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2021年4月

2021年4月26日 (月)

【コンセプチュアルスタイル考】第56話:「コンセプチュアル」とは何か

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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Conceptual15◆概念とは何か

コンセプチュアルリーダー塾の活動を再開し、何回か「コンセプチュアル」ってどういう意味ですかという質問を受けました。コンセプチュアルスキルに関する活動をはじめて10年近くになりますが、当時と比較すると言葉自体はよく使われるようになってきましたが、明確な定義で普及してきているかというと、今でもはっきりしない人が多いようです。そこで、今回は「コンセプチュアル」の意味を解いてみたいと思います。

コンセプチュアルの名詞はコンセプト(concept)です。コンセプトという言葉は普通に使われるようになってきましたが、どういう意味かと聞かれると説明に困るという人が少なくないと思います。そもそもをいえば、コンセプトは概念、コンセプチュアルは概念的と日本語が当てられますが、概念ってどういう意味かと聞かれると説明に困る人が多いのではないかと思います。難しい「概念」だといえます。

例えば、デジタル大辞泉を調べると概念の説明として

「事物の本質をとらえる思考の形式」

だとした上で、「個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される」という説明がされています。そして、これがconceptの説明だともされています。これらを参考に、このあとの議論のためには、ここでは概念を

「共通している点によって、それらを同じ種類だと判断できる考え」

と表現しておきます。

少し脱線しますが、概念の説明で興味深いのは、ブリタニカ国際大百科事典の説明で、

「一般にAの概念といえばAについての経験的事実内容ではなく、Aに関する論理的、言語的意味内容をさす」

という説明があることです。

日本の戦後に生まれた習癖の一つに論理を軽視し、経験を重視するというのがありますが、これによって経験的内容ではないことに関する意味の理解を邪魔しているように感じることがよくあります。だとすれば、これが概念という考え方が理解しにくい理由なのかもしれません。

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2021年4月23日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】コンセプチュアルリーダー塾説明会のお知らせ

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/ 

コンセプチュアルリーダー塾 : https://www.facebook.com/groups/354890747963982

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Conceptual_leader1_3

2021年5月にリニュアルしますコンセプチュアルリーダー塾の説明会を開催します。

新しいコンセプチュアルリーダー塾では、2021年は「センス」をテーマに掲げ、個人とチーム/組織の両面から活動を行います。

個人の側面からは、コンセプチュアル思考を使いこなすことによって、センスのよいマネジメントや業務のできるリーダーを育成する場にしていきます。

また、チームや組織の側面からは、センスのよい人材(コンセプチュアルリーダー)が活躍できるチーム、組織をつくる方法を考える場(コンセプチュアル組織ラボ)にしたいと思います。

つきましては、5月12日に個人対象、5月31日にチーム/組織対象のコンセプチュアルリーダー塾説明会を開催します。

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2021年4月 9日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第55話:コンセプチュアル思考でセンスを磨く!

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【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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◆コンセプチュアルスキルってなんですか?

Sense2


コンセプチュアルスキルという言葉はだいぶ普及してきましたが、意味を尋ねるとなかなか明確な答えが返ってこない言葉です。もし、あなたが、

「コンセプチュアルスキルって何ですか」

と尋ねられたらなんと答えますか。

多いのは、問題発見、問題解決や意思決定、経験学習のような思考活動という答えなのですが、これは厳密にいえば正しくありません。問題解決がすべてコンセプチュアルスキルとは限らないからです。

例えば、交通事故が起こったときに、警察官が行うのは運転の仕方や運転者のスキルなどに基づく原因分析(問題発見)ですが、コンセプチュアルスキルではありません。コンセプチュアルスキルと言えるのは、なぜ、そのような運転をしたかを深く分析する問題発見です。

これは、洞察といわれる思考活動ですが、見えない部分を分析することが多く、事実かどうかははっきり分かりません。例えば、直線の先にあるカーブでスピードの出し過ぎで事故を起こしたときに、ブレーキが効かなかったという理由であれば見えることとですし、ほぼ事実だと言えます。しかし、ストレス解消のためにスピードを出していたが、先にカーブがあることに気がつかなかったとすれば、本人にしか分からない推測の世界です。

警察の仕事は本人の供述以外には認知されない世界ですが、ビジネスではこの部分をどう考えるかが勝負の分かれ道になることが多いのです。言い換えるとコンセプチュアルスキルが仕事の成否を決めると言ってもいいでしょう。特に、VUCA時代には失敗を成功の一プロセスとして捉えなくてはなりませんので、この問題は影響が大きくなります。


◆失敗を活かすためには

例えば、よく失敗を活かして仕事を進めると言いますが、なかなかうまくできません。その理由として失敗は許されないので、無視するしかないなどという主張が多いのですが、本当の問題は失敗を無視することではなく、失敗した理由、特に目に見えていない理由を十分に考えられるかどうかにあります。

研修などで同じケース(問題現象)に対して原因の分析をすると、組織によって全く答えが違うというのは珍しくないのですが、その違うを生み出しているのは、分析の深さだったり、分析の方向性だったりします。

この原因の分析が適切にできていると有効な改善ができますが、不適切だと問題を大きくするばかりになりかねません。

深さに関しては、なぜなぜ分析という手法があります。トヨタの5WHYで知られるように、原因を5回も深掘りすれば見なないところが見えてきて、適切な解に行き着くだろうとよく言われます。しかし、実際にトヨタの人の問題解決行動を見ていると5WHYは深さだけではないことがよく分かりますし、現になぜなぜ分析をして同じ回数、深掘りしても、トヨタの人と他の人では答えのクオリティが違うのです。

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