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2014年6月10日 (火)

【プロデューサーの本棚】チームが機能するとはどういうことか

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エイミー・C・エドモンドソン(野津 智子訳)「チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」、英治出版(2014)

一昨年話題になった「TERMING」の邦訳が登場した。邦題は「チームが機能するとはどういうことか」。ちょっと長いタイトルだが、非常に的を得たタイトルの本。

タイトルを見たときに、翔泳社から出ているパトリック・レンシオーニの「あなたのチームは、機能してますか?」という本を思い出し、なんでこんなタイトルにと思ったが、読み進めていくうちに、なるほどと思った。

チームをテーマにした本だが、チームではなく、チーミング。チームは静的(固定的)な「グループ」で、チーミングは動的な「活動」であると説明されている。

動的な活動であるチーミングと、静的なチームは本質的に異なる点がある。

静的なチームは、人々が共通の目標をめざして協力する、常設の固定されたグループなので、訓練や練習を繰り返し、相乗効果を出すことができる。ところがチーミングはそれができない。

学習をしながら、業務を実行していくしかない。つまり、学習がポイントになり、

学習しながら実行する>学習するための組織作り>チーミング

という構図が必要になる。そして、チーミングは学習しながら実行する基盤として

素早い協働、調整、学習するに不可欠な個人の行動

を含む。さらに、学習するためには、チーミングや集団的学習に必要な個人間の行動を促すリーダーシップが不可欠である。

どのようなチーミングや学習が必要かは、望む結果を得る方法に関する知識の成熟度と不確実性が問題になる。本書ではこの知識をプロセス知識と呼び、仕事の種類をスペクトルで表している。不確実性が高く、知識の成熟度が低い仕事はイノベーション、不確実性が低く、成熟度が高い仕事はルーチンワーク、その中間に複雑な業務と呼んでいる。

チーミングが本質的に学習プロセスであり、そのプロセスは

※チーミングの必要性の認識
 →個人と個人がコミュニケーションを図る
  →手順や相手に任せることを調整する
   →相互依存の行動をとる
    →省察/フィードバック
     →チーミングの考え方が身につく →(※)へ戻る

というものだとされる。そして、成功しているチーミングには以下の4つの特徴がある。

・率直に意見を言い合う
・協働する
・試みる
・省察する

そして、これらの特徴を実現するために必要なリーダーシップ行動は以下の4つだ。

行動1:学習するための骨組みを作る
行動2:心理的に安全な場を作る
行動3:失敗から学ぶ
行動4:職業的、文化的な境界をつなぐ

本書はこの4つについて、各1章を割り当て、調査に基づき、詳細に検討している。

まず、骨組みではフレーミングを推奨しており、4つの病院における新技術導入の際のフレーミングについて、

・リーダーの役割
・チームの役割
・プロジェクトの目的

の3つの視点から特徴を分析している。この分析は極めて示唆に富んでおり、プロジェクトを実施する人はぜひ読んでみてほしい。

また、学習のフレームと実行のフレームは異なるという指摘をしている。両社は極めて対照的で、チーミングがどれだけ従来の方法と異なるかを知るのに参考になる。つまり、チーミングで実行をするには、従来の実行のフレームから、新たに学習のフレームを確立する必要がある。つまり、リフレーミングしなくてはならない。

そのステップは

(1)登録:メンバーを厳選する
(2)準備:これからの行動について準備する
(3)試行:新しい方法を試して、何が起こるか観察する
(4)省察:試行の結果について振返る

というもので、このようにして学習フレームを確立し、強化していくことがリーダーの仕事である。

次に、安全な場を作らなくてはならない。チーミングと学習にとって安全な場を作るためにリーダーはたとえば、以下のような行動をする。

・直接話のできる人になる
・現在持っている知識の限界を認める
・自分もよく間違うことを積極的に示す

などだ。

3番目の課題は、失敗から学ぶこと。失敗はネガティブなイメージがあり、ここでもリフレーミングをしなくてはならない。

まず失敗を3つのタイプに分ける。

・防ぐことのできる失敗
・複雑な失敗
・知的な失敗

それぞれについて対処の方法が異なるし、また、失敗からの学び方も異なる。だが、いずれにもしても、失敗に適切に対処するには、

・失敗に気づく
・分析する
・試みる

という3つの戦略が必要である。

最後の課題は境界を超えること。境界には

・物理的な距離
・地位
・知識

の3つがある。境界を超えるためにはコミュニケーションがカギになるが、そのために有用なコミュニケーションには以下のようなものがある。

・上位の共通目標を設定する
・関心を持つ
・プロセスの指針を示す

本書の最後では、チーミングや学習をどのように仕事に活かすかを検討している。ここで強調しているのは、効率を追求しながら仕事をすることと、学習しながら仕事をすることの違いである。

これについて、知識スペクトルに応じた3つのタイプの仕事に対して

・管理の焦点
・不確実性のレベル
・相互依存のレベル
・失敗の役割
・成功の性質

を分析している。さらに、まとめとして、3つのタイプの仕事についてシモンズ(ルーチン)、子供病院(複雑な仕事)、IDEO(イノベーション)のケース分析を試みている。


この本、原書が話題になったときに悪戦苦闘して読んだが、今回、素晴らしい翻訳で読むことができ、より本質的な理解ができたように思う。

プロジェクトマネジメントに関わっていると、チームというのはプロジェクトチームを意味しており、この本でも識者として出てくるチームのグル、タックマンのモデルがチームのイメージになる。このモデル自体は、静的なチームのモデルとも取れるし、チーミングとも取れる。

プロジェクトマネジメントに関わっていると、チームというのはプロジェクトチームを意味しており、この本でも識者として出てくるチームマネジメントのグル、タックマンのモデルがチームのイメージになる。このモデル自体は、静的なチームのモデルとも取れるし、チーミングとも取れる。

プロジェクトチームのような場合、チーミングは機能するまでの期間をいかに短くするかという議論であり、プロジェクトの納期に関わってくる問題である。また、さまざまなメンバーの出入りは如何に多様性を作り、価値の高い成果物を生み出すかという議論である。

しかし、現実にはほとんどのプロジェクトはチーミングをせず、固定的なチームを作ろうとする。毎回、同じコアメンバーでプロジェクトを行う、一旦プロジェクトに参加すれば仕事があろうとなかろうと最後まで参加する。途中からの参加はマンパワーが足らなくなったときにしかしない。

これではプロジェクトという活動の枠組みのもつポテンシャルを生かし切ることはできない。それが顕著に出てくるのがイノベーションプロジェクトである。このようなやり方を改めるために、チーミングは有効である。

本書でいうチーミングの興味深いのは、プロジェクトチームだけではなく、複雑な仕事におけるコラボレーションやルーチンワークにおいて適用することで、学習する組織による実行力の強化を実現するための枠組みにしている点だ。

特に、今の時代は、プロセスを完全に決めることができない、複雑な仕事が増えており、チーミングや学習によってパフォーマンスが決まってくる。この点においてもチームのイメージを変えるものとして注目される。

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