【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(8)】 プロジェクトではなぜ、コンセプチュアルスキルの開発が必要なのか
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先日、ある方から「好川さんはPMの人だと思っていましたが、なぜそこまでコンセプチュアルスキルに拘られるのですか」と聞かれました。今回のコラムはこの話をしたいと思います。
◆ライン型組織は自然に回る
実は、一般的な組織形態(いわゆるライン型組織)においては、コンセプチュアルスキルの開発がそこまで大切だとは思っていません。技術系のスキル(テクニカルスキル)と較べると、コンセプチュアルスキルは人による差が大きいものです。
はっきりいえば、テクニカルスキルであれば一定のトレーニングで最低限のスキルを身につけることができる人は7割~8割くらいだと思いますが、コンセプチュアルスキルだと3~4割ではないかと思っています。最低レベルというのは監督職であれば何とか仕事をしていけるレベルで、課長になったら少し苦しいと思います。
ただそれでも問題はないのです。キャリアの中の機会を利用して高いコンセプチュアルスキルを身につけている人が10人に1人くらいおり、、おそらく、部長まで昇進する人というはそれ以下の比率ですので、構図としてはコンセプチュアルスキルが高い人が昇進するような形になっているからです。
会社によって全体のレベルにはかなりの差はありますが、どんな会社でもその中で部長と(部長になっていない)課長を比べると、コンセプチュアルスキルの差は歴然としているものです。
もちろん、コンセプチュアルスキルが高いから部長に昇進できるわけではありません。実績を上げた人が昇進しているわけですが、課長で成果を上げるにはコンセプチュアルスキルが重要だからこういう構図ができているのだと思います。
簡単にいえば、需要と供給のバランスが取れているわけです(ただし、組織に構成バランスが悪く、管理職にテクニカルスキルを求めざるを得ない組織では、うまくいっていない)。
◆プロジェクト型組織は回らない
問題はプロジェクトで仕事を行っている組織の場合です。
一定規模や新規性の高いプロジェクトで成果を上げようとするとプロジェクトマネジャーにコンセプチュアルスキルは不可欠です。ところが、その数はライン型組織のラインマネジャーよりはるかにたくさんの数が必要になります。すると、キャリアの中で自然にコンセプチュアルスキルを身につけた人だけでは数が間に合わなくなります
。
だから、プロジェクト制で業務を行っている組織においては、プロジェクトマネジャーのコンセプチュアルスキルの強化が必要になります。
実は、コンセプチュアルスキルを提唱したロバート・カッツが、あまり注目されていませんが、極めて重要なことを言っています。それは、
意思決定がうまく行くには、決定をする人と、実行に移す人の両方のコンセプチュアルスキルが必要
だということです。カッツが言ったときのイメージでは、経営層が決める人で管理者層が部長や課長でその意思決定を実行する人だと思われますが、プロジェクト制の組織においてはプロジェクトマネジャーはまさに経営層の意思決定を実行に移す人になり、プロジェクトマネジャーのコンセプチュアルスキルが高ければ高いほど、戦略実行はうまく行きます。
これがコンセプチュアルスキルの開発をやっている理由です。
◆コンセプチュアルなプロジェクトマネジャーの養成講座
PMstyleでは、コンセプチュアルスキルの高いプロジェクトマネジャーの育成に取り組んでいます。
公開セミナーでは以下のセミナーを開催しています。また、この内容を研修として提供することも可能です。プロジェクトマネジャーのコンセプチュアルスキルの向上をしたい方、あるいは関心を持たれている人材育成担当者の方などのご参加をお待ちしています。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルプロジェクトマネジメント講座 ◆(7PDU's)
日時:2016年 01月 29日(金) 10:00-18:00(9:40受付開始)
場所:銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
1.成果を最大化する目的と目標の決定
2.要求の本質を見抜いたスコープ定義
3.本質的な目標を優先する計画
4.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
5.創造的な問題解決
6.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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