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2007年8月

2007年8月24日 (金)

PMサプリ89:前提を疑う

最良の前提は、ありふれた信念はすべて間違っているというものだ(DEC社CEO、ケン・オルセン)

【効用】
・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、顧客感度アップ、リスク管理力アップ、現象観察力アップ
・PM力向上
  ピープルマネジメント力向上、ステークホルダをコントロールする力の向上、
  チームをまとめる力の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気高揚

【成分】

◆「家庭内でコンピュータが求められる理由はどこにもない」?!
◆前提への過信が大きなトラブルを招く
◆すべての人が異なる前提を持っている可能性がある
◆前提を十分に検討する

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2007年8月20日 (月)

【補助線】前提条件を合意する

プロジェクトが満たすべき前提条件
https://mat.lekumo.biz/ppf/2007/07/post_ee2b.html

の続き。プロジェクトが満たしているべき前提条件が実は満たされていなくて、プロジェクトでひどい目にあったことがある人は多いと思う。しかし、意外なことに多くの人は、同じ過ちを繰り返す傾向がある。

なぜだろうか?

はっきりしているのは、「問題はなかったことにしよう」という態度だ。

 問題はなかったことにしよう
  https://mat.lekumo.biz/ppf/2007/06/post_3fc7.html

プロジェクトが満たすべき前提条件で述べたように、前提条件の崩壊の多くはプロジェクト環境の問題である。つまり、本来、整備されているべき環境が整備されていない。社内調整ができていない、ベンダーとの調整ができていない、顧客との調整ができていない、などなど。

これらはいずれもかなり本質的な問題である。言い換えると、組織にとって「大問題」なのだ。にも関わらず、組織としての問題はなかったことにし、「プロジェクトマネジャー」の問題として済ませてしまう。しらっとして

 「弊社の問題の一つはプロジェクトマネジャーのコミュニケーション能力不足です!」

などといっているわけだ。

例えば、社内で特定の人材のプロジェクト配置の調整がつかないという事態が、プロジェクトマネジャーのコミュニケーションの方法で解消するはずがないことくらいすぐにわかる。というより、そういっているプロジェクトマネジャーの上司自身、そんなことはよくわかっているのだ。ところが、プロジェクトの前提条件の崩壊の原因というのはパンドラの箱だ。あけてはならないのだ。それで「コミュニケーションの悪いプロマネ」という犠牲者が作られるのだ。

では、このような問題に対して、プロジェクトマネジャーはどう対応すればよいのか?

 前提条件を明確にし、上司(プロジェクトスポンサー)と合意する。

これしかない。

2007年8月17日 (金)

PMサプリ88:先ず「覚悟」を示せ

管理職はその能力を示す前に、先ず「覚悟」を示せ(生島誠士郎・元リクルート常務)

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、顧客説得力アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
  チームをまとめる力の向上、ステークホルダをコントロールする力の向上、
  リスク対応力向上、プロ意識の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、プロジェクトにおける辛さの克服

【成分】

◆能力に部下がついてくる期間は短い
◆プロジェクトマネジャーにまず求められるのは「覚悟」
◆管理者の覚悟が部下に伝染する
◆覚悟はコンビニでは売っていない

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2007年8月14日 (火)

【補助線】PMBOKはハコモノ、PMOが魂を入れる

◆PMOブーム!?

PMI東京事務局の永谷裕子さんに聞いた話だが、永谷さんがJUAS(日本情報システムユーザ協会)で初めてPMOのセミナーをやったところ、あっという間に100名の応募があったそうだ。

この話を聞いてもそんなにびっくりしないくらい、PMOへの関心は高まっている。PMstyleでも昨年からPMOリーダー養成講座というPMOスタッフ育成の体系的講座(全6回)をやっていBume る。今年4月からの第4期ではほとんどのセッションが満席になっている。

◆米国のある企業@1996

なぜ、こんなにPMOが注目されるようになってきたのだろうか?プロジェクトマネジメントは米国から10年遅れているといわれる。「プロジェクト的な性格を持つ業務の管理方法の唯一解がプロジェクトマネジメントだ」というのは少し違うと思うので、これがそのまま「プロジェクトのマネジメント」が遅れていることと意味しないが、「モダンプロジェクトマネジメント」ということであれば、10年以上だと思う。僕はちょうど、1996年は米国の企業と一緒に仕事をしていたが、今のSI企業と較べると、たぶん、その企業のプロジェクトマネジメントの方が進んでように思う。

この会社にはかなりしっかりとしたPMO組織があった。プロジェクトマネジメントのオーナーシップを持つだけではなく、プロジェクトへの支援活動も実践的なもので、我々のプロジェクトもずいぶん助けられた。特に、米国の拠点にプロジェクト本体があって、日本にも部隊がいるようなバーチャルチームだったが、チームのコミュニケーションの支援はまさに、「プロフェッショナルの業」だったような印象がある。

◆定着に10年かかる

実は最近、PMOの仕事をするようになって、改めて、この企業のPMOマネジャーとコンタクトをしていていろいろなことがわかったが、設立は80年代前半だそうだ。10年くらいはうまく機能しなかったそうだ。ただ、うまく行きだしたら、加速的にうまくいくようになったそうで、このあたりは定着化の話としてたいへん、興味深い。

さて、日本の企業はプロジェクトマネジメントに関心を持つようになってきて、まず、何をやったかというと多くの会社がPMBOKの導入を行った。そして、多くの企業がうまく行かずに苦しんでいる。理由ははっきりしている。PMBOKというのは多くの企業がやっていることを標準化したものだが、その背後にはPMBOKそのものではあまりフォーカスされていないプロジェクトマネジメントの推進体制というのがある。

◆PMBOKはハコモノ、PMOで魂を入れる?

つまり、多くの企業は「ハコモノ」としてPMBOKを入れている。まあ、ハコモノを入れて、後で中身をつめていくというのは日本型マネジメントの特技だといえるので、失敗だとは言い切れないが、あまり感心したことではない。

それはそうとして、我々がPMBOKの導入コンサルティングをやったクライアントのPMOは例外なく、「これだけのことはできないし、プロジェクトマネジャーにやれとも言えない。できる範囲でやればいいよね」という。できなくて当たり前である。プロジェクトマネジャーにやらせることを前提にしているからだ。もちろん、PMOとしても何らかの支援はしなくてはならないと考えるが、そもそも、前提が間違っている。

PMBOKはプロジェクトマネジャーのやることを示したものではない。プロジェクトマネジメントとしてすべきことを示したものだ。

PMBOKを採用する、しないに関わらず、プロジェクトマネジメントはプロジェクトマネジャーだけがやるものではないことに多くの企業が気がついてきた。そこで、とりあえず、PMOを作ってプロジェクトマネジメントの一端を担うようにし始めた。ハコモノにやっと少し、中身ができてきたわけだが、これが、今、PMOが注目されている理由である。

2007年8月10日 (金)

PMサプリ87:リスク管理と危機管理

リスク管理は事故を未然に防止する「予防安全の行動」である(石橋明ヒューマンファクター研究所)

【効用】
・PM体質改善
  問題解決能力向上、リスク管理力アップ、バランス感覚の洗練
・PM力向上
  リスク対応力向上
・トラブル緩和
  チームの士気向上

【成分】
◆リスク管理は予防行動、危機管理は事後行動
◆なぜ、大きなトラブルはなくならないのか?~あるシニアマネジャーの指摘
◆リスク管理と危機管理のバランスが重要

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2007年8月 7日 (火)

【補助線】「万人の万人による戦い」は不要か?

学習院大学の内野崇先生の著書「変革のマネジメント」の中に次のような指摘がある。

組織における階層、ルール、ならびに、ルーチン等によって人間は自然状態における「万人の万人による戦い」をまぬがれ(内外のリスクを回避)、その時々の状況および偶発性のみに左右される意思決定を行うことが可能になります

表現が難しいが、難しいことを言っているわけではない。要するに、組織の階層がなかったり、あるいはルールがなければ、組織の成員はすべてのことを全部自分で処理し、問題を解決しなくてはならないが、組織階層やルールによってこれが回避され、節目のところだけをマネジメントしておけば済むようになっているというのが内野先生の言われていることだ。

これは、組織に標準を導入する最も本質的な目的である。

ところが、必ずしも、これを良しとしない文化がある組織が多い。組織も、その成員も、「万人の万人による戦い」をしなくては気がすまないのだ。これはルールに限らず、ものづくりなどでも同じような文化があることが多い。原理的な部分から検証していかないと気がすまない。「使えるものは使う」というのは最終手段であって、できるだけ自力で作ってみる。したがって、恐ろしく時間がかかる。

ただし、これを非効率的だといって否定するというのは少し、違う。トップダウンですべてをものごとを動かしていく覚悟であれば、それでもよいが、このやり方を否定するとボトムアップ力が弱ってくる。つまりは足腰が弱ってくるのだ。

バブル経済の時代にこのようなやり方を否定してきた。ちょうど、今、否定してきたツケが回ってきている時代だと思うが、やはり、機運としては、もう一度、再構築する必要があるという認識が強い。

ちょっと河岸を変えて、ITの世界に目を移すと、この議論は米国でパッケージソフトウエアが登場してきた80年代から延々と続いている。パッケージを使うか、一から作るかという議論だ。この議論にしても、一から作る、あるいはカスタマイズをすることへの非難めいた意見の矢面に立ちながら、カスタマイズをすることをやめようという気配はない。

この議論の本質は、何を目的にしているかにある。米国人にとってはソフトウエアは単なる道具である。問題は道具を使ってどのくらいの付加価値を生むかにあると考えている。

しかし、日本人は「使いこなす」ことを目的にしている。神は細部に宿るという発想があるのだ。つまり、細部にこだわらない限り、価値創造はできないと思っている。この違いはどちらが正しいという次元の違いではない。両方ともそれで成果をあげているからだ。

マネジメントでも同じだ。神は細部に宿ると考えている人は多い。そのような人は、標準に乗っかることは良しとしない。というよりも、「万人の万人による戦い」によって初めて価値創造ができると考えているのだ。

あなたはどう思いますか?

2007年8月 6日 (月)

【補助線】チェンジモンスター

今日はちょっと軽めの話題。

松本人志の初監督作品「大日本人」を見られた方は多いと思う。ビジネスの世界にも、怪獣とその怪獣の退治方法を書いた本がある。

ジーニー・ダックが書いた「チェンジモンスター」にチェンジモンスターという本だ。変革を実現しようとしたときに、抵抗する、新しい動きをぶち壊すといった「活躍」をするモンスターの退治方法を書いた本だ。日本語でいえば、さしむき、「抵抗勢力」といったところだろう。

パロディーではないが、プロジェクトマネジメントの導入、定着化をするときに登場してくるチェンジモンスターの行動を整理してみた。

Monster PMOがプロジェクトに対して、支援、指導をしようとしたときに、こんなチェンジモンスターに出会うことはないだろうか?ちなみに、ジーニー・ダックはボスコンのコンサルタント(出版当時)。論理的なアプローチの一方で、感情的・心理的なアプローチもしなくては変革は成し遂げられないということなのだろう。

■タコツボドン
得意技:自分の担当を超えた視野を持つことを拒否し,「よそ者」の関与を否定する
叫び声:「プロジェクトマネジメント自体がプロジェクトの仕事ではない」、「標準を使えというご忠告はありがたいですが、我々もプロジェクトの成功を第一に検討してみますので、後はお任せください」

■ウチムキング
得意技:社内で何が評価されるかを重視し,顧客等の外部ではなく社内にすべての行動の焦点をあわせ,社内外のズレに目を閉ざす
叫び声:「顧客はいろいろと言っていますが、社内の雰囲気は悪くないし、協力的ですので、このままでうまく行きます!」

■カコボオウレイ
得意技:従来のやり方はどんなに効率が悪くても中止をできない,決断できない
叫び声:「これまでのやり方で、うまくやってきたのだから、直すべきところは直し、このやり方でやるほうが顧客も社内も安心だよ」

■ミザル・キカザル・イワザル
得意技:3匹セットになって,見ざる,聞かざる,言わざるを通し,嵐が過ぎるのを首をすくめてやり過ごす
叫び声:「また、PMOが新しい仕組みを作ろうとしているけど、どうせ今回もまた掛け声だけだ。しばらくすれば、忘れてしまう。動くだけ損に決まっている。様子見だ」

■ノラクラ
得意技:様々な言い訳を使いあの手この手で変革を回避しようとする
叫び声:「顧客の進捗を管理するというのは前例がない。前例のないやり方をすると、社内も顧客も混乱するだけだ。それで協力を得られなくなったらどうする。百歩譲って、社内や顧客が受け入れるとしても、うちのプロジェクトは人手がたりない」

■マンテン
得意技:すべての可能性をリスクを潰して100点満点の報告書がないと動き出せず,結局,具体的なアクションは取れない,あるいは遅れてしかとれない
叫び声:「本当にリスクはこれだけだろうか?まだ検討不足じゃないだろうか?プロジェクト開始前にもう少しじっくり検討しなくては!」、「この計画で絶対に失敗しないといえるだろうか?やるからにはパーフェクトでなければ!」

■カイケツゼロ
得意技:課題の指摘やできない理由の説明は巧みだが,解決策の提言は出せない
叫び声:「協力会社以外からのリソースの調達は何度も検討したが無理なんです。その理由は5つあって...」

【参考資料】
モンスター名は「チェンジモンスター―なぜ改革は挫折してしまうのか? 」が出典。
得意技は「チェンジモンスター―なぜ改革は挫折してしまうのか? 」を一部編集。

2007年8月 3日 (金)

PMサプリ86:メンバーシップ

リーダーシップからメンバーシップへ(チームハックス、大橋悦夫&佐々木正悟)

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、リーダーシップ発揮、アナロジー思考力アップ
・PM力向上
  ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

◆ストレスフリーの原則はチームに管理してもらうこと
◆従来の進捗報告に足らないもの
◆学習機会としての進捗ミーティング
◆チームビルディングの事例

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。