【プロデューサーの走り書き(2)】ビジネスのヒントを非ビジネス書から得られるか
このブログとは直接関係ないが、ビジネス書の杜ブログを休止して1年になる。今でも初めて会うひとから「ブログを読んでいます」といわれることがあるし、それなりにアクセスもあるので、若干、複雑な気持ちでもある。
著者から感謝のメールをもらったとか、出版社からクレームをつけられたとか、いろいろと思い出もあるが、1年経ったので言えることもある。
その一つが止めた理由。一つの理由は、書籍情報のサービスはかれこれ、25年くらい続けてきたので飽きたというのがあるのだが、もっと本質的な理由は、ビジネス書で本当にビジネスに必要な知識が得られるということについて懐疑的になったことにある。
今でもフェースブック版はやっているので誤解のないように言っておくが、ビジネス書が役に立たないといっているわけではなく、ビジネスに必要な知識を得る入口としてはビジネス書がいいと思う。
ただ、ある程度、その分野のことが分かってしまうと、ほとんどのビジネス書は役に立たない。実は、もうやめようと思ったきっかけになったのは、HONZの成毛眞さんが何かに書かれていた
「ビジネスのヒントは「ビジネス書」からではなく「非ビジネス書」から発見すべきだ」
という言葉に出会ったこと。
これを見つけてしばらく、ビジネス書の杜を非ビジネス書も含めてビジネスに役立つ本という方向転換をすることを考えたのだが、無理だと思い、結局、止めた。
無理だと思った理由は2つあって、一つは非ビジネス書という分野が広すぎて、一人でブログするにはとてもクオリティが保てないと思ったからだ。
もう一つの理由は、どれだけの人が、非ビジネス書からビジネスのヒントを発見できるかということが疑問だったからだ。
たとえば、営業の方法を書いたビジネス書であれば営業という視点から評価すればよい。ところが、動物の求愛行為から得られるビジネスのヒントは営業だけではなく、極論すれば無限にある。つまり、非ビジネス書がビジネスにどのようなヒントを与えてくれるかを明確に書くことはできない。
すると、非ビジネス書を読んで何を得られるか、得られないかは読む人次第である。その際、何よりの問題はコンセプチュアルスキルが必要となることだ。コンセプチュアルスキルの高い人は多くのヒントが得られ、低い人は何も得られない。
ビジネスの中ですら、営業の人たちの経験は自分たちの参考にはならないと言ってはばからないエンジニアが多いことを考えると、動物の行為から何かを学ぼうというのはハードルが高すぎる。
そう考えて、ビジネス書の杜ブログを続けるより、コンセプチュアルスキルをトレーニングすることに時間を使うことを選んだ。これがビジネス書の杜を止めたもっとも大きな理由である。
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