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2013年10月11日 (金)

【コンセプチュアル仕事術】第1話~仕事の本質を捉え、目標やアプローチを決める

Conceptual7◆本質は見えにくい

本質という言葉はよく使われますが、本質をとらえるというのは難しいことです。

理由は2つあるように思います。ひとつは本質は見えにくいことです。よく「問題の本質」という言葉を使いますが、問題の本質は、表面上起こっている問題を引き起こしている問題がより重要な隠れた問題がある言っているわけです。

先日、一年半ほど前に、亀岡で登校中の児童と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込み、計10人がはねられて3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故の高裁の判決が出ました。この事故の原因は運転していた少年の遊び疲れと睡眠不足による居眠り運転で、少年はこともあろうに無免許でした。

この事故の裁判のポイントになったのは、無免許運転でした。一審では、「無免許運転は事故を招いたという点で無関係とはいえないが、因果関係はない」と結論されました。二審では、「1審は事故前の無免許運転の犯情の悪さを過小に評価している」としてより重い刑を科しました。

この事故は表面上の問題は、「遊び疲れて居眠り運転して、多大な被害者を出した」という問題です。しかし、問題の本質がここではないことは明らかです。ある人は無免許運転をしていることが問題の本質だと考えました。ある人は、無免許運転の少年に車を運転させたことが問題の本質だと言いました。また、ある人は、この道路は以前より危険性が指摘されていた道路で対策をしていなかったことが問題の本質だと言いました。

この問題の複雑さは、少年は無免許でありならが、無免許運転の常習で、それなりの運転技能をもっていたということです。だから、一審では無免許運転と事故の因果関係は薄いと判断されました。そう考えると、本質は無免許運転そのものではなく、免許を取る過程で学ぶ、運転に疲れたら休息するといったドライブのマナーの欠如なのかもしれません。

いずれにしても、見えにくいものであることは間違いありません。



◆本質は主観的である

さて、本質をとらえるのが難しい理由の二つ目は、主観であることです。上の福知山の事故の例では、ある人は 問題の本質が無免許運転にあり、別の人は車を使わせたことにあると考えたわけですが、これはいずれも間違いではありません。つまり、本質というのはその人 がその問題をどのように捉えているかという問題なのです。

この点は重要ですので、よく覚えておいてください。


◆本質を見極めるには

さて、仕事を進めるに当たっては、その仕事の本質は何かということをよく考える必要があります。本質を考えるときに有効な質問は、

この仕事は一言でいえばどういう仕事か

という質問です。あるいは、もう少し、具体化して

私たちはこの仕事を通じて「     」を実現したい
私たちはお客様に「     」を届けたい

といった問いを考えてみることも有効です。さらに具体化して、

私たちの仕事は

誰に「   」
何を「   」
どうやって「   」

提供する仕事です

という問いを考えてみるともっと具体的になります。三番目はいわゆる「コンセプト」と言われるもので、本質らしいのは、一番目です。


◆本質を捉えて目標を設定する

そして、本質を捉えた上で、目標を設定し、目標達成のアプローチを決めていきます。

ここで本質が如何に仕事の仕方に影響を与えるかを考えてみましょう。あなたの仕事は研修の講師だったとします。

あなたは自分の仕事の本質を

・受講者にすぐに実践に使える形で知識を与えること

だと考えているとします。すると、内容の理解度の目標を立て、その目標を達成するにはどのような内容の講義をすればよいか、どのように教えればよいか、どのようなコミュニケーションをすればよいかを考えることになるでしょう。

もし、あなたが自分の仕事の本質を

・受講者が抱えている問題を解決する支援をすること

だ と考えていたらどうでしょうか?まず、目標の立て方が違ってきます。この場合の目標の設定は難しいものがありますが、たとえば、80%の受講者が問題解決 のヒントを得るといった目標を設定します。この目標を達成するには、ある程度事前に受講者が抱える問題を把握し、研修の内容を調整することになるでしょ う。


◆本質の捉え方が違えば、目標設定は変わる

このように、同じ活動をしても本質の捉え方が違えば、目標設定やアプローチが違ってくるのがコンセプチュアルな仕事術の特徴です。

さて、ここでもう一度、本質は主観的なものだということを思い出してください。仮に、クライアントから、「実務に役立つ研修をやってくれ」と頼まれているとします。

こ れは実際によくあることなのですが、2つの本質のどちらがより本質的かという判断はできません。つまり、自分は○○がこの仕事の本質であると「思う」ので その方向性でいくと考えるしかありません。それが正しかったかどうかは結果論ですし、そもそも、どちからが正しいかどうかすらわかりません。

私たちが行う仕事の多くはこんなものです。だからこそ、どれだけ深く「本質」を理解できるかが仕事をうまく行うポイントになるわけです。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。