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2014年11月25日 (火)

【PMstyle Column:003】概念化能力とコンセプチュアルスキル

Gainen◆概念化能力の起源と日本における取組み

このところ、コンセプチュアルスキルという言葉が少しだけ浸透してきたような気がしています。

ロバーツ・カッツというハーバード大学の先生がマネジャーに必要なスキルとしてConceptual Skillを提唱したのが1955年です。

その後、日本でもこの概念は注目され、「概念化スキル」、「概念化能力」といった名で導入されるようになりました。僕が会社に入ったときには、概念化能力は将来に向けて身につけてほしいスキルの一つに入っていました。

とはいっても、日本は現場・現物の国で、かつ、時代的にはキャッチアップの時代だったため、物や仕組みをまねて改善すれば十分で、概念はあまり重視されず、能力開発も行われないままでした。



◆グローバリゼーションとイノベーションに必要な概念化スキル

ところが、ここにきて大きな変化がみられるようになりました。その理由は、グローバリゼーションとイノベーションです。

この2つの共通しているのが、いずれも現場・現物だけでは立ち行かないことです。

グローバリゼーションにおいては製品やサービスのカスタマイズが欠かせませんが、そのためには概念的に製品やものごとを捉える必要があります。つまり、コンセプトを明確にした上で、現地のニーズに併せて製品やサービスに展開していくことが不可欠です。

ライフサイクルの速いイノベーションにおいても同じです。製品やサービスのレベルでのイノベーションは断続的に行われ、このレベルで新しいものを追い求めていくのは消耗戦です。したがって、コンセプトレベルで革新性を追求していくことがイノベーション競争に勝つ方法です。

このような変化によって、21世紀になってから、概念化スキルの重要性が再認識されるようになってきています。

◆コンセプチュアルが必要な新しい動き

加えて、コンセプチュアルスキルにはマネジャーのスキルとしてだけではなく、新しいニーズが生まれつつあります。

論理の時代から感性の時代になってきています。米国から世界中に大きな影響を与えている思想家の一人であるダニエル・ピンクは著書「A Whole New Mind」(邦題「ハイコンセプトの時代」)の中で、ロジカルから、コンセプチュアルへ時代が移っていると指摘しました。

つまり、ロバーツ・カッツの時代からコンセプチュアルスキルは進化し、頭で考えるだけではなく、すべての感覚を使って考える全体思考のスキルになっていると言えます。

そこで、PMstyleではConceptual Skillを概念化能力だけではなく、全体思考も含めたスキルとしてのコンセプチュアルスキルと呼ぶことにしました。つまり、

コンセプチュアルスキル=概念化能力+全体思考

と考えています。

そこまで考えてよく考えてみると、そもそも、ロバーツ・カッツの言っていたConceptual Skillというのもそういうものではないかと思われる節があります。つまり、マネジャーに必要な思考スキルには全体思考的なものが入っているのではないかと思われます。それを含めて、PMstyleではコンセプチュアルスキルを5つの軸で扱おうとしているわけです。

ということで、そのような意味でのコンセプチュアルスキルを普及していきたいと思っています。

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