【コンセプチュアルスキル講座】第1講 ロジカルシンキング(1)論理の基本構造
◆演繹と帰納という論理の構造
ロジカルシンキングの基本になるのは論理である。まず、論理の基本を思い出しておこう。中学校で習った話である。
論理的に正しいことを主張する方法として、論理の「基本構造」を発見したのはアリストテレスである。アリストテレスは、論理的に正しい主張をするための方法として、演繹(deduce)と帰納(induce)の2つがあることを示した。演繹は、
演繹:正しい「前提」から「推論」して正しい結論を導く方法
である。帰納は
帰納:「複数の事象」から「結論」を導く方法
である。違う言い方をすれば、
演繹:「一般」から「個別」へ
帰納:「個別」から「一般」へ
という構造を持っている。
アリストテレスが演繹の証明の例にあげたのは「ソクラテスは死ぬ」という命題(メッセージ)だった。ここではよく知られているようにアリストテレスは
人は死ぬ(一般論)→ソクラテスは人間である→ソクラテスは死ぬ(個別論)
という演繹構造により承継した。この構造は、前提が
人は死ぬ(大前提)→ソクラテスは人間である(小前提)→ソクラテスは死ぬ(結論)
という構造になっている。
これに対して、帰納にも構造がある。個別論から、法則を導く構造だ。たとえば、
ギリシア人はみんな死んでいる/ローマ人もみんな死んでいる/カルタゴ人もみんな
死んでいる(個別論)
→人は死ぬ(一般論)
という帰納構造で、共通項を取り出すと、再現性が高く、法則化できる。帰納とは言い換えると、この法則化のプロセスのことである。
論理的に正しいことを言おうとすれば、演繹か、帰納を構成する必要がある。
◆メッセージには主語と述語が必要
ここでひとつ覚えておいてほしいことがある。「メッセージ」には「主語」と「述語」が必ず必要だということだ。これはきわめて重要である。述語がなければ論理展開に必要なメッセージを持たない。論理とは直接関係ないが、名詞だけでものの意味を表そうというのが、この連載のタイトルでもある「概念」である。概念だけでは主張はできない。
当たり前だと思うかもしれないが、意外とここは盲点になっている。たとえば、進捗報告で問題点の欄にこんな表現をときどき見かける。
スケジュール遅れ
「スケジュール遅れ」から何らかの論理展開をして、問題分析を行うとか、問題解決を行うわけであるが、これは論理的構造を持つメッセージになっていない。問題点の欄に記載されているので、スケジュール遅れがあるということなのだろが、あるスケジュール遅れがずっと続いているのか、スケジュール遅れが時間とともに大きくなっているのか、スケジュール遅れが時間とともに小さくなっているのかわからない。したがって、よい論理は組めず、問題解決にしても問題分析にしても不十分なままで終わる。
◆宿題
さて、ではもう少し、話を進めて行きたい。以下の文章を考えてみてほしい。
Aプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入しよう
Bプロジェクトでは納期遵守は重要である。だから、要員を投入するのはやめよう
なぜ、同じメッセージから、どうしてこんな矛盾した結論がでてくるのだろう。次回までの宿題にする。
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投稿: SHOSHI | 2010年5月25日 (火) 14:30
PMstyleの好川です。たいへん、申し訳ありません。修正しました。
投稿: 好川哲人 | 2010年5月26日 (水) 01:06