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2012年3月

2012年3月30日 (金)

【補助線】プロジェクトにおける洞察と創造

Insight2◆あるプロジェクトの要件定義

あるプロジェクトでの話。要件定義の取りまとめに、ユーザがあまり協力的ではない。あなたがプロジェクトマネジャーなら、どういう対応をするだろうか?

このケースで問われるのは、顧客が何を考えてそのような行動をとっているかを洞察する力である。では、どうすれば洞察できるのか?

ユーザと話し合いをしてみる。ユーザはユーザ部門と取り纏めているマネジャーだ。

ベンダ:もう少し対応時間をとってほしいのですが
ユーザ:今は、四半期のラストスパートで忙しいので、難しいですね
ベンダ:それが終われば対応できますか
ユーザ:ほかにも急ぎの仕事はあるので、確約は難しいです
ベンダ:協力してもらうために、我々が何かお力になれることはありますか
ユーザ:どういう協力が必要なんですか
ベンダ:時間をとって、必要なことについて一緒に検討して貰えるとありがたいのですが
ユーザ:であれば、担当者の業務を見て貰えば分かるのではないかと思いますが。

といった感じで話がかみ合わない。どうすればよいのだろうか?

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2012年3月29日 (木)

【10周年】メルマガ上で持論作りを体験する(最終回)

Jiron◆メルマガ上で持論作りを体験する(自論を語り、洗練する)

前回は、コツを誰の経験から掴んだのかというところまで来ました。今回は、持論を語ることについてです。

まず、今回の体験で書いたコツをすでに人に話をされている場合には、

・誰に
・どのような場面で
・どのように語ったか

を思い出してみてください。今回初めてリストを作った人は、作ったリストを

・誰に
・どのような場面で
・どのように実例を語るか

を考えてみてください。

そして、それを書き出してみましょう。その際に、前回、考えました、それが誰の言葉で、どのような経験を通じて得られたものかも折り込んでみましょう。

僕は研修のインストラクションのコツで

・違和感を与える

について考えてみます。

受講生はインストラクターが話をしていることは正しいと思い込んでいます。冗談までノートに書くという笑い話があるくらいです。ところが、話は考えながら呑み込んでもらわないと、自分の血や肉にはなりません。ある日、行動分析学の本を読んでいたら、違和感の話が出てきて、これだと思いました。そして、さっそく試してみたところ、格段に発言が増えることが分かり、これは重要なコツだと思うに至りました。

もう少し、具体的に書いてもいいと思いますが、まあ、こんなところです。書き出したものを読んでみて、最初に書いたコツ(持論)はそのままでいいかを考えてみてください。必要に応じてブラッシュアップしてみましょう。

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2012年3月28日 (水)

【10周年】メルマガ上で持論作りを体験する(2)

Jiron◆メルマガ上で持論作りを体験する(どのようにコツを習得したかを思い出す)

前回は、あなたの得意なことについて、コツをリストして戴きました。手元に残っていますか?

僕は研修のインストラクションのコツを考えました。

・問いかける
・動き回る(受講生の中に入っていく)
・違和感を与える

の3つでした。

いくつか問い合わせがありました。もし、書けなかった人は、ここで改めて考えてみましょう。

まず、得意なことはないという人がいらっしゃいました。人と比較する必要はありません。上には上があるものです。自分が得意だと思えば、そのことについて考えてみましょう。

もう一つ、コツが分からないという方がいらっしゃいました。まさに、ここの言語化が持論の肝なのですが、ここではとりあえず、初心者に聞かれたら、どう答えるかを考えてみてください。きっと何か、見つかるのではないかと思います。

さて、今回は、それぞれのコツについて、どうしてそれをコツだと気づいたかを振り返ってみましょう。自分の具体的な経験、あるいは、他の誰かを観察した経験を思い出してみてください。それを、それぞれのコツの右に書いて行ってください。

僕の場合ですが、

・問いかける
・違和感を与える

の2つは自分がインストラクションの経験の中で大切だと思ったものです。また、

・動き回る(受講生の中に入っていく)

というのは、受講していたセミナーで、インストラクターと受講者の様子を見ていて大切だと気づいたものです。


それからもうひとつ、コツとして書いたことは、誰の言葉を参考にしていますか。これも、コツの下に書き出してみてください。自分の言葉、その分野で尊敬する人の言葉、それに関する本、などいろいろとあるでしょう。

僕の場合ですが、

・問いかける

というのは自分で考えた言葉です。

・違和感を与える

は、行動分析学の本で見つけた言葉です。それから、

・動き回る(受講生の中に入っていく)

というのは受講したセミナーのインストラクターに教えてもらった言葉です。

今回はここまでにします。次回をお楽しみに。なお、書き出した紙は次回まで、必ず保管しておいてくださいね!

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【10周年】メルマガ上で持論作りを体験する(1)

Jiron◆メルマガ上で持論作りを体験する(コツをリストアップする)

これから何回かかけて、そのプロセスをメルマガ上で体験していただきましょう。僕もお付き合いしながら、進めていくことにします。

まず、ノートか、紙と筆記用具を準備してください。パソコンやスマートフォンでもいいです。

次に、あなたが得意なことを一つ、頭に思い浮かべてください。必ずしも、仕事である必要はありません。おいしいカレーを作るとか、ナンバーズを当てるとか、なんでも結構です。それを、紙であれば、上部に大きめにタイトル的に書き出してください。

僕は研修のインストラクションを考えてみます。

書けたら、タイトルの下にそれをうまくやるコツを箇条書きにしてください。。

僕の場合ですと、

・問いかける
・動き回る(受講生の中に入っていく)
・違和感を与える

の3つです。

今回はここまでにします。次回をお楽しみに。なお、書き出した紙は次回まで、必ず保管しておいてくださいね!

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2012年3月27日 (火)

【PM2.0事始め】第19回ゲートコントロールの目的と実際

Fa◆機能しないデシジョンゲート

前回はプロジェクトマネジメントにおける意志決定のイメージを共有するために、リスクマネジメントに焦点をあて、意志決定をするとはどういうことかを説明した。今回は、前々回のライフサイクルにおける意志決定の議論に戻る。

意志決定の観点から重要なことはデシジョンゲートであることは、前々回に述べたとおりだ。ゲートと意志決定の関係をもう一度、整理しておく。ゲートとは意志決定が適切に行われているかどうかは判断するものであり、ゲート通過時点で必要な意志決定が行われていない、あるいは不適切であると判断すれば、プロジェクトはストップして意志決定を行わなくてはならない。

従来、プロジェクトの運用においては、(プロジェクト)マネジメントより作業が重視されてきた。ほとんどの管理は、作業の(品質)管理として行われ、全体のマネジメントは行われてこなかった。その名残は今でもある。それが、ゲートの位置づけである。

ゲートがゲートとして機能していない。これがいろいろな弊害を生んでいる。

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【戦略ノート282】プレイングマネジャーとしてのプロジェクトマネジャー

Manager1◆新しい管理職のあり方

慶應大学大学院の教授、高橋俊介さんが、新しい管理職のあり方という提言をしている。それは、中堅(45歳くらい)を迎えるプロフェッショナルに、管理職と同じ権限を与え、その活動を支援する。そして、必要に応じて、管理職の役割を分解して、負わせる。たとえば、若手の指導育成の役割を求める。一方で、管理職の仕事の中で、メンタルヘルス、コンプライアンス、ダイバーシティ、キャリア支援などについては、社内プロフェッショナルに任せるといったものだ。(「プロフェッショナルの働き方」、PHP出版、2012)

そして、組織としてみれば、意欲のある中堅社員に権限を与え、プロフェッショナルに育てていくマネジャーの存在。この2つが両輪となると指摘する。

このモデルは、まさに(組織的)プロジェクトマネジメントのあるべき姿を示している。マネジャーはプロジェクトスポンサー。プロフェッショナルなプレイングマネジャーがプロジェクトマネジャーである。

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2012年3月23日 (金)

【10周年】特別インタビュー「プロジェクトの経験から学ぶ」(第1回)~リフレクションとは

Circle10周年記念セミナーのセッション4にリフレクションをテーマにしたワークショップが準備されています。体験から学ぶことは、PM養成マガジンが創刊からずっとテーマとしてきたことで、その意味で、このセッションには特別な想いがあります。

そこで、ワークショップをやっていただくLLCチーム経営 パートナーの嶋田 至さんにリフレクションについてお話を聞く機会を作っていただきました。嶋田さんのプロフィールはこちらにあります。

今回から、数回かけて、お届けしたいと思います。今回は、まず、イントロダクションです。



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2012年3月14日 (水)

【補助線】持論について考える(後)

(前半)持論について考える(前)Jiron

◆持論の使い方と効用(3)~成長の糧にする

三つ目は、持論を糧にしてプロジェクトマネジャーとして成長していくことだ。持論を持つことによって、持論を適用してみて、その結果に基づいて、自分のやり方を振り返ることができる。もちろん、持論がなくても振り返ることはできるが、持論により振り返りの焦点が絞られる。重要なことは、多くのプロジェクトマネジャーの持論というのは、プロジェクトの結果に大きな影響を持つポイントを中心にしていることだ。たとえば、プロジェクトマネジャーにプロジェクトを成功させる「コツ」はなんですか?と聞いたら、どうでもよいことなど出てこないだろう。その人が、自分なりにここさえ押さえておけば大丈夫というポイントが出てくる。

つまり、持論を持ち、持論を中心に振り返りを行うことより、プロジェクトを成功させる方法を合理的に習得することができる。言い換えると、戦略的に成長できるのだ。この振り返りは内省と呼ばれるが、内省を誘発し、かつ、内省の結果を整理する役割を果たすのが持論である。そして、持論の成長とともに、プロジェクトマネジャーとして成長していくといってもよい。

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2012年3月13日 (火)

【MOT入門】第1回 技術とは

◆プロジェクトと技術

Techど んなプロジェクトでも、プロジェクト(プログラム)の成功要因には、ビジネスマネジメントの側面とプロジェクト(プログラム)マネジメントの側面がある。 技術を付加価値の源泉にしている、言い換えると、技術により稼いでいる企業においては、ビジネスの側面で圧倒的に重要なのは「技術」である。技術のマネジ メントが適正に行われない限り、適正な収益を実現しているとは言い難い。

一方で、現場を見ると、プロジェクトにおいて技術に関する明確な方針がなく、過去の経緯や、プロジェクトメンバーの保有技術、あるいは技術的な流行だけで適用技術が決められていたりすることは珍しいことではない。

本 来、技術の問題はプロジェクトや部門で考えるべき問題ではなく、事業部、あるいは全社レベルで考える問題であるが、現実にそのようなマネジメントを行って いる企業は少ない。その中で、現実的な対応をするためにはプロジェクトリーダーは技術マネジメントに関する見識を持ち、プロジェクトマネジメント、あるい は組織的プロジェクトのマネジメントの一環として実践していくことが大切である。

具体的な実践の場は、プロジェクトのシナリオ作成が考えられる。プロジェクトシナリオを作る際にシナリオの中に技術要素を入れ込み、プロジェクトの技術的方向性に対して組織としてのコンセンサスを作っていくことが望ましい。

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【補助線】持論について考える(前)

Jiron3◆標準とは

みなさんならマネジメントにおける「標準」とは何?と聞かれたら、なんと答えるだろうか?簡単そうで、多面性があり、意外と難しい。その中の一つは、

そのとおりにやればうまく行く方法論やプロセス

というものである。

組織がプロジェクトマネジメントの標準を決めるということは、標準に従ってプロジェクトマネジメントを行って、プロジェクトがうまく行かない場合には組織が責任を持つという意味である。ただし、一足飛びにそのような標準を定めることができないので、そこで、標準を実践しながら、問題を見つけ出し、改善しながら、プロジェクトの成功の度合いを高めていく。このような活動を成熟度の向上と呼ぶ。

標準が成熟していないとき、つまり、うまくいく確率がそんなに高くない場合に、プロジェクトマネジャーはどのように対応すればよいのだろうか?プロジェクトをうまく進めるために不十分なところは、自分で決めながら進めることが必要だ。標準をこのように活用すればうまく行くという自分なりの方法を持つことが必要になる。

組織によってはプロジェクトマネジメントの標準が存在しない場合もある。そのような場合には、すべてのやり方を自分で決め、自分なりの方法を確立する必要がある。

いずれにしても、プロジェクトマネジャーは置かれた状況で、プロジェクトの進め方、あるいは、プロジェクトマネジメントの方法について、自分なりに「こうすればうまくいく」という方法論を持たなくてはならない。多くのプロジェクトマネジャーは頭の中にぼんやりとそのような考えを持っているが、それを形式化、文書化したものが持論である。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。