【コンセプチュアルスタイル考】第27話:コンセプチュアル思考で問題解決行動がどう変わるか
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◆はじめに
前回はコンセプチュアルスキルとしての問題解決に対して、5つの軸をどのように適用すればよいかを説明しました。今回はその続きとして、それによってどのように行動が変わるのかについて考えてみたいと思います。
◆問題行動を変える(1)
コンセプチュアルスキルが低い人の問題解決における「問題行動」として多いのは
(1)目先の問題の解決に終始するので、類似の問題が再発する(再発)
という行動です。このような問題行動を解消した問題解決を行うにはどうすればよいのでしょうか?
この問題行動を解消するためには、まず
・大局的にはどういう問題か/分析的にはどういう問題か
・長期的にはどういう問題か/短期的にはどういう問題か
と考えてみる必要があります。発生している問題を目先の問題としてしか捉えていませんが、どのように捉える必要があるかと考えてみると、
「大きく見るとこれはどういう問題で、その問題がどのように現実に起こっているのか」
を考えることが必要です。つまり、大局的/分析的な軸からの思考です。たとえば、前回、使いました交通事故の例でいえば、運転技術の分析的な問題として捉えるのか、運転環境も含めた大局的な問題として捉えるのかによってその解決方法が違います。そこで、両方の視点から考え、決めていくわけです。この例では運転環境の問題として捉えています。
前回少し触れましたように、このような思考軸は具体的な概念として起こっている問題を捉えるときに必ず必要な視点になりますし、思考の抽象度を考えるときに不可欠な視点です。
また、もう一つの視点として、長期的にみれば起こっている問題はどういう問題で、それがいまどういう形で起こっているのかを考えてみる必要があります。つまり、長期的/短期的な軸からの思考です。運転環境の問題は、短期的にみれば道路の問題ですが、長期的にみれば交通量なども含めた問題になります。このように長期/短期の視点は、解決策を考える際に、どういうスパンで考えればよいかを考えるために重要な視点になります。
そして、これらの答えを引っ張りながら、
・抽象的に考えるとどういう問題で、どういう解決策が考えられるか。その解決策を具体化すればどういう解決策が考えられるか
という検討を行う必要があります。つまり、交通事故といっても、どのような原因のものを対象とするのかによって抽象度が変わってきます。たとえば、交通事故全般を対象にするのか、運転ミスによる事故を対象にするのかによって、問題の抽象度が違いますが、抽象度を適切に取ることがよい解決策を考えることの前提になるわけです。
これらのアクションを取ることによって、
「問題の本質をとらえ、概念レベルで問題解決を行うため、再発しない問題解決をする」
ことが可能になります。
◆問題行動を変える(2)
次の問題行動として、
(2)問題の定義ができず、既存の問題の枠組みにこだわる(問題の思い込み)
を考えてみましょう。これもよく見かける問題ですが、直面している問題がどういう問題なのかが認識できないという問題です。たとえば、交通事故の問題であれば、車に問題があったことが原因だといったことです。
この問題行動を解消するには、まず、
・大局的にはどういう問題か/分析的にはどういう問題か
ということをじっくりと考える必要があります。抽象と具象の行き来では視点が変わりませんので、大局と分析を行き来して、視点を変えることが必要です。たとえば、大局的には運転環境と考えたときに、分析すると車のトラブルは自然に出てくるわけです。
また、視点を変えるためには
・直観的な問題解決方法はなにか/それは論理的にはどのように説明できるか
を考え、解決策からどのような問題かを考えてみることも効果的です。
これらの思考によって、
「問題の本質を捉えた問題定義をする」
ことが可能になります。
◆問題行動を変える(3)
さらに次の問題行動として
(3)問題は人によって感じ方が違うことを受け入れられない(主体性の欠如)
の解消を考えてみます。この問題は、問題のオーナーシップが明確に認識できないという問題です。たとえば、交通事故の例でいえば、運転者が自分には責任がないという風に考える傾向があるということを受け入れられないというのがそうです。
この問題行動を解消するために、まず、考えるべきことは
・あなたにとってはどういう問題かを主観的に考えてみる/他者にとってはどういう問題かを客観的に考えてみる
必要があります。その上で、そこに
・あなたにとって抽象的に考えるとどういう問題で、どういう解決策が考えられるか。その解決策を具体化すればどういう解決策が考えられるか
を考えることによって、
「主観的に問題の本質をとらえ、概念レベルと形象レベルを行き来する問題解決を行う」
ことが可能になります。
この3つがすべてではありませんが、このように5軸のコンセプチュアル思考によって、問題解決における問題行動をカイゼンすることができます。
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