【プロデューサーの本棚】いま、イノベーションはブームなのか
イノベーションは常にブームであるという人もいる。確かにこの20年を考えてみても、イノベーションが言われなかった時期はないだろう。
ただ、今年に入って本当にイノベーションの本がたくさん出ている。最近、びっくりしたのは、伊丹先生が書かれたこんな本まで出てきたことだ。
伊丹 敬之「先生、イノベーションって何ですか?」、PHP研究所(2015)
イノベーションの本はたいてい経営者、経営スタッフ、マネジャー向けである。ただ、実際に取り組むには、組織の全員が理解する必要がある。それに応える本を作った出版社に敬意を表する。
それにしても、今年に入ってからだけで、とんでもない数の本が出ている。カテゴリーを分けて、紹介しよう。
イノベーション理論の本は昔からそれなりの数があるが、伊丹先生の本に代表されるように、入門書というか、イノベーションに興味がない人に向けた本が増えてきた。
◆イノベーション理論系
グローバルタスクフォース(山中 英嗣監修)「ハーバード・ビジネススクール“クリステンセン”教授の 「イノベーションのジレンマ」入門」、PHP研究所(2015)
鷲田 祐一「イノベーションの誤解」、日本経済新聞出版社(2015)
ネイサン・ファー、ジェフリー・ダイアー(新井宏征訳)「成功するイノベーションは何が違うのか?」、翔泳社(2015)
スコット・アンソニー(津嶋 辰郎、津田 真吾、山田 竜也監修、川又 政治訳)「ザ・ファーストマイル イノベーションの不確実性をコントロールする」、翔泳社(2015)
柴田 友厚「イノベーションの法則性」、中央経済社(2015)
安部 徹也「最強の「イノベーション理論」集中講義」、日本実業出版社(2015)
カデナクリエイト(池本 正純監修)「図解&事例で学ぶイノベーションの教科書」、マイナビ(2015)
土井 教之、宮田 由紀夫編集「イノベーション論入門」、中央経済社(2015)
雨宮 寛二「アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略」、エヌティティ出版(2015)
内田和成「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」、日本経済新聞出版社(2015)
◆ツールキット系、思考系
今年に入ってからの傾向で目立つのはツールキット系の本が増えてきたこと。実践に意識が向いているということか。
デヴィッド・シルバースタイン、フィリップ・サミュエル、ニール・デカーロ(野村恭彦監修、清川幸美訳)「発想を事業化するイノベーション・ツールキット ―― 機会の特定から実現性の証明まで」、英治出版、(2015)
ハイス・ファン・ウルフェン(小山龍介、山口博志、上原哲郎、田川欣哉(監修)、高崎拓哉訳)「START INNOVATION ! with this visual toolkit.〔スタート・イノベーション! 〕―ビジネスイノベーションをはじめるための 実践ビジュアルガイド&思考ツールキット」、ビー・エヌ・エヌ新社(2015)
ヴィジェイ・クーマー(渡部 典子訳)「101デザインメソッド ―― 革新的な製品・サービスを生む「アイデアの道具箱」」、英治出版(2015)
また、ビジネスモデルジェネレーションで知られるアレックス・オスターワルダーのバリュープロポジションの翻訳が出たが、思考法の本も増えている。
恩田 勲「イノベーションを起こすための問題解決のセンスをみがく本」、総合法令出版 (3015)
アレックス・オスターワルダー、イヴ・ピニュール、グレッグ・バーナーダ、アラン・スミス(関 美和訳)「バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る」、翔泳社(2015)
柿沼 博彦「イノベーションへの挑戦 ハンディを個性に変える思考法」、中西出版(2015)
◆オープンイノベーション
ソーシャルイノベーションの本は今年に入ってからは三つからなかったが、オープンイノベーションの本が立て続けに出た。
星野 達也「オープン・イノベーションの教科書」、ダイヤモンド社
米倉 誠一郎、清水 洋編「オープン・イノベーションのマネジメント -- 高い経営成果を生む仕組みづくり」、有斐閣(2015)
◆ファシリテーション
オープンイノベーションでは不可欠なイノベーションのファシリテーションの本が出てきた、ファシリテーターは不可欠であるので、喜ばしいことだ。
野村恭彦「イノベーション・ファシリテーター ― 3カ月で社会を変えるための思想と実践」(プレジデント社)
大内 孝子「ハッカソンの作り方」、ビー・エヌ・エヌ新社(2015)
なお、イノベーションを一から勉強したい人には、こちらにイノベーションのブックリストがあるので、こちらを参考にしてほしい。
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