« 【イノベーション戦略ノート:041】セレンディピティから生まれるイノベーション | メイン | 【プロジェクトマネジメントをコンセプチュアルにしよう!】第3回 プロジェクトで起こりそうな問題を予測する »

2014年7月22日 (火)

【イノベーション戦略ノート:042】クロスインダストリー・イノベーション

バックナンバー http://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆アディダスのサッカーシューズ

Kurosu

サッカーのワールドカップで、ユニフォームより目立ったのがシューズだ。

かつてアディダスがランニングシューズを開発する際に、素材開発をするために同じような課題を持つ分野、つまり耐久性とコントロールを高めたいと考えている分野を探した。そこで目を付けたのが、ボールが生地に直接当たり、かつ記事がボールのコントロールに影響を与える球技であるサッカーだったという。そうして生まれたのがサッカーでは全世界で人気を誇る「プレデターパルス」だった。

そして、「プレデターパルス」で使われている素材はランニングシューズでも使われている。



◆クロスインダストリー・イノベーション

このようにイノベーションで別の分野で解決方法を見出すことは珍しいことではない。このようなやり方はクロスインダストリー・イノベーションと呼ばれる。

アディダスの事例を見れば、クロスインダストリー・イノベーションは以下のようなステップで行われる。

まず、最初に課題の抽象化である。アディダスのランニングシューズの開発者は、ランニングシューズに対するさまざまな要求を、耐久性があり、コントロール性の高い素材という課題に抽象化した。抽象化は

・顧客価値
・製品の使われ方
・製品の機能

などの視点で行われることが多い。

抽象化して解決策を見出したのちは、アナロジーで自分の分野にそのソリューションを持ってくる。アディダスの例はサッカーシューズで得られら素材のアナロジーでランニングシューズに持ってきたわけだ。

ただし、アナロジーで持ってきた解決策はそのまま適用できるわけではなく、調整が必要なことが多い。アディダスの事例でも、ランニングシューズ用の素材に調整をしている。

クロスインダストリーの例で有名なのは

【イノベーション戦略ノート:024】続・模倣によるイノベーション~ダイソン掃除機

で紹介したダイソン掃除機である。ダイソンの集塵式の掃除機は製材所におがくずの集塵装置のクロスインダストリーだった。


◆クロスインダストリーのメリット

クロスインダストリーには

(1)ソリューションは確実性が高く、リスクを減らすことができる
(2)開発コストを抑えることができる
(3)他社との競合が少なくなる
(4)新しい組み合わせが生まれる可能性が高い
(4)独創的になりやすい

といったメリットがある。特に独創性の点で優れている。


◆生物から学ぶイノベーション

クロスインダストリーという概念は文字通り、別の工業分野のソリューションを使うというイメージであるが、イノベーションの中には生物や自然界の現象を模倣してできたものも少なくない。

扇風機の羽根の形状に、2千キロの距離を移動するアサギマダラと呼ばれるチョウの構造を取り入れた(シャープ)

細かな毛が密集し、さらに1本1本の毛の先端が100~千本にも分かれるヤモリの足裏を模倣した粘着テープ(日東電工)

キリギリスの足を模倣し、自動車部品の摩擦を低減(トヨタ)

クモの糸の構造を模倣して作った糸を作って、ナイロンより高い伸縮と、鋼鉄製の糸の2倍の強度を実現した(スパイバー)

といった例がある。

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2017年9月~2018年3月公開講座(★:開催決定)

PMstyle facebook

Twitterアカウント(PMstyle)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。