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2014年5月

2014年5月30日 (金)

新連載【プロジェクトマネジメントをコンセプチュアルにしよう!】第1回 コンセプチュアルスキルはプロジェクトマネジメントにどう役立つか

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_pm/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆1955年に提唱されたコンセプチュアルスキル

この数年、コンセプチュアルスキル(日本語では概念化スキル)の活動をしてきたが、プロジェクトマネジャーのコンセプチュアルスキルということで少し、整理して情報発信をしてみようと思った。月に1~2回というペースで書いていきたい。

Cpm

コンセプチュアルスキルとは何かというのは一言では言い難いものがあるので、おいおい、いろいろな形でイメージをお伝えしていくことにし、ここでは60年前(1955年)にコンセプチュアルスキルという考え方を提唱したロバーツ・カッツの定義を示すだけにしておく。カッツの定義は

コンセプチュアルスキルとは周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極め、行動するスキル

というものである。

この定義はある程度コンセプチュアルな人であればイメージ的に捉えてあればすっと入ってくると思うが、言葉の定義こだわりだすと、行動的とは何か、概念的とは何か、本質とは何かというあたりで引っかかり、かなり難しい定義である。

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【戦略ノート310】プロジェクトライフサイクルとPI<プロジェクト・イニシアチブ>

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9747307/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Lifecycle◆プロジェクトライフサイクルと目的・目標

プロジェクト活動の中で意外とすっきりしていないのが、ライフサイクルに関する議論である。プロジェクト・イニシアチブを考える場合には、この議論が大切になるので少し整理してみたい。

プロジェクトという概念は、PMBOK(R)では独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務であると定義され、さらに有期性について以下のような解説がされている。

有期性とはプロジェクトには明確な始まりと終わりがあることを示すものである。プロジェクトが終わりとなるのはプロジェクト目標が達成されたとき、もしくは、プロジェクトが中止されたときである。

この定義が悩みの種になることが多い。問題になるのはプロジェクト目標の置き方である。前回、プロジェクトの目的に決め方について述べたが、その目的に照らし合わせて目標が設定される。あるいは、目的と目標を行き来し、調整しながら決められる場合もある。



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2014年5月14日 (水)

【ブックレビュー】レジリエンス ビルディング――「変化に強い」人と組織のつくり方

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ピースマインド・イープ株式会社「レジリエンス ビルディング――「変化に強い」人と組織のつくり方」、英治出版(2014)

※レジリエンス・ビルディングは著者であるピースマインド・イープ株式会社の登録商標です。本記事中でクレジット表示は割愛させて戴きます。

日本でレジリエンスが注目されるようになってきたのは、大震災の後、主に建築物や街のレジリエンスに関心が高まったことがきっかけである。また、震災からの復興において、心理的なレジリエンスにも関心が高まった。

しかし、心理学の分野ではレジリエンスの研究は1970年代から行われており、レジリエンスのトレーニングにおいてもいくつもの方法が確立されている。日本では、21世紀に入ってから職場のメンタルヘルスが深刻な問題になってきた。日本の職場のメンタルの問題の背後には、マネジメントがうまくできず、成果が実感しにくい中で、努力を要求されるという構造的な問題があり、心理学的なアプローチだけでは解消できないと思われるが、それでも一定の効果はあり、多くの企業が取り組むようになってきた。

一方で、メンタルヘルスはある意味で受動的な活動、あるいは、弱みを克服する活動のイメージがあり、メンタルヘルスに時間やコストを割くなら、もっと能動的な活動、強みになるような活動に注力したいと考える企業も出てくる。

そこで、注目されるのがレジリエンスである。この本は、この流れでピースマインド・イープ株式会社がレジリエンスをビジネスとしてどのように展開しているかを紹介した本である。

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2014年5月12日 (月)

【ブックレビュー】失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?

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ジョン・マクスウェル(日暮 雅通訳)「失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?」、ダイヤモンド社(2014)

数あるジョン・マクスウェルの本の中で、一番気に入った一冊。

テーマは「失敗とうまく付き合い、最後に成功する」。どのように失敗すればよいか、そのように失敗を受け止めればよいか、失敗をばねにするにはどうすればよい。

そう、今、もっとも求められているレジリエンスをテーマにした本だ(レジリエンスという言葉は1回も使われていません)。

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2014年5月 7日 (水)

【ブックレビュー】100のボツから1のアイデアを生み出す天才の思考術

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ジェイムズ・バナーマン(山本 雅子訳)「100のボツから1のアイデアを生み出す天才の思考術」、アルファポリス(2014)

非常によくできたクリエイティブシンキングの本。星の数ほどあるクリエイティブシンキングの方法から効果的なものを選定し、応用方法を体系的に説明している。

また、分量は少ないが、思考結果を具体的なアクションに持ち込む方法も述べられている。何よりも素晴らしいのは、この本を活用するという点において、極めてクリエイティブな構成になっていることだ。創造的問題解決の解説書として完成度の高い良書。

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【イノベーション戦略ノート:030】続・技術とイノベーション

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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Gijyutu2◆はじめに

前回、イノベーションと技術の基本的な関係について述べた。その中で、従来のように「技術ありき」からイノベーションを始めるのではなく、生活者の観察により目的ありきからコモディティ化かされた技術によるイノベーションを目指すことが望ましいことを指摘した。ただし、そこでその中で技術開発が必要であれば行うという姿勢が重要であることにも触れた。

今回は、この議論をもう少し深めてみたい。

技術者が生活者(ニーズ)を観察するときに難しいのは、技術というフィルターをす傾向があることだ。おおさげにいえば、技術的に解決しない生活者のニーズは目に入らないといってもよい。この点において、技術的な視点を持たない人はニーズを直視することができるともいえる。

では、技術的な視点を持たない方がよいのかというと否である。ここで問題になるのは、ニーズと「課題」の関係である。

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【イノベーション戦略ノート:029】技術とイノベーション

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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Gijyutu◆イノベーションは技術革新ではない

この数年、ビジネスモデルイノベーションへの関心が高まって、イノベーションと技術の関係について、多少極論ともいるような議論がなされるようになってきた。今回は、技術とイノベーションの関係について改めて考えてみたい。

日本語では、イノベーションという言葉を技術革新と訳してしまったために、イノベーションというと技術革新のことだという批判がある。これは正しい。

企業が行う不断のイノベーションが経済を変動させるという理論を構築したヨーゼフ・シュンペーターは、1912年に刊行した「経済発展の理論」で、イノベーションを新結合と呼んでいた。そして、新結合は、経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することであるとした。この本の中で、シュンペーターはイノベーションとして以下の5つの種類があることを示している。

・新しい財の生産
・新しい生産方式の導入
・新しい販売先の開拓
・新しい仕入先の獲得
・新しい組織の実現

技術に限定したものではない。ただし、時代背景を考えると新方式には新技術が絡んでくると考えてよい。イノベーションと技術革新としたのもそのあたりの背景があると想像でき、今いわれている技術革新だけがイノベーションではないというのとは多少ニュアンスが異なる。

今の時代のイノベーションは、コモディティ化された技術、あるいは部品でこれまでにはなかった新しいものを作り出すことをイメージした議論だからだ。

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2014年5月 2日 (金)

【戦略ノート309】プロジェクトの目的はどのように決めればよいか<プロジェクト・イニシアチブ>

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9747307/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Mokuteki1◆プロジェクトイニシアチブの3つの視座

戦略ノート308でプロジェクト・イニシアチブについて述べたが、プロジェクトイニシアチブのもっとも重要なポイントになるのは、「目的」の決定である。


プロジェクトを行うときには目的が重要であることは常識になりつつある。しかし、目的の定義については十分に成熟しているとはいいがたい。今回はこの問題を考えてみる。

プロジェクトを行うときには、考えるべきステークホルダーが3つある。一つはプロジェクトチームである。二つ目は経営(あるいは戦略)としての目的である。三つめは市場や顧客の視点からの目的である。



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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。