PMを失敗させる7つの「悪習慣」
◆はじめに
久々のプロジェクトマネジメントOS原論である。このシリーズではPMコンピテンシーを向上させ、プロジェクトを成功させる7つの習慣を取り上げ、その強化策について議論してきた。また、昨年度は5回にわたり、習慣化のセミナーを行ってきた。
また、多くの企業で実践して戴いた。
これらの活動のフィードバックを得て、7つの習慣をバージョンアップした。経験が加味されて、持論がリファインされたという感じである。OS原論で、ご披露をしようと思っているのだが、ある方とお話をさせて戴いている中で、面白いことを指摘されて、今回はちょっと回り道というか、脱線をするが、
プロジェクトを失敗に陥れるプロジェクトマネジャーの7つの「悪習慣」
というのを書いてみる。
この中には、組織の論理を否定しているものもある。しかし、そこで否定されている組織の論理は、組織がプロジェクトをやるということにとってはマイナスになるものである。『PMOマガジン』で議論をしていく予定だが、組織マネジメントと整合するプロジェクトマネジメントなどありえないと思っている。目的と結果が違うからだ。
組織マネジメントにとって成果は結果に過ぎない。しかし、プロジェクトマネジメントにとって成果は目的である。まあ、そんなことも念頭に置きながら読んで戴けると幸いである。
◆プロジェクトマネジメントを失敗させる7つの「悪習慣」
1’プロジェクトの目的を考えない
プロジェクトの目的が何かを考えず、顧客の言うとおり、上司の言うとおり、計画通りにやるやろうと腐心する。そして、その結果、何か問題が起こった場合には、他人のせいにして、自分は責任をとろうとしない
2’常に受身で行動する
求められるまで報告はしない、求められるまで提案はしない、メンバーから頼まれるまでは動かないなど、常に相手からのアクションがあるまでは自分からは行動しない。
3’ステークホルダとの間で常に勝ち負けを考える
交渉や、トラブル対応の場面では、常に自分が相手より有利な成果を得ることが出来ることを重視し、常に、勝った、負けたを考える。その結果、自らのプロジェクトはスムーズに進み、相手が不本意な状況に陥っても気にしない。
4’チームを使い捨てる
チームはプロジェクト実行のための手段だと割り切り、チームやチームメンバーとはそのプロジェクトが終わるまでの付き合いだと考え、メンバーの成長や、チームの団結などには無関心で、メンバーの持っている能力を使うことだけに関心を示す
5’リスクから逃げ回る
自分の失敗につながる可能性のある意思決定は、確実にうまくいく答えが見つかるまで先送りする。その結果、プロジェクトのスケジュールが遅れても、突っ込んでいたらもっとひどいことになっていたかもしれない、仕方がないと考える。
6’ステークホルダと形式的なコミュニケーションを重視する
顧客にはちゃんと言ったはずだ、上司にちゃんと報告しているという風に、情報伝達をしたという事実にのみ関心をもち、自分の伝えたいことを相手がどのように理解したかには関心を持たない。また、相手から聞いたことに対しても、相手が何を言っているかよりは、自分がどのように解釈しているかを重視する。
7’自分たちの考える品質が達成できれば満足する
お客が欲しいと思うものより、その道のプロフェッショナルである自分たちが価値があると思うものの方が重要だと考え、顧客の意見に耳を貸そうとせず、自分たちの考えを顧客に押し付けようとする。
◆よい習慣を身につけ、悪習慣を追放しよう!
さて、そのような悪習慣に陥らないためにはどうすればよいか?よい習慣を身につけることである。
【プロジェクトマネジメントを成功させる7つの習慣】
・プロジェクトの目的を常に意識する
・ステークホルダとのWin-Winを考える
・チームを成長させる
・リスクをコントロールする
・ステークホルダと共通認識を形成する
・主体的に行動する
・顧客視点で品質を考える
お気づきの方もいらっしゃるかと思うが、冒頭に述べたように、ここに示した7つの習慣2006は、7つの習慣2005から進化している。
◆セミナーもリニュアル
これに併せてセミナーもリニュアルしました。今まで半日(5時間)であったセミナーを、受講者の声を参考に、2日間のセミナーに拡張しました。習慣化のきっかけ作りも、単にワークショップだけではなく、ケーススタディ、ロールプレイと多様化してします。まだ、PMコンピテンシー強化術を受講していらっしゃらない方は、ぜひ、受講してみてください!また、旧・PMコンピテンシー強化術を受講された方で、物足りなさを感じた方にも自信を持ってお奨めします。
新・PMコンピテンシー強化術(習慣編)
~プロジェクトマネジメントを成功させる7つの習慣
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