【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(11)】 全体が意味するものは何か?
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◆抽象化は難しくない
コンセプチュアルスキルというと真っ先に出てくるのが、抽象化のスキルです。確かに、ロバート・カッツの
周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めるスキル
という定義からすれば、抽象化することが重要だと考えられます。また、日本のように具体的な思考を重視する文化では、苦手であることも含めて、抽象化を意識してしまうのだろうと思います。
ただ、コンセプチュアルスキルのセミナーや研修をやっていて気づいたのですが、抽象化はそんなに難しくないようです。セミナーの範囲でもそれなりにできるようになります。
◆具体化には創造性が不可欠
ところが抽象化以上に難しいのが、具体化です。「いや、具体的なことは考え慣れているのでそんなはずはない」と感じられた方も多いと思いますが、たぶん事実です。
具体的なことばかり考えているというのが曲者で、逆に抽象的な概念が入らないので、ある範囲の中でしか具体的なことを考えられないのです。
それでも改善プロセスのように徐々に考える範囲を広げている会社も少なくありませんが、限界があります。
たとえば、リンゴやブドウについておいしいかどうか考えているときに、ニンジンやダイコンといった野菜は出てくるかもしませんが、牛や豚は多分出てきません。牛や豚を引っ張り出すためには、食用の生物といった抽象的な概念が必要なのです。
ただ、概念から具体的な事象を思いつくには、創造性が不可欠です。ここに、具体化の難しさがあります。
◆コンセプチュアル思考の難しい軸は大局/分析
さて、コンセプチュアル思考の5つの軸で、もっとも難しいのが抽象/具象かというとそうでもありません。というか、コンセプチュアルにとって本質的なのが抽象化ではないといった方がよいかもしれません。抽象化ではなく、大局的にものごとを見ることだと思われます。
たとえば、フューチャーフォンの衰退期に
・電池の充電時間が長い
・電池の持ちが悪い
・ボディのサイズが大きい
・・・
といった問題があると認識されていました。それで、それぞれを改善するような方向の製品が投入されていましたが、さほど、既存の製品との差はありませんでした。
そこにスマートフォンが出てきたわけですが、スマートフォンはこれらの問題をどのように捉えたのでしょうか。
少なくとも個別にどういう問題があって、どう対処すればよいかを考えたわけではないことは確かです。
ここで、問題なのは、「結局、何が問題なのか」という問題なのです。もう少し正確にいえば、「全体としてどういう問題なのか」ということです。
実はこういう発想をきちんとできることこそがコンセプチュアルスキルに他なりません。
◆変革には大局が不可欠
たとえば、組織を変えたいとします。ここが悪い、あそこがダメだという問題点が見えてきます。ところが、これらを箇条書きにして示したところで、改善のネタにしかなりません。組織を根本的に変えることはできません。
そこで、重要なことは、結局、何が問題なのかということを考えられることです。これは優先順位の問題ではありません。本質が何かという問題です。
そんな発想ができる人こそ、活躍できる時代になってきました。
◆関連セミナーのお知らせ
PMsytleでは、5軸のコンセプチュアル思考のセミナーを開催しています。
大局/分析の軸も丁寧に解説し、体験してもらえる内容になっています。
8月分は開催を決定しています。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアル思考~見えないものに挑む思考法 ◆(7PDU's)
日時:2016年 08月 03日(水)10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
1.思考をコンセプチュアルにする思考法
2.思考をコンセプチュアルにする思考ツール
3.コンセプチュアルな思考を妨げるもの
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