【戦略ノート255】プロジェクトの上位管理者考(2)~現場力と組織力
◆売り手市場と現場力
前回は、上位管理者の役割が混乱しているという話をしたが、今回はこの問題の背景を考えてみたい。
日本企業の強みの一つは間違いなく、「現場力」である。類まれともいえる現場力で成長してきた。ここで一つ、はっきりしておかなくてはならないのは、その間、売り手市場だったということだ。売り手市場ではよいものを作れば売れる。おまけに日本の高度成長期は規制による横並びの市場だった。言ってしまえば統制経済に近かったので、本当の意味での競争もなかった。このような環境であれば現場力が強いと全体が回っていく。
現場力が強みという話が怪しくなってきたのは、市場も成熟し、いわゆるバブルもはじけ、モノ余りが言われるようになってからである。
ここで多くの企業が考えたのは、モノが売れないのは、良いモノを作る力が落ちている、つまり現場力の低下だと考えた。品質、リードタイム、コスト、・・・
そこで、より一層の現場力向上をしようとした。その一つの施策がプロジェクトマネジメントである。この判断自体が間違いだとは思わないが、そのあとの方向性で致命的なミスをしている。それは、現場力を直接上げようとしたことだ。
最近のコメント