジカルシンキング(1)論理の基本構造

◆演繹と帰納という論理の構造

ロジカルシンキングの基本になるのは論理である。まず、論理の基本を思い出しておこう。中学校で習った話である。

論理的に正しいことを主張する方法として、論理の「基本構造」を発見したのはアリストテレスである。アリストテレスは、論理的に正しい主張をするための方法として、演繹(deduce)帰納(induce)の2つがあることを示した。演繹は、

演繹:正しい「前提」から「推論」して正しい結論を導く方法

である。帰納は

帰納:「複数の事象」から「結論」を導く方法

である。違う言い方をすれば、

演繹:「一般」から「個別」へ
帰納:「個別」から「一般」へ

という構造を持っている。

アリストテレスが演繹の証明の例にあげたのは「ソクラテスは死ぬ」という命題(メッセージ)だった。ここではよく知られているようにアリストテレスは

人は死ぬ(一般論)→ソクラテスは人間である→ソクラテスは死ぬ(個別論)

という演繹構造により承継した。この構造は、前提が

人は死ぬ(大前提)→ソクラテスは人間である(小前提)→ソクラテスは死ぬ(結論)

という構造になっている。

これに対して、帰納にも構造がある。個別論から、法則を導く構造だ。たとえば、

ギリシア人はみんな死んでいる/ローマ人もみんな死んでいる/カルタゴ人もみんな
死んでいる(個別論)
  →人は死ぬ(一般論)

という帰納構造で、共通項を取り出すと、再現性が高く、法則化できる。帰納とは言い換えると、この法則化のプロセスのことである。

論理的に正しいことを言おうとすれば、演繹か、帰納を構成する必要がある。


◆メッセージには主語と述語が必要

ここでひとつ覚えておいてほしいことがある。「メッセージ」には「主語」と「述語」が必ず必要だということだ。これはきわめて重要である。述語がなければ論理展開に必要なメッセージを持たない。論理とは直接関係ないが、名詞だけでものの意味を表そうというのが、この連載のタイトルでもある「概念」である。概念だけでは主張はできない。

当たり前だと思うかもしれないが、意外とここは盲点になっている。たとえば、進捗報告で問題点の欄にこんな表現をときどき見かける。

スケジュール遅れ

「スケジュール遅れ」から何らかの論理展開をして、問題分析を行うとか、問題解決を行うわけであるが、これは論理的構造を持つメッセージになっていない。問題点の欄に記載されているので、スケジュール遅れがあるということなのだろが、あるスケジュール遅れがずっと続いているのか、スケジュール遅れが時間とともに大きくなっているのか、スケジュール遅れが時間とともに小さくなっているのかわからない。したがって、よい論理は組めず、問題解決にしても問題分析にしても不十分なままで終わる。


◆宿題

さて、ではもう少し、話を進めて行きたい。以下の文章を考えてみてほしい。

Aプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入しよう
Bプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入するのはやめよう

なぜ、同じメッセージから、どうしてこんな矛盾した結論がでてくるのだろう。次回までの宿題にする。


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