◆コンフリクトが発生する理由
プロジェクトチームで解消しなくてはならないコンフリクトが発生する理由には以下のようなものがある。
・必要なリソースが不足している
・ステークホルダがチームの事情を無視してスケジュールを押し付けてくる
・プロジェクトマネジャーやチームメンバーの個々のワークスタイルの違い
コンフリクトの発生する原因を具体的に見ていくと次のようなものがある。
・チームメンバーがお互いに常に苛立っている
・チームメンバーのコミュニケーションスキルが乏しい
・チームメンバーがパフォーマンスに影響を与える緊急の問題を抱えている
・チームメンバーが身につけてきたディシプリンとチームのディシプリンが違う
・チームメンバーが与えられた仕事やプロジェクトに興味を持てない
・ロールやレスポンシビリティが不明確である
・信頼できなかったり、尊敬できないステークホルダに依存しなくてはならない
・チームメンバーが他のメンバーの専門性を尊重しない
・目指す目的や目標が一致していない
◆コミュニケーションピラミッド
コミュニケーションにはいくつかのレベルがある。レベルを表現する一つの方法は、コミュニケーションピラミッドと呼ばれる手法だ。コミュニケーションピラミッドでは、コミュニケーションのレベルを3つに分ける。
もっとも下位のレベルは「情報のレベル」である。このレベルのコミュニケーションは情報交換が目的で、ホウレンソウがそれに該当する。
その上位のレベルは、ロジック(ロジカルシンキング)で、意味を伝達することが目的である。たとえば、提案や企画などがこのレベルのコミュニケーションになる。
最上位は、価値感のレベルである。このレベルのコミュニケーションは、影響を与えることを目的とする。たとえば、相手を動かすような目的である。このレベルのコミュニケーションにおいては、感情が一つの鍵となる。
情報やホウレンソウは、言葉の定義を明確にし、丁寧にコミュニケーションをすれば、あまり、問題は起こらない(それが難しいので、実際にはよく問題が起こる)。
◆コミュニケーションの問題は価値感のレベルで起こる
ところが、最上位の価値感のレベルになると、コミュニケーションがうまく行かないという問題が多い。メンバーとのコミュニケーションはうまく行くが、顧客とのコミュニケーションがうまく行かないという人がいる。これは、相手との関係の違いによることが多い。メンバーとの間では、ロジックのレベルのコミュニケーションで相手は動く。ところが、顧客は価値感のレベルのコミュニケーションを取らなくては動かない。その際に、メンバーと同じような調子でコミュニケーションを取っていると、落とし穴に落ちることがある。感情的な問題が出てくる。
価値感のレベルのコミュニケーションでは、ロジック、ホウレンソウと違って、相手に併せてコミュニケーションの取り方を変えていく必要がある。コミュニケーションが上手な人は、これを自然に行うことができるが、コミュニケーションが得意でない人には、結構、ハードルが高い。
(その1)プロジェクトリーダーシップの4つの役割
(その2)リーダーシップの活動
前回、リーダーシップの4つの役割について説明し、それぞれの役割でどのような活動をするかを述べた。
今回は、もう少し具体的に、その活動でどのような行動をすべきかを考えてみよう。
(その1)プロジェクトリーダーシップの4つの役割
(その3)リーダーシップの行動
◆プロジェクトリーダーシップ
前回の記事に対して、ある方からリーダーシップの範囲を超えているのではないかというコメントを戴いた。一般的にリーダーシップという言葉はリーダーの行動を指す言葉であるので、この指摘は正しい。ただ、この連載で言っているリーダーシップは、いわゆるプロジェクトリーダーシップであり、プロジェクトを進めるために必要なロールの行動を併せたものである。
(その2)リーダーシップの活動
(その3)リーダーシップの行動
◆はじめに
インターパーソナルスキルエンジンのセッション1はリーダーシップ。
リーダーシップは「おばけ」概念だとよく言われる。実際に、リーダーシップの本を読むと体系化されていても、ビジョン型とか、命令型とか、職人型とか、ファシリテーション型、コーチ型、サーバント型とか、いろいろな名称で、区分が書かれていることが多い。このような方の違いは言ってしまえばコミュニケーションのスタイルが違うということであって、リーダーシップに期待されている役割がそんなに大きく異なっているわけではない。
もっと重要なことは、リーダーシップは属性ではなく、行動であるということだ。結果として役割が実現される。
このことを前提にして、プロジェクトマネジャーに求められるリーダーシップについて考えてみたい。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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