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2009年8月 2日 (日)

特集 プロジェクトマネジメントオフィス

(2007/10/03)

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 特集「プロジェクトマネジメントオフィス」

      プロジェクトマネジメントオフィス 好川哲人
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◆PMOの3つのタイプ

プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)のタイプは大きく分けると3つある。

一つ目は企業のプロジェクトマネジメント戦略を背景に、その戦略実現を目的としたサービスを全社に提供することをミッションとするPMOである。このPMOの主な役割は、プロジェクトマネジメントの手法を導入する、ツールを導入する、標準化を行う、ポートフォリオを導入する、といったもので、コーポレイトPMO(CPMO)、エンタープライズPMO(EPMO)などと呼ばれる。

二つ目は組織内の特定の機能を果たすPMOだ。最もよく見かけるのはリソースインテグレーション機能を果たすPMOであるが、このほかにも品質マネジメントや、調達マネジメントなどの機能を果たすことも多い。このタイプのPMOは機能型PMOと呼ばれることがある。

◆PMOの実現方法(タイプ)

このようなタイプのPMOの実現方法はさまざまだ。

もっとも多いのは、事業部やリージョンなどの特定の組織において、CPMOの戦略実行の際に、戦術を担当する組織として作るケースである。このようなPMOは、CPMOの戦略の自部門での展開のプラニング、標準やツールのカスタマイズなどを行うことが多い。また、部門でのベストプラクティスを作って展開しているケースも多く見かける。いわゆるPMOという場合にはこのタイプのPMOを指すことが多い。

もっと現場に密接したPMOとしては、手法や標準、あるいはツールを使ったプロジェクトマネジメントのオペレーションの支援をするPMOがある。支援の仕方も、コンサルティングの形もあれば、計画やプロジェクトのレビューといった形で行うこともある。また、プロジェクトマネジメントの監査を行い、標準どおりにプロジェクトマネジメントが行われていることを確認するような役割を果たすケースもある。このようなPMOはプロジェクトサポートオフィス(PSO)と呼ばれる。

さらにもっと現場密接型としては、プロジェクトに参加してプロジェクトマネジメントの一部を担当するようなPMOもある。プロジェクトオフィスという言い方をするPMOはこのタイプだ。このタイプのPMOの場合、計画書の作成などのドキュメントワーク、コミュニケーションマネジメントなどを担当するケースが多い。

三番目のタイプは、顧客など、外部組織のコントロールやコミュニケーションの推進を促進するPMOである。例えば、SI企業などが、同じ顧客と複数のプロジェクトを実施していく場合に、テンポラリーな組織としてプロジェクトマネジメントオフィスを設置するのはこのタイプのPMOは多い。このタイプは外部PMOと呼ばれる。

一口にPMOといっても上のような種類があることを考えると、PMOの設立に対してどのようなメリットがあるかということも少し整理して考える必要があることがわかる。ここでは、現場レベルの話と経営レベルの話しに分けて考えてみよう。

◆現場レベルのPMOのメリット

まず、現場レベルで考えてみよう。現場レベルで、PMOが効果が出るかどうかは、現場の抱えるプロジェクトマネジメントの問題に対して、PMOがどれだけ適切な問題解決手段になっているかに尽きる。一般的に現場が期待しているのは

・プロジェクト計画の高品質化
・リソース確保の迅速化
・経験を踏まえた問題解決(トラブル対応)
・コミュニケーションの活性化
・リスクの早期発見

などであり、PMOはこれらの期待にこたえるような機能を持つ必要がある。

◆経営レベルのPMOのメリット

経営レベルで共通的に見られるメリットには以下のようなものがある。

・プロジェクトマネジメントオペレーションの標準化
・企業として全体最適を実現できる意思決定
・リソースの有効活用
・品質の保証されたプロジェクト情報への早いアクセス
・エグゼクティブ(マネジメント)サポートの軽減
・現実的な業務プライオリティの運用
・リーダー人材、および、将来的な経営人材の育成

◆効果的なPMOを作るには

逆にいえば、効果的かどうかというのは、これらのメリットが自社の経営、あるいは現場マネジメントとして大きなメリットになるかどうか次第だといえる。

では、効果的なPMOを作るにはどうすればよいか?これは結構難しい。

プロジェクトマネジメントオフィスの活動には、即効性のある活動と、遅効的な活動があるからだ。

現場レベルでの効果を求めるには、前者の即効性のある活動に重点的に取り組んでいく必要がある。一方で、経営レベルのメリットを引き出す、つまり、組織としてプロジェクトマネジメントのレベルアップをしていくためには、後者に地道に取り組んでいかなくてはならない。

PMOの活動に従事できるリソースが無限にあれば、何の問題もないが、限られた、それもどちらかといえば、少な目のリソースで二律背反ともいえるニーズを満たしていかなくてはならない。ある意味で、これがPMOの最大の難しさであるともいえよう。

この問題を解決するための鍵になるのは「PMOロードマップ」である。ロードマップを作ってプロジェクトマネジメントを変えていくためには、プロジェクトマネジメントオフィスの活動の全体像を明確に(体系化し)し、PMOの取り組みロードマップとして取り組んでいくとよい。

◆PMOの機能体系

PMstyleでは、プロジェクトマネジメントオフィスの機能を
(1)PM実行マネジメント
(2)PM基盤マネジメント
(3)リソースインテグレーション
(4)プロジェクト運営技術の支援
(5)ビジネス・アライメント
の5つのカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーにおいて何をすればよいかを体系的に提案している。

(1)PM実行マネジメント
 PM実行マネジメントは文字通り、組織がプロジェクトマネジメントを実行していくためのマネジメントであり、
 ・組織としての標準プロジェクトマネジメントの手法を確立する
 ・手法に合わせたツールを整備する
 ・標準工数とメトリクスを整備する
 ・プロジェクトで得られた知見のマネジメントを行う
などの取り組みが必要である。

(2)PM基盤マネジメント
 基盤マネジメントという考え方は分かりにくいかもしれないが、組織としてプロジェクトマネジメントとスムーズに運営するための、機構、仕組み、ガバナンス、設備などのマネジメントである。マネジメント活動としては
 ・プロジェクトガバナンスのマネジメント
 ・人や組織、プロセス成熟度のアセスメント
 ・機構や仕組みのマネジメント
 ・施設や設備のマネジメント
などを行う必要がある。

(3)リソースインテグレーション
 リソースインテグレーションはプロジェクトに必要なリソースの管理、開発、準備などを行うマネジメントである。このためには
 ・リソースマネジメント
 ・トレーニングと教育
 ・キャリアマネジメント
 ・チーム形成
といったマネジメント活動が必要になる

(4)プロジェクト運営技術の支援
 プロジェクト運営の技術支援には大きく分けると2つの側面がある。ひとつはプロジェクトマネージャーの技術支援で、もうひとつはプロジェクト運営全般の支援である。
 プロジェクトマネージャーの支援という点では、
 ・メンタリング制度を立ち上げと運用
を行う必要があり、また、プロジェクト運営の全般的支援としては
 ・計画サポート
 ・プロジェクトリカバリーの支援
 ・プロジェクト監査
などを行う必要がある。

(5)ビジネスアライメント
 ビジネスアライメントも分かりにくい概念であるが、PMOが組織のマネジメント
の一端を担うのであれば、何らかの形でビジネスの入りこんでいく必要がある。その入り口は
 ・プロジェクトポートフォリオマネジメント
であり、また、そのために
 ・顧客リレーションシップマネジメント
 ・ベンダーリレーションシップマネジメント
などを行う必要がある。その上で、
 ・ビジネスパフォーマンスマネジメント
を行っていく必要もある。

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