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2006年11月 6日 (月)

プロジェクトという箱から出よう

プロジェクトマネージャー養成マガジンの次の書籍読者プレゼントは

アービンジャー・インスティチュート(金森 重樹監訳、富永星訳)「自分の小さな「箱」から脱出する方法

の予定だ。自分の箱に閉じこもって、箱に外にいろいろと影響をするようなリーダーシップでは本質的な問題解決にならず、自ら箱の外に出て、影響を与えていくようなリーダーシップと、そのためには、問題の原因はすべて自分にあるという考え方が重要であるということをストーリー形式で書いた本である。

この本の指摘はプロジェクトマネジメントにとって非常に有益である。プロジェクトマネジメントではしばしば、チームビルディングなどでチームに視点が偏りすぎるために、ついつい、箱の中からプロジェクトステークホルダに対応することが多い。極端な場合には、本来、プロジェクトチームに片足入っているはずのプロジェクトスポンサーすら、箱の外から影響を与えようとすることが多い。

これによって、箱の外で付き合えば味方になるステークホルダを敵に回しているようなケースがおおいのだ。

さらに、チーム内でもプロジェクトチームの中でも、プロジェクトマネジャーが箱の中にいてプロジェクトメンバーを動かしているケースが多い。この背景には、スコープ区分やWBSによって分業をしていることと無関係ではない。

分業をして責任範囲を明確にし、その上でチームが一丸となってプロジェクト目標をクリアしていこうという一見矛盾する考え方であるが、この矛盾をとく鍵が「箱から出ること」にあるのではないかと思う。

箱から出る鍵は、自己原因性(Personal Causation)にある。自分原因説を唱える人も少なくないが、これだ。

プロジェクトチームとステークホルダの間、チームメンバー間、チームメンバーとプロジェクトマネジャー間、いずれも、責任転嫁の嵐が吹き荒れているプロジェクトが多い。しかし、責任転嫁は何も生み出さない。問題を先送りするだけである。

例えば、顧客が忙しくて対応してくれない。「顧客が悪いのだから仕方ない」というのは簡単だ。しかし、それでプロジェクトの状況が変わるかというと決してよくならない。

こんなときには、まず、自分たちに顧客が対応してくれない理由がないのかと考えてみる。これはSIのプロジェクトで実際にあった話だが、ベンダーの担当者を好きになれないので、忙しさにかまけてついつい対応が遅れるというようなことだってあるのだ。

ステークホルダとの問題においてはプロジェクト側に原因がある、メンバー間においては自分に問題があるという視点を持ってプロジェクトを進めていくと、格段にパフォーマンスはあがるだろう。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。