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2007年11月16日 (金)

PMサプリ100:意志の力

エネルギーと集中力の背後にある意志の力、これこそがモチベーションよりも決定的に重要だ(ザンクト・ガレン大学教授 ハイケ・ブルック、ロンドン・ビジネススクール教授 スマントラ・ゴシャール)

・PM体質改善
  PM体質の全般に対して効果があります
・PM力向上
  PM力向上の全般に対して効果があります
・トラブル緩和
  弱気克服

◆はじめに

今回でサプリも100回を迎えました。約2年間継続していることになります。基本的な記事の作り方としては、皆様に覚えておいてほしいメッセージを紹介し、その「プロジェクトマネジメント的解釈」を自分の経験に基づいて紹介するというスタイルをとっています。狙いは、コンピテンシーの強化です。

まだ、スムーズに立ち上がっていませんが、スキル強化の道具箱と両輪で今後も継続していきたいと思っていますので、今後もよろしくお願いいたします。

それでは、100錠目のサプリをお届します。

◆究極のサプリ「意志の力」

これまで、いろいろなサプリを提供してきたが、「究極のサプリ」は「意志の力」というサプリではないかと思う。意志力は、ハイケ・ブルックとスマントラ・ゴシャールが言い出した言葉である。

彼らが意志の力に注目し始めた理由はある意味で明快である。

企業のマネジャーの多くは、目標達成のために、スキルもある。自分に与えられた職務にも十分に満足している。そして、組織のために役立ちたいと思っている。

◆なぜ、目標が達成できないのか

しかし、実際には目標達成ができない。なぜだろう。

このようなマネジャーは、目標達成ができない理由から2つのタイプに分かれるというのが、ハイケ・ブルック&スマントラ・ゴシャールの指摘である。

ひとつのタイプは一生懸命やっているのだが成果の上がらない人。このタイプの人の特徴は

・毎日行うおびただしい量の仕事に気を奪われている
・エネルギッシュであるにもかかわらず、集中力に欠ける
・必死で、性急である

といったようなものだ。もう一つのタイプは、物事を先延ばしするタイプの人。このようなタイプの人の特徴は

・エネルギーも集中力もかける
・プロジェクトにとって本当に重要な仕事をぐずぐずと先延ばしにする
・不安定で、失敗を恐れる

といったものだ。

◆プロジェクトマネジャーに見られる現象

プロジェクトマネジャーにとってもこれは極めて重要な指摘だ。成果を上げることのできないプロジェクトマネジャーはやはり、このどちらかのタイプの人が多い。

前者はとにかく、自分の席にいることが珍しいくらい、顧客、上司、関係者とのうち合わせに飛び回っている。メンバーに任せればよい仕事まで首を突っ込むのだから、いくら時間があっても足らないくらいの仕事を抱える。ところが、ひとつひとつをみるとうまくいっているかというと、中途半端なのだ。それゆえに、ますます仕事が増えてしまっている。その理由は、ほかにもやることがあるというので、集中してその仕事に取り組まず、中途半端なところでメンバーに任せてしまうからだ。じっくりと腰を落ちけてやることができない。関西弁でいえば「イラチ」なのだ。

後者のタイプはとにかく優柔不断が問題だ。組織や企業に貢献したいという思いが却って決定を難しくしている。そのために、先延ばしにする。これはプロジェクトにとっては最悪の行動である。この典型的な問題が、スケジュールが遅れた時の対応だ。無理が続いてメンバーは明らかにつかれている。少し、ゆるめた方がよい。ゆるめないと、どんどんパフォーマンスは落ちるだろうし、品質の問題も出てくる。最悪はダウンしてしまう。

それがわかっていてもメンバーダウンするとか、何か契機がないとなかなか行動に移せない。こんな人は多い。

◆目標達成のために必要なアクション~意図を持ち、コミットする

いずれの人も、パターンを脱するには、ひとつひとつの仕事に対して、明確な意図を頭に思い浮かべ、意図を持って実行していくことが重要である。たとえば、スコープを決めるとしよう。その際に、自分としてこうしたいという明確な意図を持つ。そして、自分の意図にコミットする。この際に重要なことは、意図は自分の素直な思いと異なることがある。たとえば、顧客満足を考えると不本意ながらも機能追加をせざるを得ないとしよう。このような場合にも、意図にコミットすることが必要だ。

このためには、目標に対する思考と、目標に対する感情を一致させるようなマネジメントが必要だ。平たくいえば、不本意な目標であっても、その目標に自分がコミットしたいという感情を見つける。お客さんに好感を持っていてなんとか力になりたいという感情でもいいし、自分は難しい状況を乗り越えることに快感を感じるという感情でもいい。状況を肯定できる感情を見つけ、思考と合致させることは大切である。これにより、格段にその仕事に集中でき、最後までやりぬくことができるだろう。

◆意志の力

これが意志の力である。

難しいのは、マネジャーにしろ、プロジェクトマネジャーにしろ、それをチームとして引き起こさなくてはならないことだ。つまり、自分が自分の仕事に没頭するだけではなく、チームも同じような状況していなくてはならないことだ。

これも意志の力である。チームとしての目標を同じように位置付けていく。そして、チームで共有する感情を目標に対して肯定的にしていく。ある意味で、集団信仰のような話であるが、ここに突っ込んていく必要がある。

モチベーションでは解決しない状況も意志の力によって解決することができるだろう。自分自身も、チームとしても意志の力をコントロールできるようなプロジェクトマネジャーになりたいものだ。

    (2007年11月15日 PM養成マガジンプロフェッショナルより抜粋)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。