ゆとりをもって仕事をしよう(3)
好川がプロジェクトマネジメントの必要性を語るときによく使う例で
スケジュールが遅れる
→ あせる
→ ミスが重なる
→ ますます、スケジュールが遅れる
スケジュールが遅れる
→ あせる
→ 残業をする
→ 疲れ、生産性が下がる
→ ますます、スケジュールが遅れる
予想外の技術的問題がでてくる
→ あせる
→ 冷静に問題解決ができなくなる
→ 解決できる問題も解決できなくなる
といった例があります。いずれも(悪)循環の例なのですが、プロジェクトマネジメントの本質は、悪循環を起こさないようにプロジェクトを粛々と進めること、あるいは、もう少しシニアなプロジェクトマネジメントであれば、個人やチームの中に好循環を引き起こすことだと言えます。
実は悪循環と好循環は紙一重で、その間にあるのが「ゆとり」です。例えば、スケジュールが遅れているときにでも
ゆとりを持っている<くさび>
→ 冷静に対処方法を考えられる
→ リカバリーの方法を見つける
→ スケジュールを是正できる
となるわけです。つまり、あまり、好ましくない状況で<くさび>となり、状況を反転するのが「ゆとり」です。
ゆとりというと「物理的な時間」だと考えている人が多いようで、そんなのは無理だということになってしまいます。しかし、決してそんなことはありません。例えば、こんな経験をしたことはありませんか?
あるお客さまと業務契約をしたが、初期の計画策定の対応がいろいろな社内調整で遅れ、お客さまから催促をされてやっと約束の期限に間に合った。その後は、ずっとお客さまのペースで、進んで、スコープの確認作業などでイニシャティブをとられ、結果として、スコープクリークが興り、まったくゆとりのないプロジェクトになってしまった
このケースのように、「ゆとりがない」という症状は精神的なものから始まり、それが物理的な症状を生み出すケースが多いのです。ところが精神的にゆとりがない段階では実害がないのであまり真剣に対応しません。忙しいと文句を言いながら、なんとかこなしていきます。
ところがそのうちに本当に物理的な問題が発生して、時間的にゆとりがなくなってしまいます。時間的な問題になる前に、原因を断ち切って精神的なゆとりを持っておく必要があります。これをうまくやれば、好循環に持ち込むことができます。
by 好川哲人
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