ディスカッション Feed

2010年4月13日 (火)

【補助線】グローバルスタンダードの幻想

◆取り残されるという「勝手な思い込み」

我々のもう一つの失敗はグローバルスタンダードに従わないと世界から取り残されるのではないかという、勝手な思い込みしてしまったことである。これは大変な勘違いであった。文化ほど独自なものはない。文化は弱さの原因でもあるが、他の人のまねできない強さ、つまり、独自能力の原因でもある。

このフレーズは、加護野忠男先生の「経営の精神」に出てくるフレーズである。この議論で最も念頭に置かれているのは、SOX法による内部統制である。SOXに限らず、一般的な議論だと思うが、この議論は難しい議論である。何が難しいかというと、競争のルールをどう考えるかだ。

続きを読む »

2010年4月 4日 (日)

【補助線】ミドルは自利を解放せよ

◆自利利他

加護野忠男教授の書かれた「経営の精神」に、「自利」という言葉が出てきて、興味を持ち、いろいろと調べていたら、深い言葉だ。「自利利他」は最澄伝教大師の言葉で、利他を実践すればいつかは巡り巡って自分の利益になるというような考え方ではなく、「利他の実践がそのまま自分の幸せなのだ」のようだ。

辞書を引くと、宗教用語としての自利は

仏道修行によって自分によい果報をもたらすこと。自分の成仏を目的とすること

とある。同時に、「自分の利益」であり、「私利」とも書かれている。宗教用語が本来の意味だとすれば、私利と自利は逆の意味のようにも取れる。調べてみてもよく分からなかったのだが、「私」と「自」はなんとなくだが、違うようなイメージがあるからだ。ただ、私利は「私利私欲」を連想したイメージを持っているからだけかもしれない。

続きを読む »

2010年3月28日 (日)

【補助線】エンジニアからマネジャーへのトランジション

エンジニアがよいプロジェクトマネジャーになること(トランジション)は意外なくらい難しい。この記事はエンジニアの仕事とプロジェクトマネジャーの仕事はどう違うのかを明確にした上で、トランジションの障壁になっているものを整理し、どうすれば変わることができるのかを、著者のコンサルティング経験に基づき、整理したい。

続きを読む »

2008年12月 1日 (月)

【補助線】プロジェクトマネジメント栄えて、プロジェクト滅ぶ

◆マネジメントが組織を滅ぼす

「政治家栄えて国滅ぶ」とか、「官僚栄えて国滅ぶ」といったとかいうフレーズがあるように、統治者が栄えて、統治対象を滅ぼしてしまうというのは世の常である。

マネジメントでもこういう現象はよく見かける。マネジメントが組織を滅ぼすという構図だ。多くの原因があるが、代表的なものを3つあげるとすれば

(1)自分以外を変えることによって会社を変えようとする傾向がある
(2)マネジメントは自分より能力があるものを登用しない傾向がある
(3)管理を目的とし、過剰な管理をする傾向がある

である。実はこの3つは、ピーター・ドラッカー博士の膨大なるマネジメントに対する遺言の中に、しっかりと警鐘されていることでもある。

続きを読む »

2007年11月16日 (金)

【補助線】常に計画は常に守られるべきか?

PMBOKを知ると

 計画は常に守られるべき

という思ってしまうが、これは錯覚である。計画が常に正しいとは限らない。ゆえに、正しい行動をするためには時として計画を無視する必要がある。

この錯覚は根が深い。一つは計画という言霊の問題だ。内部統制とか、コンプライアンスとかいうよりも、言霊の方が強烈だと思う。計画とか、ルールとかいうと、守らなくてはならないものという言霊ができてしまっている。

もう一つは、少なくともプロジェクトにおいては、計画は目安に過ぎない。PMBOKはここの扱い方がよくできていて、段階的詳細化により、計画は可能になった時点で行えばよいとしている。そして、さらに、「リスク計画」なる計画を持ち込み、計画に対して予想外の状況も「計画をしておけ」と言っている。そして、段階的詳細化にしろ、リスクマネジメントにしろ、変更管理をきちんとして、常に、計画と行動を合わせるべきだといっている。

これで完璧なのように思えるかもしれないが、それは錯覚だ。PMBOKは計画は段階的詳細化も含めて常に作れるという前提に立っている。しかし現実にはリスク計画など、完璧なものが作れることはないだろう。

PMBOKではここに組織成熟度なるものを持ち込んできて、組織としてリスクマネジメントに対する知見が蓄積されていくことにより、完璧なリスク計画が作れると言っているが、これはレトリックである。完璧な計画というのがありうるとすれば、確かにそうなのだが、完璧な計画などあり得ないという考え方もある。その前提に立つとPMBOKのロジックは崩れ去る。

現実には完璧な計画などあり得ない。

それゆえに、計画の実行が大切になってくる。つまり、計画の実行の際に、一人一人のメンバーが計画にないことまでやっていかないとプロジェクト成功はおぼつかない。

このためにはメンバーのスキルやマインドが大切になってくる。これがチームビルディングの議論であり、また、コミュニケーションやヒューマンスキルの議論である。

また、リスク計画が完璧ではないとすれば、計画を無視する必要も出てくる。その時の状況を想定内だと言えなくなるために、担当者が独自の判断を迫られるのだ。

このように議論していくと難しいのだが、もっと単純にいえば、以下の命題に対して、どういう答えができるかということだ。

 計画通りにやっていて、もし、結果が好ましくない場合には、誰の責任か

計画を作るというのは、責任を明確にするということに他ならない。どうも、あまり、細かな計画を作りたがらない背景には責任を明確にしたがらない文化が見え隠れするというのは考えすぎだろうか?

プロジェクトマネジャーの現場力

PMAJの理事の渡辺さんと一緒に仕事をさせてもらっている。

今度、PMstyleでセミナーを共催することになった。セミナーのテーマは

 プロジェクトマネジャーの現場力

だ。企画の議論の中でなんとなく出てきた言葉なのだが、議論をしているうちに、今、PMコンピテンシーだの、ヒューマンスキルだの、人間力だの言っている言葉はすべて「現場力」という一言に集約されるのではないかという気がしてきた。

皆さんは「プロジェクトマネジャーの現場力」という言葉から何を連想されますか?

コメントお待ちしています。

2007年11月 8日 (木)

誰が誰のために存在するのか?

 メンバーはプロマネのために存在する
 プロマネはメンバーのために存在する

あなたはどちらがしっくりきますか?

もうひとつ、プロジェクトマネジャーとプロジェクトスポンサー(プロジェクトオーナー)。

 プロマネははプロジェクトスポンサーのために存在する
 プロジェクトスポンサーはプロマネのために存在する

これはどちらがしっくりきますか?

コメントをお待ちしています。

2007年6月21日 (木)

【補助線】なぜ、日本には女性PMが少ないのか(その2)

PMI東京の女性事務局長・永谷裕子さんに先月からメルマガの記事を書いていただいている。

ITプロジェクトでのDiversity
http://www.pmstyle.biz/column/list.htm

今月の記事の中で、ご自身の欧米でのコミュニティの参加経験から、日本は女性プロジェクトマネジャーが少なく、それを増やすにはどうすればよいかを提案されている。

第2回「ジェンダー(男性・女性)の課題」
http://www.pmstyle.biz/column/diversity/diversity2.html

実は、永谷さんにこの連載をお願いしたきっかけは、1年くらい前になにかの打ち合わせのついでに、ジェンダーダイバーシティの話をしたことだった。

その後で、ブログにこんな記事を書いていた。

なぜ、日本には女性PMが少ないのか
http://mat.lekumo.biz/ppf/2006/08/post_08b3.html

記事は単なる問題提起だが、この問題に対する見解を書いてみる。

プロジェクトマネジャーが少ない原因は大きく分けると2つある。ひとつは、そもそもプールにいないことであり、もうひとつはプールにいても選ばれないことである。永谷さんも書かれているが、前者の問題は組織としての問題であり、現場マネジメントとしては人事施策の効果を待つしかない。

ここでは、後者の選ばれないという問題について考えてみる。女性がプロジェクトマネジャーに選抜されない理由は大きくは3つあると思われる。

(1)プロジェクトスポンサーが使わない
(2)本人がやりたがらない
(3)顧客やエグゼクティブが歓迎しない

の3つ。

(1)はまさにジェンダーダイバーシティの問題であるが、プロジェクトマネジメントにおいては、この問題は解消されている。プロジェクトマネジャーの選抜の仕組みができていれば、これは問題にならない。むしろ、(2)や(3)の問題が絡むのでややこしい。

(2)の問題が意外と多い。ただし、この問題も女性だから云々という問題ではない。男性でもプロジェクトマネジャーになりたがらない人は少なくない。その意味で、これも男女に関係なく、プロジェクトマネジャーになりたいような環境を作っていくことが先決である。これも、まずは、プロジェクトマネジメントをプロジェクト、組織ともきちんと行うことが先決であろう。

もちろん、その段階で女性特有の問題が出てくる可能性がないとはいえないが、今はその段階ではない。

(3)もっとも厄介なのは、実は(3)ではないかと思う。このような場面に今まで何度も遭遇してきた。この問題は根が深い。実は、組織のダイバーシティが最も問われるのはこのような局面ではないかと思う。ダイバーシティのある組織は、顧客やエグゼクティブに対して、リスクをとってでもスポンサーシップを持ってサポートしていく。

そう考えると、結局のところ、現場でのダイバーシティの問題は、リスクをとりたがらないという問題に帰着するのではないかと思われる。

今日は、こんなところにしておく。

2006年12月25日 (月)

富士通版 プロジェクトマネジメントの成功法則

PMAJで「ITプロジェクトマネジャー成功の条件」というSIG(研究会)に参加している。副会長の佐藤義男さんがやられているSIGである。先日、SIGのミーティングがあり、富士通の近藤さんから面白い話を聞いた。

富士通は最近プロジェクトマネジメントで非常に成果をあげている。日本のSIベンダーは10年くらい米国のSIベンダーに遅れを取っているという説があるが、富士通だけはそこから頭一つ抜け出した感じがあって、おそらく5年くらいまで挽回しているのではないかと思う。

さて、その近藤さんの話だが面白いのは、近藤さんはプロジェクトマネジャーに必要な資質の中で50%は技術的なスキルだといわれている点だ。これは一般的に言われている認識とはだいぶ異なる。

近藤さんの言われる6つの成功法則は以下のようなものである。

1)体制
2)システム化技術を初期の段階で決めることができる
3)業務設計(要求)の聞き出し方
4)WBS、計画を詳細に書く
5)モチベーションの向上マネジメント
6)無謀なプロジェクトを止める

近藤さんの体験によると1)~3)がきちんとできると大多数のプロジェクトはうまくいくそうだ。これが、技術50%の根拠らしい。

なるほどなと思った。1)~3)は、いわゆる技術ではなく、開発マネジメント技術である。プロジェクトマネジャーに技術が必要かどうかはいろいろな説がある。しかし、開発マネジメント技術が必要であるというのは異論がないところではないかと思う。開発マネジメントができないプロジェクトマネジメントはプロジェクトはマネジメントできないだろう。

これはSIに限ったことではない。例えば、商品開発であればISOをうまくまわせない人にはプロジェクトマネジメントはうまくできないのと同じことだ。

近藤さんの話は他にも含蓄がある。1)~3)だけではできないプロジェクトもあるそうだ。これについては、4)に取り組めとのこと。さらにそれでもだめな場合には5)が必要だという。1)~3)でできるかどうかは、プロジェクト初期のあいまい性に大きく依存する。あいまい性が大きい場合には計画を詳細にしろというのはよく分かる。また、それすらできないようなケースは「ひと」の持っているポテンシャルを引き出すことを考えろというのもそのとおり。

それでも危いと思われるものはやらない。非常に納得性が高い。

2006年12月17日 (日)

プロフェッショナル

コンサルタントの波頭亮氏の書いたプロフェッショナル論「プロフェッショナル原論」の中に、以下のようなフレーズがある。

プロフェッショナルという言葉を聞いてまず思い浮かべるのは常人の域をはるかに超えた知識や技術の凄さであろうが、実はプロフェッショナルのプロフェッショナルたる本質は神に誓う自らの使命であり、わが身に課す厳しい掟にあるのだ。

昨年から、今年にかけてプロフェッショナルとは何かを問われる事件がたくさんあった。昨年のマンション強度偽装、粉飾決算、インサイダー取引、病気の臓器移植、すべて、プロフェッショナルが絡んでいる。

僕がプロフェッショナルであることを意識しだしたのは、技術士という資格をとってからだ。大学院に通ったときに、プロフェッショナルの研究をした。医師、看護婦、エンジニア、研究者、会計士、弁護士、弁理士などさまざまな人にインタビューをし、プロフェッショナルの本質を見極めようとした。その活動の中で得られた結論が波頭氏の結論とまったく同じものだった。

プロフェッショナルにとってもっとも大切なものは「倫理観」である。これを波頭氏は「神に誓う自らの使命であり、わが身に課す厳しい掟」と呼んでいる。今年は、オーム真理教事件が結審したが、この事件はプロフェッショナルとは何かという観点からも考えさせられる点が多かった。凄い知識や技術を持っている人が、その活用方法や研鑽において間違った方向性を持ってしまうと、社会的に非常に大きな脅威になる。

つい最近、Winyの作者に有罪判決が出た。即座に上告したようだ。この事件は、著作権の観点からいえば難しい部分があると思うが、一つはっきりといえることは、作者はプロフェッショナルではないことだ。ハッカーであっても、プロフェッショナルではない。

日本にもプロスポーツはたくさんある。しかし、プロフェッショナルを感じさせる人は多くない。サッカーだと三浦和良、中田英寿など数名。あとは、すばらしいファンタジスタかもしれないし、ストライカーかもしれないが、プロフェッショナルは感じない。

プロフェッショナルの研究をしたときに、

僕がやっていることは誰もわからない。ゆえに、自分自身がきちんとした倫理観を持って活動をしていくことが重要だし、それを無くすと自分自身の存在は許せないものだと思う

といったお医者さんがいた。まさにそういうことだろう。

さて、プロジェクトマネジメント「プロフェッショナル」の方たち、倫理感って十分ですか?倫理観でもっとも重要なことは、反社会的な考え方をしないといったことではなく、自身の専門性を常にプロフェッショナルであるに相応しいレベルに保っているかです。

PMstyle 2017年3月~9月公開講座(★:開催決定)

PMstyle facebook

Twitterアカウント(PMstyle)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。