【コンセプチュアルスタイル考】第43話:コンセプチュアル・マネジメントという提案 ~コンセプチュアル・マネジメント宣言
バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
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◆マネジャーにとってもっとも重要なスキル
ロバート・カッツがコンセプチュアルスキルを提起したときから、コンセプチュアルスキルはマネジャーにとって身につけなくてはならない課題でした。私たちは、その後のドラッカーのマネジメントとナレッジワークの提唱によって、コンセプチュアルスキルの必要範囲は企業で働くすべての人に拡張されたと考えていますが、それでもマネジャーにとってもっとも重要なスキルがコンセプチュアルスキルであり、コンセプチュアル思考であるという状況は変わっていません。
理由は大局的な視点が必要だからです。部長職以上になるというまでもありませんが、たとえば、課長職で、総務課長や企画課長をワンランク上に位置づけている組織は少なくありません。これは総務や企画という仕事は他の課長よりも大局的な視野でものごとを見る必要がある。言い換えると経営職に近いと考えられているからです。
つまり、コンセプチュアルな思考ができないと務まらない仕事だといえます。
このような傾向は年々強くなってきています。従来、特定業務を遂行するための組織を統制することがメインの仕事だった開発や営業などの各業務の課長でも、業務を外部に委託し、ネットワークで仕事をするようになってきており、組織の内部に目配りしているだけではうまくできなくなってきています。
◆コンセプチュアル・マネジメントの4つの課題
このような状況の中で、マネジメントをコンセプチュアルに行うこと、言い換えると、
周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めたマネジメントを行うこと
が不可欠になってきています。マネジメントは本質的にそういうものですが、あえて従来のマネジメントと区別するために、PMstyleではこういうマネにメントを「コンセプチュアル・マネジメント」と呼んでいます。
では、マネジメントにコンセプチュアルな視点が必要なところはどこでしょうか。これはマネジメント活動の見方によってさまざまだと思いますが、コンセプチュアルマネジメントでは、マネジメントの本質的な課題として以下の4つを考えています。
(1)イノベーションを起こす
(2)ダイバーシティを高める
(3)生産性を向上させる
(4)プロジェクトを動かす
これらの活動を適切にできれば、戦略策定、事業計画、組織マネジメント、イノベーションマネジメント、組織コミュニケーション、リーダーシップ、統制などさまざまなマネジメントを、高い品質で実現できると考えているわけです。これは最近では一般的な認識になっています。
では、それぞれのテーマに対して、コンセプチュアルスキルやコンセプチュアル思考はどのような役割を果たすのでしょうか?それぞれのテーマについて過去に書いた記事も参照しながら、説明していきます。
◆イノベーションを起こす
まず、イノベーションについてですが、過去にこのような記事を書いています。
【PMスタイル考】第130話:イノベーションにおけるコンセプチュアルスキルの役割
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2018/01/post-9613.html
【コンセプチュアルスタイル考】第35話:コンセプチュアル思考による意味のイノベーション
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2017/05/post-0519.html
また、別のメルマガ「コンセプチュアル・マネジメント」では、
「コンセプチュアル思考によるイノベーション」
http://mat.le.biz/ppf/conceptual/
という事例記事を書いています。ポイントを一kumo言でいえば、ニーズや顧客要求の本質をコンセプチュアルスキルで見極めることです。特に、「コンセプチュアル思考による意味のイノベーション」で述べたように、イノベーションのためには従来とは違った常識で物事を捉えることが重要です。
たとえば、日産がカーレースで、従来はエンジンの出力を大きくし、空気抵抗を小さくするような車の形状を如何に考えるかで競争していたところに、ピットの時間を短くするといった発想をするのはまさに常識を覆しているといえます。また、アップルがスマートフォンを開発したときには、ユーザは常に新しいものを求めるという常識を打ち破り、タイムレスを実現しました。そのために、拘ったのがシンプルでした。
◆ダイバーシティーを高める
2番目のダイバーシティーについては過去に例えばこんな記事を書いています。
【PMスタイル考】第131話 コンセプチュアルスキルでダイバーシティーを高め
る
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2018/02/post-7775.html
ポイントは、コミュニケーションにおいて相手の考えの本質はどこにあるのかを見極めた上で、それをどのように具体化すれば相手の考えになるのかという視点から相互理解を行うことです。表面的な発言や行動にとらわれていると、本来の意味での相互理解はできませんので、相互理解のためにコンセプチュアル思考は大きな役割を果たしています。
◆生産性を向上させる
3番目の生産性については過去に例えばこんな記事を書いています。
【PMスタイル考】第132話:生産性と効率性
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2018/03/post-2dba.html
【PMスタイル考】第101話:創造性と生産性の不思議な関係
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2015/06/101-27da.html
ポイントは、まず、生産性という概念を正しく理解すること、特に効率性と生産性の違いを明確にすること。その上で、提供したいサービス、製品、あるいは業務の本質はどこになるのかを考え、現在の具体的なものに拘ることなく、本質を具体化する方法を考えることです。
◆プロジェクトを動かす
さらに、4番目のプロジェクトを動かすことに関しては、過去に一度、「プロジェクト&イノベーション」に連載を書いていますし、現在も「PM養成マガジン」にもう少し詳しくした
「コンセプチュアル思考」でプロジェクトを動かす」
http://pmstyle.biz/column/list.htm#concept
連載しています。
コンセプチュアルにプロジェクトを動かすポイントは、プロジェクトでやりたいことの本質を考え、その本質をプロジェクトの制約条件の中で行うことができる方法を探すことです。
◆コンセプチュアル・マネジメント宣言
このような4つのコンセプチュアルな活動をベースにして、事業や業務、人や組織のマネジメントをしていこうというのが「コンセプチュアル・マネジメント」です。
繰り返しになりますが、本来マネジメントはこのようにあるべきですが、現実にはそうなっていないので、これまでのやり方と区別し、新しい形のマネジメントを目指すという意味で、「コンセプチュアル・マネジメント」と呼んでいるのです。
◆新規ワークショップのご案内
来年度から「コンセプチュアル・マネジメント」講座を始めます。まずは、概論と、生産性の向上の講座を行います。
【概論】
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルな組織を創るマネジメント◆ (7PDU's)
日時:2018年 07月 24日(火) 10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:国際ファッションセンター(東京都墨田区)
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_management.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.コンセプチュアルではない組織の問題点
・個人レベルの問題点
・チームレベルの問題点
・組織レベルの問題点
2.コンセプチュアルなマネジメントのポイント
2.1 質問型の組織を創る
2.2 コンセプチュアルな組織活動のプラニング
2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
2.4 コンセプチュアルな人材育成
2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
3.コンセプチュアルなマネジメントの効果
3.1 顧客を理解する
3.2 生産性を上げるマネジメント
3.3 組織のダイバーシティを高める
3.4 イノベーションを起こす
3.5 プロジェクトを成功させる
4.コンセプチュアルマネジメントでコンセプチュアルな組織を創る仕組み
ワークショップ
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【生産性の向上】
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアル思考で生産性を向上させるマネジメント ◆(7PDU's)
日時:2018年 08月 30日(木) 10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:国際ファッションセンター(東京都墨田区)
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_productivity.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.生産性とは
・効率化と生産性の違い
・効率性追求の限界
・生産性向上の要因
2.生産性が低い理由
・プロセスの問題
・付加価値の問題
・メンバーのモチベーションとスキルの問題
・プロジェクトマネジメントの問題
3.生産性を向上させる方法
・スキルアップ(個人)
・イノベーション(チーム)
・新規事業への参入(組織)
4.コンセプチュアル思考で生産性を向上させるマネジメント
・コンセプトはより少ない人数でより大きな価値を生み出す
・生産性の目標設定と進捗管理
・生産性の徹底的な追求
・コアプロセスの改善(効率化)と革新(生産性向上)
・プロダクトイノベーションの追求
・コミュニケーションマネジメント
・振返りとナレッジマネジメント
・コンセプチュアルな人材の育成(コンセプチュアルな組織づくり)
5.コンセプチュアルマネジメントワークショップ
・「生産性向上プロジェクト(仮称)」のプロジェクトプランの作成な問題の見極め
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