【イノベーション戦略ノート:080】差別化とイノベーション
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◆リニュアルに向けて
イノベーション戦略ノートは、イノベーションに関するネタであればなんでもアリのノート記事として書いてきたが、誌面刷新を機に、もう少し、イノベーションの戦略・視座に絞った内容にしようと思う。
リニュアル第1回は差別化について。
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◆顧客の声がイノベーションに与える影響
顧客の声がイノベーションに与える影響の評価は難しい。イノベーションのジレンマで指摘されたように、顧客の声に応えて、インクリメンタルイノベーション(持続的イノベーション)を行っているうちにイノベーションの成果が顧客のニーズを超えてしまい、顧客は別の側面に目を向けるようになり、そこで破壊的イノベーションに負けてしまうというように、顧客に振り回されることはイノベーションにとって望ましいことではないと考えられている節がある。
スティーブジョブズが言ったといわれる、顧客は自分が何が欲しいか知らないという顧客の評価もある。これは、顧客が欲しいものはすでに具現化されているもので、イノベーションで生まれる成果は顧客に聞いても分からないという意味だ。
ただ、一方で、現実には顧客の声がきっかけになってイノベーションが起こることも少なくない。
そのように考えてみると、イノベーションにおいて顧客の声をどのように扱うかは一つのポイントであることは間違いない。この連載でも触れたようにイノベーションを顧客の要求に対するソリューションとして企てるべきか否かという議論もある。これまでにも顧客の声についてはいろいろと書いてきたが、今回は別の視点から考えてみたい。
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前回に続き、今回も「イノベーションは日々の仕事のなかに」のパディ・ミラー氏の指摘をめぐる話。
パディ・ミラー氏は前回紹介した制約とともに、イノベーションには社内政治が不可欠であるといっている。この指摘を目にしたときに、結局そういうことかと思ったことがある。それは、「良いものは売れる」神話である。
この3~4年、ビジネスモデルブームで、ビジネスモデルイノベーションが盛んにいわれている。ブームのきっかけになったのは、2012年に翻訳が出版されたアレックス・オスターワルダーの「ビジネスモデルジェネレーション」である。この本でアレックス・オスターワルダーは非常に魅力的な「ビジネスモデルキャンパス」なるフレームワークを提唱し、それに多くの人が興味を持った。もうすぐ、この続編で価値創造に焦点を絞った本が出るので、また、話題になるだろう。
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◆制約はイノベーションの源泉
この連載の中でも制約がイノベーションの源泉になることは何度か述べたが、『イノベーションは日々の仕事のなかに」(英治出版、2014)の著者パディ・ミラー氏はもう一つキーワードがあるという。それは主体性である。今回はこの問題について考えてみたい。
制約がイノベーションの源泉であるならば、リーダーは積極的に制約を与えればよい。たとえば、プロジェクトの予算を削るとか、リードタイムを短縮するとかである。それも数%という非率ではなく、松下幸之助が「3%のコストダウンは難しいが、3割ならばすぐにできる」と言ったとされるように30%といった比率にする。するとゼロベースで考えるので、解決策が見つけやすくなる。そこのイノベーションが起こるわけだ。
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第73回でイノベーションにおける計画の議論をしたが、今回は少し視点を変えて、計画というものを考えてみたい。その視点とは、計画の創造性という視点である。
創造的問題解決というのは比較的よく使われる言葉だ。意味合い的には、これまでになかった方法で問題解決を行うという意味で、以下の2つの場合に必要になる。
・既存の問題の制約が変化し、新しい解決方法が必要になる
・新しい問題に対して、既存の解決方法が通用しない場合
いずれもイノベーションが求められることになる。
これに対して、計画が創造的であるとは、その計画が社会や個人にとって新しい価値を生み出すことである。
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最近、ハッカソンとか、アイデアソンという言葉をよく目にするようになった。言葉の定義はあいまいであるが、提示された課題に対して、参加者が持つスキルを使って決められた時間内で解決する参加型のイベントを○○ソンという。
ハッカソンという言葉はもともとソフト業界で使われていたもので、ハック(hack)とマラソン(marathon)を合わせた混成語だと言われる。考えたのは、OpenBSDの開発者やサン・マイクロシステムズのマーケティングチームだといわれる。ソフトウエアであれば、アイデアから成果をその場で作り上げることができるので、アイデアだけではなく、モノ(ソフトウエア)を生み出すのがハッカソンということだ。
やがてハッカソンはソフト業界以外でも使われるようになってきた。特に、3Dプリンタが手軽に活用できるようになってからは、ハードウエアもその場で作ることが可能になり、それがハッカソンのイメージになっている。つまり、ハードウエアまでを成果物とするのがハッカソンで、アイデアのプレゼンにとどめるのがアイデアソンである。
【メルマガ名変更】メルマガ「イノベーション・イニシアチブ」は6月17日から、
https://mat.lekumo.biz/ppf/innovation.html
に名称変更しました。イノベーション・イニシアチブの情報だけなく、プロジェクト・イニチアチブの情報も提供していく予定です。
引き続き、よろしくお願いします。
プロジェクト&イノベーション発行人 好川哲人
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◆タレント
タレントというと多くの人は芸能人などのテレビタレントを連想するだろう。talentという単語は、才能、手腕、才能のある人、人材といった意味だが、カタカナ英語でタレントというと芸能人だ。
人材分野でタレントという概念が注目されるようになってきた。タレントの概念は大きく分けると2つのニュアンスがある。それは
・特別な才能を持つ人、あるいは特別な才能
・才能
という意味だ。タレントというと芸能人のイメージで前者の方を思い浮かべる人が多いが、人材分野でタレントという場合にはそれぞれの人が持つ才能というニュアンスが強い。
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◆不確実だから計画できない?
前回はプロジェクトとして仕事をすることの重要性について述べたが、
イノベーションは不確実性が高く、計画できない
と思っている人が多いと思う。今回はこの話をしたい。
まず、結論からいえば、計画は必要だ。最近、米国でイノベーション実践のガイドとしてベストセラーになったハイス・ファン・ウルフェンの「The Innovation Expedition」の邦訳「START INNOVATION ! with this visual toolkit.」が登場したが、ハイス・ファン・ウルフェンも情熱や目的、チームワークと並んで、イノベーターの自信とリーダーシップを支えるものとして計画を上げている。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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