◆コンセプチュアルスキルってなんですか?
コンセプチュアルスキルという言葉はだいぶ普及してきましたが、意味を尋ねるとなかなか明確な答えが返ってこない言葉です。もし、あなたが、
「コンセプチュアルスキルって何ですか」
と尋ねられたらなんと答えますか。
多いのは、問題発見、問題解決や意思決定、経験学習のような思考活動という答えなのですが、これは厳密にいえば正しくありません。問題解決がすべてコンセプチュアルスキルとは限らないからです。
例えば、交通事故が起こったときに、警察官が行うのは運転の仕方や運転者のスキルなどに基づく原因分析(問題発見)ですが、コンセプチュアルスキルではありません。コンセプチュアルスキルと言えるのは、なぜ、そのような運転をしたかを深く分析する問題発見です。
これは、洞察といわれる思考活動ですが、見えない部分を分析することが多く、事実かどうかははっきり分かりません。例えば、直線の先にあるカーブでスピードの出し過ぎで事故を起こしたときに、ブレーキが効かなかったという理由であれば見えることとですし、ほぼ事実だと言えます。しかし、ストレス解消のためにスピードを出していたが、先にカーブがあることに気がつかなかったとすれば、本人にしか分からない推測の世界です。
警察の仕事は本人の供述以外には認知されない世界ですが、ビジネスではこの部分をどう考えるかが勝負の分かれ道になることが多いのです。言い換えるとコンセプチュアルスキルが仕事の成否を決めると言ってもいいでしょう。特に、VUCA時代には失敗を成功の一プロセスとして捉えなくてはなりませんので、この問題は影響が大きくなります。
◆失敗を活かすためには
例えば、よく失敗を活かして仕事を進めると言いますが、なかなかうまくできません。その理由として失敗は許されないので、無視するしかないなどという主張が多いのですが、本当の問題は失敗を無視することではなく、失敗した理由、特に目に見えていない理由を十分に考えられるかどうかにあります。
研修などで同じケース(問題現象)に対して原因の分析をすると、組織によって全く答えが違うというのは珍しくないのですが、その違うを生み出しているのは、分析の深さだったり、分析の方向性だったりします。
この原因の分析が適切にできていると有効な改善ができますが、不適切だと問題を大きくするばかりになりかねません。
深さに関しては、なぜなぜ分析という手法があります。トヨタの5WHYで知られるように、原因を5回も深掘りすれば見なないところが見えてきて、適切な解に行き着くだろうとよく言われます。しかし、実際にトヨタの人の問題解決行動を見ていると5WHYは深さだけではないことがよく分かりますし、現になぜなぜ分析をして同じ回数、深掘りしても、トヨタの人と他の人では答えのクオリティが違うのです。
◆コンセプチュアルスキルはセンスのよい活動の源泉
これは一般的にはセンスと呼ばれます。「センスは知識からはじまる」(朝日新聞社、2014)を書いた水野学さんは、
「数値化できない事象を最適化することである」
と定義しています。問題解決にセンスがあるのは、答えの2つの案のどちらがいいとは言えないけど、明らかの善し悪しがあるということからも明らかです。
センスという概念を持ち込むと、
×問題解決はコンセプチュアルスキルである
〇センスのよい問題解決はコンセプチュアルスキル
となります。もちろん、問題発見や問題解決に限らず、意思決定をはじめ、多くの活動においては同じことが言えます。コンセプチュアルスキルとはそういうものです。
つまり、コンセプチュアルスキルを身につけるとは、問題解決の方法を知ることではなく、センスのよい問題解決ができるようになるということです。まず、ここが一つ目のポイントです。
◆「センスがよい」=「コンセプチュアルである」
PMstyleでは、「センスがよい」ことを「コンセプチュアルである」と言っています。例えば、センスのよい問題解決をコンセプチュアルな問題解決と呼んでいます。
問題解決をするときに、センスのよい解決策とイマイチの解決策を考える人がいるのは周知の事実でしょう。問題解決において、センスのよい解決策というとイメージするのは
・状況に適した解決策である
・本質的問題を解決する方向性にある
・新しい要素がある
・・・
といったことでしょう。
◆センスのよい活動、コンセプチュアルな活動をするには
では、センスのよい活動、すなわちコンセプチュアルな活動をするにはどうすればよいのでしょうか。これは、コンセプチュアルスキルを発揮するにはどうすればよいのかという問題です。
しつこいようですが、単に「なぜなぜ分析をやっています」というだけでは駄目です。これは言い換えるとセンスとは何かという問題でもあります。この領域の話になると、曖昧にしている人が多いのですが、水野さんが非常に興味深い考察をしています。それは
「知識とは紙、センスとは絵」
というものです。つまり、センスはひらめきではなく、知識があればあるほど、自由な絵を描くことができるというのです。
そのため、「誰もが見たことがある当たり前のもの」の知識を集めることから始まるといいます。そうしてアウトプットの方向性を予測し、そこで従来には無かったものを思いつくのがセンスだというのです。
仕事柄、イノベーションの話を聞くことが多いのですが、イノベーションはまさにそういうものだと思います。一見、全く新しいイノベーションでも、何らかの前提になっている知識があることが圧倒的に多いのです(ちなみに、この前提がないものは発明と呼ばれます)。
極論すれば、センスがよい前提は知識が豊富なことで方向性を定められることであり、さらにその方向性において新しいものややり方をひらめく創造性があることです。
◆センスはコンセプチュアル思考で実現できる
これをコンセプチュアルスキルの世界で考えると、まず、大局的に状況を捉え、考える範囲を決めます。と同時に、分析との行き来をしならが、考えるべき方向性を見極めます。おそらく、センスを実現する中で一番、難しいのはこの部分だと思います。
方向性を決める前提として一つあるのは時間的な(長期なのか、短期なのか)問題です。つまり、どのような時間のスパンで「誰もが見たことがある当たり前のもの」なのかを見極めることが重要です。そして、新しいものを考える際には、どのくらいの時間新しいものにするのかを見当をつけるのです。
これによって、どの範囲を、どのくらいの時間で考えるのがよいのかという調整ができます。
さらにその方向性で、ありそうでなかったものを探すためには、抽象化が有効です。つまり、当たり前になっているものの本質がなにかを抽象的に見極めると同時に、それを具象化して、これまでにはなかったものを探していくのです。
具象化ではひらめきが必要になってくることが多いです。そこで、センスをよくするためには、抽象的な本質を具象化する際には、直観的に考え、そのアイデアを論理的に整理するという思考をするとよいと思われます。
さて、以上のような思考でセンスのよい活動しようとすると、必ずしも答えが一つに定まらないという状況に陥ります。イノベーションがその典型ですが、そもそも、センスが必要な状況は正解がない状況です。すると、上の4つのうち、少なくても大局と分析、抽象と具象、時間については、何らかの主観的な判断が必要になります。ただし、単に主観で決めればよいというものではなく、その判断を客観的に見た時にどう見えるかを意識しながら、主観的な判断をしていく必要があります。
このように5つの視点から見て、統合しながら考えていくことによって、センスがよい活動ができるようになります。この5つの視点からの思考を、PMstyleでは「コンセプチュアル思考」と呼びます。
コンセプチュアル思考を一言でいえば、
複雑にからみあう事象を概念化することにより、ものごとの関係性や本質を認識している思考
となります。
このようなコンセプチュアル思考によって、センスを実現し、センスのよい活動をするコンセプチュアルスキルを実現することができます。
◆コンセプチュアルリーダーシップ
PMstyleでは、コンセプチュアル思考を実践し、センスのよいコンセプチュアルスキルで価値のある結果を出す活動をしている人をコンセプチュアルリーダーと呼んでいます。一言で言えば、
複雑にからみあう事象を概念化することにより、ものごとの関係性や本質を認識して、はっきりするリーダーシップ
がコンセプチュアルリーダーシップであることになります。
VUCAの時代には、組織の全員がコンセプチュアルリーダーシップを発揮できる必要があります。VUCAの世界では、誰かの指示を受けながら粛々と業務を行うという働き方は成立しません。先を予測して、細かい指示をしても、刻々と状況が変わって、すべきことが変わってくるためです。
最低限でも、大きな方向性を示されて、その方向に業務を進めていく必要があります。その際に重要なことは、大きな方向性に向けて進めていくときに、具体的にどのような仕事をすればよいかを判断するのは担当者自身だということです。
そう考えると問題は方向性の示し方です。示されるものを大きい方から、目的、目標、タスクとすれば、古くははタスクを指示されていました。つまり、ある目標を達成するためにどのようなタスクをすればよいかを示されていたわけです。
ここに目標管理が導入され、指示されるものが目標になってきました。して欲しいことを目標という形で決め、その達成方法は任せられるようになってきました。
ところが、VUCAの時代になって、その業務の途中で目標を変えざるを得なくなるケースが増えてきました。実際に業務を遂行している中で、目標を変える必要が生じ、上司に相談しようとしてもなかなか時間が取れないという話はよく耳にします。
このような実態を考えると、もう目標を示すことが難しく、目的を示して目標を調整しながら仕事をすることが少なくともチーム単位ではできる必要あり、チームリーダーはコンセプチュアルリーダーであることが不可欠です。
ただ、同じ構図はメンバー一人一人の仕事の中にもあり、程度問題ですが、全員がコンセプチュアルリーダーシップを発揮する必要が生じています。つまり、全ての人がコンセプチュアルリーダーであって欲しいのがVUCA時代なのです。
◆コンセプチュアルリーダー塾説明会
新しいコンセプチュアルリーダー塾では、2021年は「センス」をテーマに掲げ、個人とチーム/組織の両面から活動を行います。
個人向けの説明会では、コンセプチュアル思考を使いこなすことによって、センスのあるマネジメントや業務のできるリーダーを育成する場としての活動を説明います。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルリーダー塾説明会<個人編> ◆
日時:2021年05月12日(水) 19:30-21:00
形態:ZOOMオンライン
講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
詳細・お申込 https://coceptual-leader.peatix.com/
主催:エムアンドティ
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1.コンセプチュアルリーダーとは
2.コンセプチュアル思考で、コンセプチュアルリーダーになる
3.コンセプチュアルリーダー塾のご案内
4.質疑
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◆コンセプチュアル思考とコンセプチュアルリーダーシップのセミナー
コンセプチュアル思考とコンセプチュアルリーダーシップに関して、以下のセミナーを開催しています。今なら、コンセプチュアルリーダー塾に参加していれば、受講料半額になります。
まず、コンセプチュアル思考の公開セミナーはこちらになります。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアル思考のポイントと活用
~VUCA時代の思考法◆(7PDU's)
日時:2021年 05月 17日(月) 13:30-17:00
~05月 18日(火) 13:30-17:00
形態:ZOOMオンライン
講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
【第1日】コンセプチュアル思考に慣れる
1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
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次に、コンセプチュアルリーダーシップのセミナーはこちらになります。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルリーダーシップ~VUCA時代のリーダーのセンスを高める ◆
日時:2021年 05月 27日(木) 13:30-17:00
形態:ZOOMオンライン
講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_leadership.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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1.リーダー行動とコンセプチュアルスキル(1.0時間)
・仕事の目的を決める
・目的の実現方法を試行錯誤する
・メンバーが主体的に動くように働きかける
・チームに学習を促す
2.コンセプチュアル思考の活用で成果のセンスを高める(2.5時間)
・コンセプチュアル思考とは
・目的決定のセンスを高める
・目標設定のセンスを高める
・メンバーの主体的行動を促すコンセプチュアル思考の活用
・チームに学習を促す・学力におけるコンセプチュアル思考の活用
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PMstyleでのコンセプチュアルプロジェクトマネジメントのラインナップがだんだん整備されてきました。以下の3つです。
【1】「パーパス」でプロジェクトを動かす
【2】PDCAとOODAの統合によるコンセプチュアルプロジェクトマネジメント
【3】クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践
8月中にLINEで友だち登録した上でお申し込み頂けると10%引きになります。こちらからLINEの友だち登録し、備考欄に「LINE20200803」とご記入ください。
お急ぎください!
【1】「パーパス」でプロジェクトを動かす
コンセプチュアルプロジェクトマネジメントの公開講座でもっとも早くから開催しているのは、こちらのセミナーです。コンセプチュアルプロジェクトマネジメントの流れを一通り講義するとともに、重点ポイントと考えている部分に焦点を当て演習などでより深く学びます。
重点ポイントは、今年度から計画からデザインに重点を移し、パーパスをいかに決定し、そのパーパスを実現するためにいかにプロジェクトデザインを行うかにおいています。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「パーパス」でプロジェクトを動かす
~VUCA時代のプロジェクトデザインの実践的方法◆
日時:2020年 09月 15日(火)~09月 16日(水) 13:30-17:00
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
場所:ZOOMによるオンライン開催
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
<第1日>
1.パーパスとプロジェクトデザイン
2.パーパス実現のシナリオ創り
3.成果と成果物を明確にし、プロジェクト目的と目標を決める
<第2日>
4.シナリオからプロジェクトコンセプトを創る
5.成果を実現する本質要求を見極める
6.成果物を実現する本質目標を決定する
7.環境変動時のプロジェクトマネジメントの対応
8.VUCA時代に求められるプログラム&プロジェクトマネジメント
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【2】PDCAとOODAの統合によるコンセプチュアルプロジェクトマネジメント
二番もほぼ同時期から開催していますOODAとPDCAの統合をするコンセプチュアルプロジェクトマネジメント講座です。OODAの基本を学び、PDCAと使い分けと統合方法を学べる講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆PDCAとOODAの統合による
コンセプチュアルプロジェクトマネジメント◆(7PDU's)
日時・場所:【ZOOM】2020年 10月 05日(月)13:30-17:00(13:20入室可)
~2020年 10月 06日(火)13:30-17:00(13:20入室可)
※ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_ooda.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
1.計画のできないプロジェクトをどのように管理するか
2.PDCA再考
3.OODAの概要
4.OODAに必要な考え方
5.PDCAとOODAの統合によるコンセプチュアルなマネジメント
6.OODAとアジャイルプロジェクトマネジメント
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【3】クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践
三番目は、今年度から開始しましたクリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントです。最初にクリティカルシンキングをプロジェクトマネジメントに適用するに当たって重要な役割を果たすと考えられる内容を学び、その上でポイントにクリティカルシンキングを適用する方法を学びます。
ポイントとしては、要求分析、リスクマネジメント、ステークホルダーマネジメントの3つを取り上げます。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践◆
日時・場所:【ZOOM】2020年 09月 24日(木) 13:30-17:00
9月 25日(金) 13:30-17:00
※ZOOMによるオンライン開催です。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:鈴木 道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical_practice.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.クリティカルシンキングトレーニング
2.クリティカルシンキング応用(1)~要求分析
3.クリティカルシンキング応用(2)~リスクマネジメント
4.クリティカルシンキング応用(3)~ステークホルダーマネジメント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
PMstyleでは、「コンセプチュアル思考」という思考法を提唱しています。
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
コンセプチュアル思考は5つの軸の軸の行き来で実践します。
大局/分析
抽象/具象
直観/論理
主観/客観
長期/短期
の5軸です。大局や長期は経営者やマネジャーのスキルとしては古くから重要性が指摘されていたものですが、この5年くらいで他の軸についても急速に認知されるようになってきたように感じています。
そこで、この記事では、抽象/具象、直観/論理、主観/客観の3軸に関する書籍を簡単にコメントをつけながら紹介してみたいと思います。
◆抽象/具象の本
まず、最初に重要だと言われるようになってきたのは、抽象と具象の行き来です。これについては90年代から指摘する人もいましたが、具体との行き来で初めて意味が生まれるということを言っていた人はありませんでした。それを最初に言ったが楠木建先生のこの本です。
楠木 建「経営センスの論理 (新潮新書) 」、新潮社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105152/opc-22/ref=nosim
この後、この分野では定番になる本が登場します。ビジネスコンサルタントの細谷功さんの
細谷 功「具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ」、dZERO(2014)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4907623100/opc-22/ref=nosim
です。細谷さんはそれまでにも、「地頭力」や「アナロジー思考」などで、抽象化能力の重要性を言われていましたが、この本で全貌を描かれた感じです。また、最近ではこのテーマでトレーニングブックを出されています。
細谷 功「「具体?抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書)」、PHP研究所(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569845991/opc-22/ref=nosim
細谷さんのほとんどの著作ではこの問題へ言及されています。
抽象と具象の行き来に関しては、他にもこんな本があります。
安田 健介「抽象・具体の往復思考 ―安田健介傑作選―」、幻冬舎(2016)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/434499440X/opc-22/ref=nosim
また、ビジネス書ではなく、創造行為や芸術の分野を想定した本だが、読んでみて非常に面白かったのがこちらの本です。
栂 正行「抽象と具体 創造行為を描き出すこと」、三月社(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990775546/opc-22/ref=nosim
この本では、抽象と具象をどのように表現しているかを論じていて、この議論の本質に触れることができます。
このほかにも、抽象と具体について述べたり、論じたりしている本は非常に増えてきています。
◆直観/論理に関する本
次に直感(直観)に関する本です。この分野も古くから本があるのですが、どちらかというと直感力が高いことは人生にとっていいことだという前提があり、そのため、直感力がどう役に立つかはあまり深堀りされず、直感力の高め方に関するものがほとんどだったように思います。ビジネス書としては際物的な位置づけだったわけですが、ビジネスの分野につないだ本がこの本だと思っています。
羽生 善治「直感力 (PHP新書)」、PHP研究所(2012)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569804896/opc-22/ref=nosim
棋士は「直感」と「読み」と「大局観」の三つを使いこなしながら対局に臨んでいるという話からこの本は直感について述べられたものですが、「読む」とは直観と論理の組み合わせであることがよく分かる本です。ちなみに羽生さんは大局観に関する本も書かれています。
羽生 善治「大局観 自分と闘って負けない心 (角川新書)」、角川書店(2011)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047102768/opc-22/ref=nosim
この本を読むと、「読む」ことのもう一つの側面として、大局と分析の行き来をすることであることが分かります。
直感は今、ビジネス書ではブームともいえるような状況になっていますが、そのきっかけになったのが、内田和成さんのこの本です。
内田和成「右脳思考」、東洋経済新報社(2018)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557865/opc-22/ref=nosim
内田さんは2008年に「スパークする思考」(角川書店)という本でクリエイティブな仕事をする上で、右脳思考が重要であることを述べられていますが、その部分だけを深堀りした内容になっている本です。ちなみに、「スパークする思考」は
内田 和成「右脳思考を鍛える: 「観・感・勘」を実践! 究極のアイデアのつくり方」、東洋経済新報社(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557911/opc-22/ref=nosim
として復刊されています。このほか、2019年には、
野中 郁次郎、山口 一郎「直観の経営 「共感の哲学」で読み解く動態経営論」、KADOKAWA(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046024909/opc-22/ref=nosim
佐宗 邦威「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」、ダイヤモンド社(2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478102856/opc-22/ref=nosim
といった本が出されています。また、2020年になってからは、
田坂 広志「直観を磨く 深く考える七つの技法 (講談社現代新書) 」、講談社 (2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065187958/opc-22/ref=nosim
伊丹 敬之「直感で発想 論理で検証 哲学で跳躍: 経営の知的思考」、東洋経済新報社(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492315306/opc-22/ref=nosim
といった本が出版されています。野中先生、内田さん、田坂さん、伊丹先生という大物がラインナップされていますので、出版社もそれなりに気合が入っているテーマなのでしょうし、これからもしばらく続くのではないかと思います。
それからビジネス書という範疇ではありませんが、僕が気に入っている直感の本に、内田樹先生の本があります。この本です。
内田 樹「直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座 (朝日文庫)」、朝日新聞出版(2017)https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022619082/opc-22/ref=nosim
(これは論理との行き来について書いた本ではなく、あくまでも直感の役割について書いた本です)。
◆主観/客観に関する本
この軸では、客観性に関する本はビジネスの分野でもそれなりにありましたふが、主観についてはビジネス書ではあまり見当たりませんでした。ところが、最近注目されるようになってきた美意識系やセンスメイキングを中心に本を見かけるようになってきました。代表的なのはこの本です。
山口 周「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」」、光文社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334039960/opc-22/ref=nosim
山口さんは、役に立つことをする時代は終わり、意味があるかどうかが問題になってくるだろうという指摘をしています。いろいろな本で述べられていますが、例えばこの本です。
☆山口 周、水野 学「世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術」、朝日新聞出版(2020)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022516739/opc-22/ref=nosim
山口 周「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」、ダイヤモンド社 (2019)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447810834X/opc-22/ref=nosim、
こういう価値観のもとで仕事をするには、意味の定義は客観的、普遍的なものではなく、個々人や組織が主観で決めることになります。
意味を考えるということでは、センスメイキング系も主観の話です。センスメイキングは、人間が経験から意味を与える過程であり、本としては2018年に出たマスビアウさんの本がよく知られています。
クリスチャン・マスビアウ(斎藤栄一郎訳)「センスメイキング」、プレジデント社(2018)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423065/opc-22/ref=nosim
しかし、実はバイブル的な本もあったりします。この本です。
カール・E. ワイク(遠田 雄志、西本 直人訳)「センスメーキング イン オーガニゼーションズ」、文眞堂(2001)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4830943807/opc-22/ref=nosim
ワイク先生は組織の社会心理学者ですが、その理論の中でセンスメーキングを提唱しました。
いずれにしてもビジネスでも主観はこれから欠かすことのできない分野になっていくと思われます。その懸け橋になりそうなのが、アートで、アートとビジネスの本についてはこちらの記事を参考にしてください。
「アート」と「ビジネス」や「マネジメント」の関係づけを考えた本(改訂版)
https://mat.lekumo.biz/books/2020/02/post-5882.html
ちなみに、哲学の分野では古くから、結構、多い分野でもあります。中でもお薦めはこの本です。
ドナルド・デイヴィドソン「主観的、間主観的、客観的」、春秋社(2007)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4393323076/opc-22/ref=nosim
ということで、コンセプチュアル思考の5軸のうち、最近重視されるようになった3軸に関する本を紹介しました。問題はこれらの軸を如何に統合していくかです。これがコンセプチュアル思考にキモでもあるわけですが、これについては冒頭に紹介しました、こちらの本をお読みください!
好川 哲人「コンセプチュアル思考」、 日本経済新聞出版社(2017)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320623/opc-22/ref=nosim
バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/pdesign/
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◆はじめに
VUCA時代/VUCAワールドのプロジェクトは計画的にコントロールすることが難しく、大局的な視点でコントロールしていく必要があります。そのためのマネジメントとしては、プロジェクトの構造や成果の本質に着目してプロジェクトを実現するコンセプチュアルプロジェクトマネジメントが最も適していると考えられます。
この際の問題は、どこに視点を置いてプロジェクトの大局を考えていくかです。計画によるコントロールをする場合には目標に視点を置き、目標を達成することをマネジメントの役割にしていました。
これに対して、プロジェクトを大局的にコントロールするための方法として考えられるのは、組織のビジョンやミッションなどです。あるいはもう少し具体的なレベルでは戦略もあります。中でもVUCAの今、注目されているのが、企業が自分たちの存在意義を示すパーパスです。パーパスは自分たちがなぜ存在しているか、なぜ活動しているのかを示す概念で、欧米の先進企業ではパーパスを軸にして、ビジョンやミッション、戦略、コンセプト、プロジェクト、組織や社員の行動様式まですべてを統一するという使われ方がされるようになっています。
このような動向の中で、パーパスを起点にしてプロジェクトを動かすプロジェクトマネジメントは重要性が高まっていますが、特に計画の前提を作るプロジェクトデザインのプロセスが重視されています。そこでこの連載では、パーパスを起点したプロジェクトにおけるプロジェクトデザインの方法について解説したいと思います。
今回は第1回で、概論としてVUCA時代のプロジェクトとはどのようなものか、そしてそれに適したプロジェクトマネジメントとプロジェクトデザインの方向性について考えてみたいと思います。
◆プロジェクト2.0
この連載の前段になっているのが2011年に出版した
好川哲人「プロジェクトマネジメントの基本」、日本実業出版(2011)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KLVQ9X0/opc-22/ref=nosim
です。この本では、モノやシステムなどの有形の成果物を生み出すプロジェクト(本連載ではこれをプロジェクト1.0と呼びます)だけではなく、サービスやビジネスモデル、イノベーションなど無形の成果物を生み出すプロジェクト2.0に対するプロジェクトマネジメントをまとめています。
プロジェクト1.0ではプロジェクトの目的はあまり重要ではありません。モノが中心になり、モノを作ることが全てで、目標の一つであり、目的でもあるからです。
しかし、無形の成果物を生み出すプロジェクト2.0ではそうは行きません。成果物を厳密に定義することは難しく、生み出されたものが適切かどうかの判断が難しいからです。適切であると判断をするためには、成果物が適切にプロジェクトで求めている成果に影響することが必要です。
例えば、新商品の開発プロジェクトを考えてみます。プロジェクト1.0であれば、成果物が満たすべき機能や要求が決められており、それを如何に速く、安く作れるかが問題になります。
これに対して、プロジェクト2.0では必ずしも成果物の満たすべき条件が決まっていません。その成果物によって生み出される成果、例えば、サービスの迅速化や多様化、顧客を満足させるなどが問題になります。つまり、プロジェクトで何を成果物とするかだけではなく、その成果物によって何を成し遂げたいかを事前に決定し、できるだけそれを実現することを目的としたプロジェクトなります。ここではプロジェクト成果と成果物、目的と目標は
プロジェクトの成果=目的の実現
プロジェクトの成果物=目標(の一部)の達成
という関係になっています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【コンセプチュアル講座コラム】仕事の成果物と成果を分けて、働き方を変える
https://mat.lekumo.biz/ppf/2020/03/post-23d9.html
◆プロジェクトデザインとは
さて、このように考えますと、プロジェクト2.0では成果物と成果の関係のあいまいさがあり、ある意味で、望まれた成果が得られれば成果物はどのようなものでもよいとも言えます。
少し話が脱線しますが、実際に、社内や顧客の要望で行われるモノづくりのプロジェクトもプロジェクト1.0よりプロジェクト2.0の方が多いと思われます。しかし、マーケティング、開発、営業などの縦割り組織から人を出してプロジェクトを実施している限り、プロジェクト2.0と認識してプロジェクトを進めていくのはなかなか難しい課題になります。
「プロジェクトマネジメントの基本」では明示的に概念を使っていませんが、組織として望まれる成果に対して、それを生み出す成果物を決め、その成果を生み出す仕組みづくりを「プロジェクトデザイン」と言います。プロセスとしてみれば、プロジェクトデザインは解決したい課題があったときに、それをどのような形のプロジェクト(成果や成果物あるいは目的や目標)に落とし込んでいくかを決めるプロセスです。
このように考えますと、プロジェクト2.0のプロジェクトデザインの中核は事業戦略や顧客要求などのプロジェクトの実施理由からプロジェクトの目的を決めることだといえます。そして目的を実現するための目標を達成するためにプロジェクトマネジメント計画を策定し、プロジェクトを進めていきます。
◆成果と成果物の関係
重要なことは、プロジェクト2.0の成果物と成果の間にはあいまいな点があるものの、決まった関係があることを前提をしていることです。
プロジェクト1.0では正解があることが前提になっています。主に経験によるものですが、こうすれば売れる、こうすれば顧客が求めているものを作れるといったことに対して、正解があります。別の言い方をするとプロジェクト1.0はプロダクトアウトをするためのプロジェクトなのです。
ところが、プロジェクト2.0になると正解があることが前提になりません。ひょっとするとあるかもしれないのですが、経験がなかったり、あるいは考えられなかったりで、プロジェクトの立ち上げ時にこうすればうまくいくというものが考えられません。
従って、プロジェクトの目的を明確にして、情報を集めながら目的に適う成果物を設定しながらプロジェクトを進めていき、成果を生み出していくプロジェクトになります。別の言い方をするとマーケットインのプロジェクトです。
マーケットマーケットインでは、効率よく成果を取り込むために、成果物から成果を生み出す部分には仮説を置きます。そして、仮説検証しながら、妥当な成果物を作り上げていくプロジェクトです。例えば、アジャイルプロジェクトマネジメントはそのようなプロジェクトマネジメント手法になっています。
さて、最近のプロジェクトを悩ませているVUCAな時代のプロジェクトはどうでしょう。それについて考えてみる前に、VUCAについて説明しておきます。
◆広まるVUCA
この10年くらい、社会でもビジネスでも一挙にVUCAという概念が浸透してきました。VUCAは
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
の頭文字をとった言葉(概念)で、1990年代に米国陸軍で使われ始めた言葉ですが、一言でいえば、
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」
のことです。米国陸軍で使われるようになったのは、1990年代の冷戦終結後の複雑性が増し、将来の予測が困難な国際情勢を意味する概念としてでした。
21世紀になると軍事だけではなく、社会的に使われる概念になってきました。特に、米国の軍人であったスタンリー・マクリスタル将軍が2014年のASTD基調講演でVUCAについて述べたことが一般化の契機になっているようです。その後、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」という言葉が使われたことにより、ビジネスの世界にも一挙に広まってきました。
日本でも2017年くらいから、VUCAについての有識者の発言が目立つようになっています。そして、主にビジネスの世界で、VUCA時代のリーダーシップやマネジメントの在り方が議論されるようになってきました。
米国陸軍で使われるようになったのは、1990年代の冷戦終結後の複雑性が増し、将来の予測が困難な国際情勢を意味する概念としてでした。
21世紀になると軍事だけではなく、社会的に使われる概念になってきました。特に、米国の軍人であったスタンリー・マクリスタル将軍が2014年のASTD基調講演でVUCAについて述べたことが一般化の契機になっているようです。その後、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」という言葉が使われたことにより、ビジネスの世界にも一挙に広まってきました。
日本でも2017年くらいから、VUCAについての有識者の発言が目立つようになっています。そして、主にビジネスの世界で、VUCA時代のリーダーシップやマネジメントの在り方が議論されるようになってきました。
◆プロジェクト3.0に必要なマネジメント
再び、プロジェクト3.0の議論に戻ります。
プロジェクト3.0はもやはり、プロジェクト成果物と成果は別のものだと考えますが、成果物から成果を生み出すロジックすら変動しているものです。ここにVUCAな要素があるのです。
例えば、ある特徴を持った商品を提供すれば若者は満足すると考えることができるのですが、それが刻々と変わり、商品が完成したころにはがらりと変わっているようなケースです。言い換えれば、成果物から成果を生み出すところを仮説検証すらできないプロジェクトです。
こうなってくると、プロジェクト成果を実現するためのポイントは、如何に素晴らしい成果物を作るかではなく、如何にプロジェクト成果物からプロジェクト成果を生み出すかにかかってきます。もちろん、成果物に目に見えて不十分なところがあってはならないのですが、それはプロジェクト成果の前提条件であり、プロジェクト成果の成立条件ではなくなってきます。
成果物から成果を生み出すには、従来のプロジェクトデザインのように、成果物を成果に対して妥当なものにするために経営やマーケティングから落とし込んだ目的を設定するだけではなく、成果物と成果の関係を柔軟にできるようにする必要があります。PMstyleでは、ここにシナリオを持ちこむことによって、調整を可能にしています。
プロジェクト1.0のプロダクトアウト、プロジェクト2.0のマーケットインという流れで行くと、プロジェクト3.0は企業や顧客が本当に必要としているものを見つけ出し、ニーズを理解した上で一から事業を組み立てていくという考え方であるマーケットアウトになります。
◆関連セミナー
パーパス・ドリブンのコンセプチュアルプロジェクトマネジメントの上流になるプロジェクトデザインについて学ぶZOOMオンラインセミナーです。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「パーパス」でプロジェクトを動かす
~VUCA時代のプロジェクトデザインの実践的方法◆
日時:2020年12月03日(木) 13:30-17:00、12月 04日(金) 13:30-17:00
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
場所:ZOOMによるオンライン開催
講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
<第1日>
1.パーパスとプロジェクトデザイン
2.パーパス実現のシナリオ創り
3.成果と成果物を明確にし、プロジェクト目的と目標を決める
<第2日>
4.シナリオからプロジェクトコンセプトを創る
5.成果を実現する本質要求を見極める
6.成果物を実現する本質目標を決定する
7.環境変動時のプロジェクトマネジメントの対応
8.VUCA時代に求められるプログラム&プロジェクトマネジメント
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「コンセプチュアル・マネジメント」ブログで、コンセプチュアルスキル講座、コンセプチュアル・マネジメント講座の各セミナーの背景にある問題意識や考え方を紹介する連載
バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/conceptual_training/
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