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◆経営者のイノベーション観
これまでに何度か述べてきたように、イノベーションは経営戦略で決めた成長をするための一つの手段である。
日本の企業経営者のイノベーション観は、現場から偶発的に起こるものであって、マネジメントや管理の対象ではないというものが多い。これは、イノベーションに対する見方というよりも、経営そのものが戦略を作ってトップダウンでやるものではないと思っている延長線上にあるイノベーション観だと言ってよい。事実、過去の例を見てもイノベーションは現場のミドルの活躍が欠かせない。これを野中郁次郎先生は「ミドルアップダウン」と呼んでいる。
戦略経営の中でも、ミドルの役割は重要である。ちょっと脱線するが、戦略についての話をしておく。
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◆プロダクトアウトと技術イノベーション
今回から、イノベーションの対象について考えてみたい。
イノベーションというと多くの人が技術(テクノロジー)の革新を思い浮かべる。技術のイノベーションは、研究開発活動によって新しい技術を開発する。そして、その技術を使って実現できることを見つけ出し、それを商品化するという流れで行われる。
この背景には、自社でできる商品を開発して、市場に出していくという企業のあり方がある。いわゆるプロダクトアウトである。プロダクトアウトの勝敗はどれだけ機能、性能的に優れた商品を作れるかにかかっているが、それは企業の技術力に依存する。したがって、技術の研究開発によって企業の技術力を向上させていくことが市場での勝利に直結している。いわゆる技術開発競争である。
◆スポーツではルール変更で痛い目にあってきた日本
日本のスポーツは強くなって、国際ルールが変更になり、まったく勝てなくなったという経験を何度と持つ。よくたとえに出されるのがスキーのジャンプ競技である。ジャンプ競技ではスキー板の長さを決める方法を変えられて、身長の低い日本人は全く勝てなくなった。複合では、ジャンプと距離の点数を変えられ、勝てなくなった。
こんな例がいくつもあるのだが、日本人はルールを決めることに無頓着である。ルールがどう変わっても、その中で最高の成績を出せるようになることに美意識を持つ。まあ、この手の話は政治的な要因が絡むのでそれも一つの考え方だろう。たとえば、こんな話はどうだろうか?
久しぶりのイノベーション・リーダーシップ。今回から少し、イノベーティブ・リーダーの思考法について考えてみたい。思考法という場合、2つの意味合いがある。
一つは文字通り「思考法」で、頭の使い方だ。イノベーティブ・リーダーの代表的な思考法というと、ラテラル・シンキング(水平思考)と呼ばれるものだが、それ以外にもクリティカルシンキングやコンセプチュアルシンキングなども有効である。実は、これらの思考法の体系というのはMECEにはなっておらず、たとえば、前提を疑うという思考様式は3つのいずれでも言われている。そこで、ここでは、これらの思考法の枠を設けずに、思考の原則について述べていく。
もう一つの思考法の意味合いは、リーダーシップの意味合いで、イノベーションを実行する、あるいはイノベーションを推進するリーダーとしてどのように考えるかである。こちらの思考法は、マネジメントの議論であるのでイノベーションマネジメントの連載で取り上げていくこととし、ここでは取り上げない。
◆イノベーティブリーダーの思考様式
さて、イノベーティブリーダーの思考様式としてよく見かけるものを思いつくままに挙げてみると
・前提を疑う
・ルールを変える
・視点を変える
・質問をする
・組み合わせを変える
・失敗を歓迎する
・試して評価する
・アイデアを改良する
・アイデアを増やす
・抽象と具象を考える
といったものがある。
これらについて、説明をしていく予定である(増えたり、減ったするかもしれない)。
【成分】
◆自分は今何のために働いているのか
◆プロジェクトをやろうという覚悟
◆コンピュータの前に盛り塩をし、お祓いをする
◆儀式は不要なのか
◆儀式とチーム
【効用】
・PM体質改善
リーダーシップ発揮、自信をつける、顧客感度アップ、問題解決能力向上、
・PM力向上
ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
モチベーション向上、チームの士気向上
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◆イノベーションの限界
一つは、神戸大学経営学部の三品和弘教授のイノベーションから「リ・インベンション」という文脈。もう一つはいま、世界で注目されるビジネス・シンカーの一人、ダヴ・シードマンがの「WHATからHOW」という文脈。最近、イノベーションの限界説を2つ見かけた。
いずれも限界として指摘しているのは、イノベーションの成果が非常に短期間で優位性をなくしているということ。もちろん、一つのイノベーションの成功に胡坐をかいているわけではない。競合が対抗商品を出すのを横目でみながら、自らもさらにイノベーションを続けていった結果である。
たとえば、ドコモの携帯を考えてみてほしい。ドコモの携帯のイノベーションはすごかった。通話の品質はどんどんよくなり、i-modeという画期的な通信サービスプラットホームも提供した。どころが、アップルからスマートフォンが発売されてからは、あっという間に劣勢になり、ユーザの流出が止まらない。
このことがイノベーションの効率の悪さを物語っている。
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◆イノベーションに必要なもの
イノベーションにはいろいろなものが必要だ。ひらめきも必要なら、前回述べた管理も必要だ。セレンディピティのような偶然性も必要かもしれないし、それこそ、運も必要だろう。
話は脱線するが、イノベーションのためには失敗も必要だ。失敗が必要だと言うことを気楽に考えすぎている人がいる。特に、いま、失敗することが許されない仕事をしている人はことさら、失敗の必要性を説くが、失敗することはそんなに生易しいことではない。失敗すれば落ち込むし、モチベーションを維持することはたいへんだ。第4回でレジリエンスの話をしたが、レジリエンスは不可欠だ。
失敗しようと思えば、リスクをとる必要がある。これもイノベーションには不可欠な要素である。
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このメルマガでは、前提としてイノベーションは組織が取り組むものだと考えている。しかし、現実にはそうではない。人材投資のところで触れたように、イノベーションのための人材を育てるという発想もなければ、イノベーションのマネジメントのための組織プロセスを構築するという発想もない。
イノベーションは「志ある社員」が会社のために頑張ってくれた結果であると考えている経営陣が圧倒的に多い。従って、今年度はイノベーションに取り組もうと言えば経営陣の役割は終わりで、後はマネジャーに任せる。マネジャーもその辺の体温はよく分かっているので、スルーパスして、結果として忙しいので新しいことを考えている余裕はなかったということになる。
一方で、成長戦略をとっている企業では、イノベーションは不可欠である。何度も繰り返しているように、売り上げを上げるには3つの方法しかない。
(1)既存の商品を改良したり、営業を強化する
(2)新しい商品を作る
(3)M&A
現金なもので少し景気が上向いてくると、(1)で成長を目論む企業が増えるが、市場そのものの成長が止まっている成熟した市場では(1)は(2)よりはるかに難しい。なので、結局、イノベーションの取り組むしかない。改めて自分たちの活動を振り返ってみてほしいのだが、実は忙しいというのは(1)で忙しい。市場が成熟していると成果が出にくくなるので、余計に忙しくなる。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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