続・コミュニケーションをマネジメントしよう
前回は、コミュニケーションとコミュニケーションマネジメントとは違うということをお話しました。では、今回はコミュニケーションマネジメントとは何かについてお話をしたいと思います。
コミュニケーションの動機には、道具的コミュニケーションと、充足的コミュニケーションがあるといわれています。前者は進捗報告のようなもので、主に情報の共有を目的とし、その手段をしてコミュニケーションを行うものです。これに対して、後者は困ったときに相談にのる、励ます、というように、コミュニケーションそのものが目的というコミュニケーションです。
これらのコミュニケーションが行われるためには、「動機」が必要になります。充足的なコミュニケーションの動機は「相談してみよう」とか、「励ましてやろう」といった心理的(内発的)なものが多くなります。問題は、道具的コミュニケーションの動機です。道具的コミュニケーションの動機づけをすることはマネジメントの責任です。例えば、進捗報告であれば、進捗報告を行う「ルール」を作っておくことがコミュニケーションをする(外発的)動機付けになります。このように道具的コミュニケーションは外発的な動機によって行われることが多く、外発的な動機付けはマネジメントの責任だといえます。
前回、お話した「問題があれば報告してね」というやり方の問題点は、「問題」とは何かを定義しない限り、ルール(動機)にならず、そこに問題点があるわけです。
その上で、その定義を意識しながら、如何に「問題」を識別するかは個人のスキルの問題になります。例えば、「問題とは20%の計画の差異である」ということが明確に決まっていたとしても、それをどの時点で認識するかは個人の感度の問題になります。この感度を上げるには一人ひとりが、スキルアップに取り組まねばなりません。
このように、メンバーのコミュニケーションスキルの育成も含めて、コミュニケーションをマネジメントする一連の仕事はコミュニケーションマネジメントと呼ばれ、PMBOKでもひとつの知識エリアになっています。
コミュニケーションマネジメントはプロジェクトマネジメントには不可欠なものであり、また、即効性という意味でのプロジェクトへのインパクトも極めて大きいものです。
(by 好川哲人)
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