PMコンピテンシー強化術(1)~PMコンピテンシーにはどのようなものがあるか
◆マネジメント行動とは
前回は準備号ということで、PMコンピテンシーのイメージを述べた。今回はもう少し具体的に、プロジェクトマネジャーにはどのようなコンピテンシーが必要かということを考えてみる。その前に、「マネジメント行動とは具体的にはどのようなものか?」という質問があったので、補足。
プロジェクトマネジメント行動とはたとえば、
・スコープを定義する
・スケジュールを作る
・母体組織とリソースの活用に関する交渉をする
・チームをまとめるパーティをする
・トラブルに対処する
といったものである。前回述べたように、PMコンピテンシーとはプロジェクトマネジメント行動の中核となるものである。このような行動を「一定のレベルで行う」ために必要になるのがPMコンピテンシーである。
◆pmstyle PMコンピテンシー
pmstyleのPMコンピテンシーには
・アカウンタビリティ
目標達成のための自己の責任を明確に自覚し,結果に対して責任のある行動をとる
・自信
リスクの高い仕事に挑戦する,あるいは,権力のある人に立ち向かう
・リーダーシップ
メンバーを効果的にともに働くように導いたり,動機付けを行う
・アナロジー思考力
ある分野の現象を,まったく異なる分野の現象に置き換えて考える
・顧客志向性
顧客を大切にし,顧客の関心に最大の注意を払う
・顧客説得性
顧客にとっての真の利益を察知し,顧客の要望とのギャップを埋める行動をとる
・創造性
新たな発想で事実や技術の活用を考える
・戦略指向性
先々の展開を予想し,目標達成にむけて戦略性のある発想ができる
・リスク管理能力
リスクをきちんと認識し,そのリスクを踏まえた発想をする
・バランス感覚
複数のものごとのバランスを保ちながら,全体を進めていく
・実行力
目標の達成を阻害するさまざまな抵抗にひるまず,次々と新たな行動を起こす
・問題解決能力
目標達成を阻害する問題を迅速かつ,適切に処理する
・自己統制力
ストレスやプレッシャーの中でも自己を安定した状態に保つことができる
・徹底確認力
ものごとを体系的に捉え,曖昧さを排除し,詳細にまで注意を払いながら行動する
・現象観察力
起こっていることをきちんと観察し,それを多面的に比較し,検討することができる
・分析思考力
原因と結果の間の関係を突き止め,それに基づいて考えを展開していくことができる
といったものがある。
◆PMコンピテンシーがある場合、ない場合
このようなコンピテンシーがある場合と、ない場合で、プロジェクトマネジメントの行動が変わってくる。一つの例をとると、アカウンタビリティというコンピテンシーが高い人がスコープ定義をするために、WBSを作成すると成果物重視のWBSを書くが、アカウンタビリティの高くない人がWBSを作成すると、プロセス重視のWBSをつくり、成果物がこぼれてしまうといったことが起こる。
この関係は逆の関係もあることに注意をしてほしい。仮に、スコープ定義の方法としてその手順や、WBSという手法を知らない人がいれば、決してアカウンタビリティは高くならない。
つまり、PMコンピテンシーをもつことと、手順を知っていること、手法を知っていることは相互に必要条件になっている。
では、このようなコンピテンシーを身につけるにはどうすればよいか?次回。
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