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2011年5月

2011年5月31日 (火)

【戦略ノート255】プロジェクトの上位管理者考(2)~現場力と組織力

◆売り手市場と現場力

前回は、上位管理者の役割が混乱しているという話をしたが、今回はこの問題の背景を考えてみたい。

日本企業の強みの一つは間違いなく、「現場力」である。類まれともいえる現場力で成長してきた。ここで一つ、はっきりしておかなくてはならないのは、その間、売り手市場だったということだ。売り手市場ではよいものを作れば売れる。おまけに日本の高度成長期は規制による横並びの市場だった。言ってしまえば統制経済に近かったので、本当の意味での競争もなかった。このような環境であれば現場力が強いと全体が回っていく。

現場力が強みという話が怪しくなってきたのは、市場も成熟し、いわゆるバブルもはじけ、モノ余りが言われるようになってからである。

ここで多くの企業が考えたのは、モノが売れないのは、良いモノを作る力が落ちている、つまり現場力の低下だと考えた。品質、リードタイム、コスト、・・・

そこで、より一層の現場力向上をしようとした。その一つの施策がプロジェクトマネジメントである。この判断自体が間違いだとは思わないが、そのあとの方向性で致命的なミスをしている。それは、現場力を直接上げようとしたことだ。

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2011年5月30日 (月)

サプリ269:リーダーシップとして計画を作る

具体的な計画に裏付けられた明確な見通しがあれば、大いに自信が持てるし、力もわいてくる(ブライン・トレーシー、コンサルタント)

【成分】

◆プロジェクト計画を作る目的
◆多くの人が確信のない計画を作っている
◆デスマーチ
◆ビジョンは万能ではない
◆リーダーシップとしての計画

 

 

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2011年5月27日 (金)

【戦略ノート254】プロジェクトの上位管理者考(1)~混乱を極めるその役割

◆混沌を極めるプロジェクト上位管理者の役割

プロジェクトマネジメントはなんとか形になってきた組織が多いが、プロジェクトの上位管理者の役割や機能については、まだまだ、混沌としている企業が圧倒的に多い。大きな理由は2つあるように思う。

一つは、責任分担が不明確なことである。もう一つは、上位管理者がプロジェクトマネジメント(ロール)をあまり理解していないことである。このスレッドでは、プロジェクトの上位管理者の役割や機能を整理してみたい。戦略ノートでは、2008年に176回から8回かけて、一度、この議論をした。しかし、消化不良の部分もあり、また、当時とは考え方も変わっているので、異なる枠組みで改めて、議論をしてみたいと思っている。

第174回(2008.01.29)
組織が行うべきプロジェクトマネジメント(1)~責任のフレームワーク

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2011年5月23日 (月)

PMO2.0のためのパフォーマンスコンサルティング入門(2)~パフォーマンスコンサルティングと研修の違い

◆パフォーマンスコンサルティングの背景

前回は、パフォーマンスコンサルティングのさわりと、PMOがパフォーマンスコンサルティングを展開せよという主張をした。さっそく、いくつかのクライアント企業、特に研修をやらせていただいている企業でも話題になった。facebookでも何人からかコメントをもらった。大枠では共感するところが多かったようである。

ただ、この議論で研修との比較にどうしてこだわるかという意見もあった。確かに日本の現場の優秀さは研修による育成の成果とは言い難い部分がある。いわゆる「人創り」と呼ばれる現場密着型の活動で優秀な人材を育ててきたという過去がある。

これは的を得た指摘であるし、欧米でパフォーマンスコンサルティングという発想が出てきた背景の一つはそこにあると著者も考えている。しかし、そういう時代ではなくなったということだ。

一言でいえばそういう時代ではなくなった。最大の原因は成果主義だろう。二番目はリストラ。成果主義では仕事の中で人を育てるのは難しい。ただでさえ難しいのに、加えて人を減らしており、人を育てる余裕もない。

そのような経営環境では、人を育てるのはトレーニングに頼るしかない。しかし、前回も述べたように単純にトレーニングをしても人は育たない。ここが「パフォーマンスコンサルティング必要論」のスタート地点である。そして、パフォーマンスコンサルティングは人を育てることによりパフォーマンス上の問題を解決する方法である。

したがって、「いや、違う。まだ、うちの会社では、仕事の中で人を育てながら、かつ、競争力を持つ(=成果を出す)ことができている」という組織であれば、パフォーマンスコンサルティングなど必要はないし、本音を言えばそれが望ましい姿であるとも思う。

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2011年5月20日 (金)

【戦略ノート253】場としてのプロジェクト(2)~ユーザエクスペリエンス

◆10年間使い続けることのできる情報システムは作れるか?

前回、商品開発にしろ、ITにしろ、顧客がもう少し、積極的な参加を望むようになってきた。その中で、プロジェクトマネジメントはどうあるべきかを考える必要があるというところまで話しが進んだ。これから、少し、個別の領域でどうあるべきかを議論していきたいと思っている。まずは、著者がこの議論を考えるきっかけになったITの分野から。

ITの分野でこの問題意識を持ったのは実はもう20年以上前である。きっかけは、あるコンピュータメーカのユーザシンポジウムで、偶然、聞いたGMSのの情報部門の人の話。おそらく、コンピュータメーカのSI部門に対する要望として、「システムの開発はせいぜい1年だが、我々はそのシステムを10年間使い続けることになる。そのことを意識して対応をしてほしい」という趣旨のものだった。もっともな話なのだが、その話を聞いた瞬間に思ったのは無理だということだった。

たとえば、NCマシンを調達し、10年どころか、15年、20年使うということは珍しくない。ところが、10年間使える情報システムの基盤というのは想像できない。自社のビジネスにおける位置づけが違うからだ。もし、10年間使えるとしたら、情報システムの作りの問題ではなく、その企業のビジネスシステムやビジネスモデルがよほど卓越しているからだろう。実際に、その後、償却期間の設定も短くなり、情報システムのライフサイクルは短くなってきた。

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サプリ268:農耕型のプロジェクトマネジメントを目指す

もはや、「狩猟型」の経営では生き残れない。これからは、「農耕型」経営の時代だ(高井尚之、ジャーナリスト)

【成分】

◆狩猟型から農耕型へ
◆アップルの農耕型経営
◆農耕型経営の中でのプロジェクトマネジメントのポイント(1)
◆農耕型経営の中でのプロジェクトマネジメントのポイント(2)
◆農耕型プロジェクトマネジメントは人を育てながら成果を得る 

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2011年5月14日 (土)

サプリ267:組織の視点のコミュニケーションを行う

コミュニケーションの議論の大半は、個人が仕事の効率化を図ったり信頼を勝ち取るためのコミュニケーションであって、組織はという視点に立ったものはほとんどない
(清水勝彦、慶応大学大学院教授)

【成分】

◆コミュニケーションを良くする、、、何のために?
◆コミュニケーションマネジメントは組織視点のコミュニケーションのマネジメント
◆組織レベルでのコミュニケーションの目的
◆コミュニケーションの役割を定義する
◆組織的コミュニケーションの視点

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サプリ266:制約にとらわれない

制約を足かせにしない
(ディナ・シーリグ、スタンフォード大学STVPエグゼクティブ・ディレクター)

【成分】

◆5ドルを元手に、2時間で稼ぐ方法
◆一番稼いだチームは5ドルを使わなかった
◆プロジェクトマネジメントにとって制約の持つ意味
◆制約で本質を見失っていないか?
◆制約に取られないことと、制約を守らないことは違う
◆リフレーミングする
◆計画作業をきちんと行う
◆問題をチャンスにかえる

 

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サプリ265:問題にふたをしない

問題にふたをしても、問題が消えるわけではない
              (富永浩義、株式会社ハミングバード、代表取締役)

【成分】

◆会議の開始時間に遅れないようにするには
◆プロジェクト関連で問題にふたをしているケース
◆プロジェクトは短期勝負なので、本質的な問題は解決できない
◆ふたをした問題が新しい問題を引き起こす
◆問題のとらえ方

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サプリ264:ビジネス以外の問題に時間をかける

ビジネスで最も難しく時間のかかる問題はビジネスの問題ではない
       (マイケル・プライス、イリノイ州立大学経営学客員教授)

【成分】

◆ビジネスの試みは、人的要因で面倒なことになる
◆ITプロジェクトの上流工程問題の正体
◆プロジェクトの2つの顔
◆マネジメントにはビジネスよりコストがかかる
◆マネジメントにビジネス以上の時間がかけるとは

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。