【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(6)】見えない要求を見つける
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7月の終わりに
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Aさん夫婦は、子供も独り立ちし、子供ができたときに建てた洋館をメンテナンスすることにしました。手始めに、汚れの目立つ庭の外壁をきれいにすることにしました。
外壁は家を建てたとき、妻の要望で真っ白にしましたが、長年風雨にさらされ、汚れてしまっています。妻は新築の時のように真っ白にすることを望んでいましたが、業者は妻の意に反してベージュに塗ってしまいました。
ところが、妻は怒るどころか、「わたしの要望をかなえてくれてありがとう」と業者に感謝しました。
さて、なぜでしょう?
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というエクスサイズ広告を出しました。コンセプチュアルプロジェクトマネジメントにおける要求定義の考え方をエクスサイズにしたものです。
◆エクスサイズの答え
妻(顧客)は真っ白にしてほしいといっていたわけですが、実は真っ白というのは妻が本当に望んでいたことの一つの具体的な方法にすぎません。なにを望んでいたかが問題になるわけです。
このケースの場合、本当に望んでいたのは、汚れを目立たなくすることでした。そう察した業者は壁を白く塗ると、壁以外の場所との差が目立ち、却って全体的に薄汚れたイメージになることを懸念し、ベージュに塗ったのでした。
コミュニケーションで顧客の真の意図を把握するのは難しいものがあります。特に「白いペンキを塗ってくれ」と具体的な要求を出されるとそれに引っ張られることが多くなります。そこで、大局的に見て、本当は何をしてほしいのかを見極める必要があります。
(もちろん、ストレートにそれが本当の要求の場合もあり、そのあたりが難しいところです)。
難しいのは、この問題はペンキの色を何色にすればよいかといった問題では片付かない問題だからです。たとえば、ペンキを塗り替えるのではなく、高圧洗浄してきれいにするという選択しでもあるかもしれません。
◆要求を一度、抽象化する
つまり、この問題を大局的に考えるには、一度、要求を抽象化してみる必要があります。その方法としては、第4回で触れたWHYを繰り返すなどいろいろとあります。たとえば、
なぜ、白いペンキを塗りたいのか
→汚れを目立たなくしたいから
と考えるだけで、すでに白いペンキを塗るのは一つの方法に過ぎないことが分かります。このような顧客の真意を探し出す必要があるわけです。
この真意が適切なら、そのための具体的な方法として
・ベージュのペンキを塗る
・高圧洗浄する
といったことを考えることができます。その中から大局的に考えて適切だと思う答えを選択します。
このように、顧客の要求一つとっても考え抜くことによって、適切な、場合によっては顧客の期待を上回る方法を考えることができます。このように考え抜くプロジェクトマネジメントをコンセプチュアルプロジェクトマネジメントと言います。
◆関連セミナーのご案内
コンセプチュアルスキル講座では、要求マネジメント以外に、
・成果の最大化
・本質を重視した計画
・創造的問題解決
などについても学べるコンセプチュアルプロジェクトマネジメント講座を準備しています。ご関心のある方、ぜひ、ご参加ください(※1)
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◆コンセプチュアルプロジェクトマネジメント講座 ◆(7PDU's)
日時:2015年 09月 18日(金) 10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
1.成果を最大化する目的と目標の決定
2.要求の本質を見抜いたスコープ定義
3.本質的な目標を優先する計画
4.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
5.創造的な問題解決
6.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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(※1)本講座はコンセプチュアルスキルの基礎知識を前提にしているためコンセプ
チュアルスキル診断で平均点が5.9点以下の方の受講はご遠慮戴いています。
まずは、コンセプチュアルスキル診断でご自身のコンセプチュアルスキルをご確認く
ださい。
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