« 2006年6月 | メイン | 2006年8月 »

2006年7月

2006年7月31日 (月)

続・プロジェクト監査を理解しよう

前回のコラムでは監査の必要な理由と、プロジェクトマネジメントにおける監査の意義を説明した。

 http://mat.lekumo.biz/pmstyle/2006/07/post_5080.html

今回は、もう少し、プロジェクト監査について深く考えてみたい。その前に、少し、監査の基本を整理しておく。

◆監査の主体者

監査の定義は前回述べたが、監査には3つの主体がある。監査依頼者、被監査者、および、監査人(監査員)である。前回述べたように、監査の公正さはこの3つが独立し、健全な関係にあった初めて担保される。これらの言葉は以下のように定義される。

 監査依頼者:監査を要請する組織、または人
 被監査者:監査される組織(プロジェクト)
 監査人:監査を行う力量を持った人

Audit2 ◆誰が誰を監査するか

上のような主体があるときに、監査の種類は誰が誰を監査するかで、第一者監査(いわゆる内部監査)、第二者監査、第三者監査に分けることができる。

第一者監査は内部監査を呼ばれるもので、組織内で独立した監査チームが組織の他部門を監査するものである。ビジネスの中で実施されるプロジェクトの監査はほとんど内部監査になる。

第二者監査、第三者監査はいずれも独立した組織が他の独立した組織を監査する。

第二者の場合には発注者が同組織である。例えば、SIのプロジェクトで委任契約先の活動を発注者が監査することがあるが、これは第二者監査である。

第三者監査は依頼者が外部の監査人に依頼して、組織内の被監査者の監査を行うケースである。このようなケースはビジネスの中では珍しいが、公的性格のプロジェクトではよくあるケースだ。

◆何を監査するのか

監査の内容は大雑把にいえば、2つある。

一つ得られたパフォーマンス(実績)が妥当なものかどうかをチェックする監査である。これが前回述べたコンプライアンスの監査であり、定められた基準に合致しているかどうかが問題にされる。当然、合致していない場合には、不適合となる。パフォーマンスでよく問題になるのは、はやり、変更をめぐるものである。

例えば、15%のスケジュール遅れが発生したら、シニアマネジャーに分析と改善計画を報告するという変更管理ルールを決めていても、結局の正しく実行されないといったケースだ。これは、監査としては比較的分かりやすい。

もう一つはプロジェクトマネジメントシステムが妥当なものであり、それが適切に運営されているかどうかをチェックするものである。

これはシステム監査という呼び方をされることが多い。こちらは若干分かりにくい。システム監査の立場からは、上の問題は必ずしも不適合であるとは断定できない。そのような事実(データ・ログ)が発見された場合、その是正として、バリアンスの大きさに関係なく、1ヶ月に一度、シニアマネジャーに対して報告をするというコミュニケーション計画を追加したとし、この措置によるこの問題は繰り返し起こらないと判断されるので、不適合とは判断されない。逆に、これでもまだ、同じ問題が起こるだろうと判断されれば不適合だと判断される。

◆プロジェクトマネジメントにおける監査の必要性

というインプットの元で、もう一度、プロジェクトマネジメントの監査の必要性について考えてみる。

プロジェクトマネジメントの標準化の最も難しい点は、その標準を導入してもプロジェクトが成功するとは限らないことだ。プロジェクトマネジメントというのは本質的にそのような位置づけにある。プロジェクトの成功を保証するものではないが、やらないよりはやった方がよい。これが基本的な位置づけである。

このような位置づけからすると、パフォーマンス監査は必ずしも重要ではない。むしろ、システム監査を通じて標準の評価とマネジメントの改善をしていく。そこに最も重要な意味があるといえる。

続・プロジェクト監査の必要性

前回のコラムでは監査の必要な理由と、プロジェクトマネジメントにおける監査の意義を説明した。今回は、もう少し、プロジェクト監査について深く考えてみたい。その前に、少し、言葉の整理をしておく。

◆監査の主体者

監査の定義は前回述べたが、監査には3つの主体がある。監査依頼者、被監査者、および、監査人(監査員)である。前回述べたように、監査の公正さはこの3つが独立し、健全な関係にあった初めて担保される。これらの言葉は以下のように定義される。

 監査依頼者:監査を要請する組織、または人
 被監査者:監査される組織(プロジェクト)
 監査人:監査を行う力量を持った人

◆誰が誰を監査するか

上のような主体があるときに、監査の種類は誰が誰を監査するかで、第一者監査(いわゆる内部監査)、第二者監査、第三者監査に分けることができる。

第一者監査は内部監査を呼ばれるもので、組織内で独立した監査チームが組織の他部門を監査するものである。ビジネスの中で実施されるプロジェクトの監査はほとんど内部監査になる。

第二者監査、第三者監査はいずれも独立した組織が他の独立した組織を監査する。第二者の場合には発注者が同組織である。例えば、SIのプロジェクトで委任契約先の活動を発注者が監査することがあるが、これは第二者監査である。第三者監査は依頼者が外部の監査人に依頼して、組織内の被監査者の監査を行うケースである。このようなケースはビジネスの中では珍しいが、公的性格のプロジェクトではよくあるケースだ。

◆何を監査するのか

監査の内容は大雑把にいえば、2つある。

一つ得られたパフォーマンス(実績)が妥当なものかどうかをチェックする監査である。これが前回述べたコンプライアンスの監査であり、定められた基準に合致しているかどうかが問題にされる。当然、合致していない場合には、不適合となる。パフォーマンスでよく問題になるのは、はやり、変更をめぐるものである。例えば、15%のスケジュール遅れが発生したら、シニアマネジャーに分析と改善計画を報告するという変更管理ルールを決めていても、結局の正しく実行されないといったケースだ。これは、監査としては比較的分かりやすい。

もう一つはプロジェクトマネジメントシステムが妥当なものであり、それが適切に運営されているかどうかをチェックするものである。これはシステム監査という呼び方をされることが多い。こちらは若干分かりにくい。システム監査の立場からは、上の問題は必ずしも不適合であるとは断定できない。そのような事実(データ・ログ)が発見された場合、その是正として、バリアンスの大きさに関係なく、1ヶ月に一度、シニアマネジャーに対して報告をするというコミュニケーション計画を追加したとし、この措置によるこの問題は繰り返し起こらないと判断されるので、不適合とは判断されない。逆に、これでもまだ、同じ問題が起こるだろうと判断されれば不適合だと判断される。

◆プロジェクトマネジメントにおける監査の必要性

というインプットの元で、もう一度、プロジェクトマネジメントの監査の必要性について考えてみる。

プロジェクトマネジメントの標準化の最も難しい点は、その標準を導入してもプロジェクトが成功するとは限らないことだ。プロジェクトマネジメントというのは本質的にそのような位置づけにある。プロジェクトの成功を保証するものではないが、やらないよりはやった方がよい。これが基本的な位置づけである。

このような位置づけからすると、パフォーマンス監査は必ずしも重要ではない。むしろ、システム監査を通じて標準の評価とマネジメントの改善をしていく。そこに最も重要な意味があるといえる。

2006年7月29日 (土)

PMがうまく行けば問題は解決する!?

SIビジネスをめぐるエンジニアの劣悪な業務状況は、失敗プロジェクトで発生している。

それゆえに、プロジェクトマネジメントがうまく機能し、プロジェクトが成功させることが問題解決の方法である。

この仮説は本当に正しいのだろうか?

2006年7月28日 (金)

ソフトウエアビジネス

僕は、30台の頃、京都でソフトウエアエンジニアリングの研究をしている研究所で仕事をしていたことがある。このときに、ソフトウエアエンジニアリング環境の開発プロジェクトで一緒に仕事をした在京の中堅ソフトウエア会社の知人ができた。

彼はその成果を活用して独立して、生産性を売りにしたソフトウエア開発会社を作った。僕は頼まれて顧問(アドバイザー)に就任した。

最初の5年くらいは順調だった。社員も毎年、1~3名ずつだが増えて、5年目には3億円くらいの売り上げができる企業になった。基本的に外注はせずに、エンジニア10名ほどでこの売り上げを記録していた。いわゆる人月計算でいくと、1人年間3000万円なので、月250万円である。今と較べれば、SEサービスの単価は1.5~2倍の時代なのだが、それでも結構な数字である。

もちろん、顧客の理解があってのことだが、そんなにはったりの営業をする男ではなく、正味、生産性が高かったのだ。ただ、ソフトウエア生産技術の研究開発を自らがリードし、その半端ではない費用を使っており、そんなに利益率は高くなかった(僕の報酬もその枠から出ていた)。

6年目くらいからしばらく、踊り場に差し掛かった。そして、8年目を迎えたときに、改めて、10年目に向けた事業規模拡大のコンサルティングの依頼を受けた。彼の計画は研究開発費を人件費に回し、大幅に人を増やし、売り上げを10億に持ていくことだった。

彼とはクライアントというよりも友人に近かったので、かなり、真剣に議論し、結果として依頼を断り、顧問も辞任した。

その後、2年くらいの間に40名以上の人を採用し、10年目には総勢で50名近くなった。外注も積極的に活用し、売り上げは10億が見えるところまで行った。コンサルを断ったことで、多少疎遠になっていたが、結構、羽振りがよく、とてもよい場所にオフィスを構え、高級外車を乗り回しているといううわさを聞いた。

この会社が今、どうなっているかはあえて触れない。彼とのつきあいは復活している。

今週の東洋経済でSEの業務環境の悪化の問題を経営的視点から取り扱っている。富士通だの、日本電気だのといった大きな企業は問題の本質が見えにくいが、結局、この友人と同じ構図があるだけではないかと思う。

同じ号で、トヨタの品質危機の特集をやっているのはなかなか心憎い編集だが、そのトヨタのワールドクラスの品質の生みの親である大野耐一氏の言葉。

   「やりやすい」を動機にするな

2006年7月27日 (木)

行動はもう十分

なんだかんだといって、3~4年前に較べると、プロジェクトマネジャーは行動するようになってきたと思う。

PM養成マガジンは、ひたすら、行動すること、行動する能力を高めることに焦点を当てて活動をしてきた。

このような状況の中で、ある大手企業の人材開発マネジャーと話をしていて、プロジェクトマネジャーの育成には何が必要なのだろうか?と改めて考える機会があった。

もっと行動が必要なのか、あるいは、行動は十分で省察することが必要なのか?

別の言い方をすれば、行動する能力を高めるべきなのか、既存の行動について省察する能力を高めるべきなのだろうか?

上の人材開発マネジャーと話をしている中で感じたのは、組織の目的とマネジャーの育成が混乱しているのではないかということだった。

組織の目的は常に行動をすることである。これは間違いない。

しかし、今、プロジェクトマネジャー育成の目的は「行動の質を高めること」に移りつつあるのだと思う。

みんな十分に行動をしているのだ。しかし、必ずしも十分に結果がでない。空回りしてしまう。

この問題意識が芽生えたのは2年くらい前である。それ以来、ずっとPM養成マガジンとしてどういうスタンスで行こうかと迷っている。

少なくとも、社内標準があってそれなりに従っているとか、PMPの資格をとって自分なりにシステマティックな方法で取り組んでいるといった人は、もう十分に行動をしていると考えてよい。問題は行動の質だ。しかし、そこで、立ち止まっている人が非常に多い。

しかし、PM養成マガジンの読者にはそうではなく、まだまだ、行動する能力を身につける必要のある人も多い。この辺が悩ましいところ。PM養成マガジンもブログ化もさることながら、読者を再定義しなおす時期に来ているのかもしれない。

この悩みはしばらく続きそう。

2006年7月25日 (火)

久々によく売れた本

先週の金曜日の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」で紹介したこの本が昨日までに12冊売れた。

D・クイン・ミルズ(アークコミュニケーションズ監修、スコフィールド・素子訳)
        「ハーバード流マネジメント「入門」
  http://mat.lekumo.biz/books/2006/07/post_da81.html

最近、紹介した本で、1回で10冊以上売れた本は珍しい。こういう内容に興味を持っている人が多いことが分かったのは、収穫。

本音のところ、マネジメントセンスのないPMが多すぎる。そんなPMにプロジェクトマネジメント手法を教えるというのはナンセンス。「猫に小判」ならまだいいが、「〇〇〇〇に刃物」になりかねない。

メルマガ記事、読んでいない人もいると思うので、もう一度、掲載しておく。

 ~マネジメントの原理を学ぼう~

プロジェクトマネジメントには独自の世界がある。しかし、プロジェクトマネジメントの本質は間違いなく「マネジメント」である。

PMBOKを勉強してもプロジェクトマネジメントのコアであるマネジメントのことは分からないし、また、多くのPMセミナーでも同様だ。

しかし、マネジメントはPMにとって中核になるものである。なんとかして身に付けたい。が、マネジメント本でテクニックを学んでみても始まらない。経営学の本は本質に迫れるのだが、難しい。

この本を読もう。原題は「Principles of Management」である。マネジメントの原理が誰にでも読めるよう易しく書かれている。まさに、プロジェクトマネジャーが自分のコアになるマネジメントスキルを身につけるにもってこいの一冊だ!

【補助線】組織の不条理

コンサルタント「プロジェクトマネジャーにどのくらい権限を与えていますか」

部長「プロジェクト実行に関するすべての権限を与えています」

コンサルタント「すべてとは?」

部長「決済された予算の使い方、マイルストーンを実現するスケジュールの組み立て、調達の仕方などです」

コンサルタント「責任は?」

部長「もちろん、全責任はプロジェクトマネジャーにあります」

コンサルタント「何の全責任ですか」

部長「予算内で納期に間に合うように求めている成果物を作ることです」

コンサルタント「プロジェクトに対する部長の責任はなんですか」

部長「プロジェクトマネジャーを指導することです」

コンサルタント「部長がプロジェクトマネジャーの立場なら、その権限でその責任を果たせると思えますか」

部長「果たせる思えるとすれば、組織の意味がないじゃないですか。それはプロジェクトでもないと理解しています。果たせないと思えることをなんとかして果たすから組織なんです」

Fin

2006年7月24日 (月)

【補助線】プロジェクトマネジメント監査を理解しよう

◆プロジェクトマネジメントにおけるコンプライアンス

米国のプロジェクトマネジメントの本を読んでいると「コンプライアンス」という言葉がよく出てくる(ちなみに、PMBOKにはコンプライアンスという概念は今のところない)。

この言葉は、一般的な用語としては法令遵守などの企業倫理という意味で使われるが、プロジェクトマネジメントの中では多少異なるニュアンスでも使われる(もちろん、企業倫理という意味でも使われるが)。

異なるニュアンスとは、「標準」などの組織内のプロジェクトマネジメントに関するルール遵守という意味で使われる。

◆監査

Audit1 少し話が飛ぶが、コンプライアンスの基盤になるのは「監査」活動である。会計監査、システム監査、環境監査、技術監査、システム監査、セキュリティ監査、品質監査、プロジェクト監査など、いろいろなものに対して適用される活動である。

監査論の定番書である八田先生の

 「監査論を学ぶ」
  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4495169734/opc-22/ref=nosim

によると監査は

=====
監査とは経済活動と経済事象についての主張と確立された基準との合致の程度を確かめるために、これらの主張に関する証拠を客観的に収集・評価するとともに、その結果を利害関係をもつ利用者に伝達する体系的な過程である
=====

と定義されている。監査というと会計というイメージがあるが、経済活動、経済事象の捉え方によっては、ビジネスの活動はすべて監査の対象になるといってもよい。

では、どうして監査が必要になるのだろうか?

これにはいくつかのポイントが言われているが、最も基本であり重要なものが

 「利害の対立」

である。

例えば、企業と株主の場合、情報(決算書)をめぐって利害の対立が発生する可能性がある。利益が多くなれば配当を多くせざるを得ないからだ(もちろん、これを対立にするかどうかはマネジメントの問題だが、本質的な対立要素を含んでいる)。そこで、発信側としては、できるだけ利益を少なく発信したい。粉飾決算といった一線を踏み越える組織も出てくる。

このように、情報の発信者(この場合企業)と受信者(この場合株主)の間に情報をめぐる利害の対立の可能性がある場合には、「第三者」が入って監査を実施し、その情報が適切なものかどうかを明らかにされる必要がある。これが監査の必要性であり、組織として発信する情報の健全性を確保することがコンプライアンスだといってよい。

◆プロジェクト監査とは

さて、このような基本的な枠組みを理解した上で、プロジェクトにおける監査というものについて考えてみたい。まず、この監査の枠組みになぞらえると、プロジェクトの場合は誰が情報発信者で、誰が情報受信者なのか。

 情報発信者=プロジェクト(プロジェクトマネジャー)

は分かりやすい。問題は情報受信者である。情報受信者として真っ先に出てくるのは

 情報受信者=プロジェクトの成果物を受け取る顧客(社内外)

ということになると思われる。また、エグゼクティブも情報受信者になるだろう。微妙なのは、上位組織のマネジャー(ラインでプロジェクトを行うならラインマネジャー)である。上位組織のマネジャーは多くの場合、プロジェクトスポンサーになることが多い。

 ラインマネジャーはプロジェクトスポンサー
  http://pmos.jp/pmstyle/pmcoe/pmcoe4.html

従って、プロジェクトチームに片足突っ込んだ存在であるし、スポンサーとしてプロジェクトに対して何らかの統制を行うことも可能である。しかし、実際にはここが情報受信者になっているケースが多い。これはプロジェクトマネジメントの問題点の一つである。これについてはまた、いずれ触れる。

◆監査がプロジェクトマネジメントを成功させる

そのような環境の中で、プロジェクト監査は、プロジェクトマネジメントの状況を第三者的に分析する。その視点はいくつかある。

まず、最初は冒頭に述べたコンプライアンスの視点である。つまり、組織の標準として定められたとおりの手順、基準、ルール、ツールに従って計画が作られているか、進捗が報告されているかといった点である。また、マネジメント判断の中で、メトリクスが遵守されているかどうかも問題になる。ここを担保しなくては監査活動は成立しない。

その上で、プロジェクトマネジメント成果物(計画や進捗ドキュメント)が公正なものであるかどうかである。つまり、進捗報告が規則どおりに行われ、かつ、内容に虚偽がないかどうかをチェックする。

ここが担保されないとプロジェクトマネジメントはできない。プロジェクトの「前提条件」の一つは、プロジェクト作業の担当者が「正しく」にプロジェクトマネジャーに状況を報告し、また、プロジェクトマネジャーが「正しく」に上位マネジャーにプロジェクトの状況を報告することである。この前提条件も監査では分析視点になる。

これで、形式的な健全性は保証されたことになる。この先は標準化がどれだけ進んでいるかによって変わる。標準化の究極の姿は標準手法、ツール、ルール、メトリクスなどに準じて進めていれば健全性が保証されることである。品質など、特定に分野においてはこの形は実現されつつある。

しかし、マネジメント全般になると少し、難しい部分がある。そこで、ある程度、マネジメントの内容に踏み込んだ視点からプロジェクトマネジメントの健全性のチェックが行われるようになる。

プロジェクト監査の必要性

◆プロジェクトマネジメントにおけるコンプライアンス

米国のプロジェクトマネジメントの本を読んでいると「コンプライアンス」という言葉がよく出てくる(ちなみに、PMBOKにはコンプライアンスという概念は今のところない)。この言葉は、一般的な用語としては法令遵守などの企業倫理という意味で使われるが、プロジェクトマネジメントの中では多少異なるニュアンスでも使われる(もちろん、企業倫理という意味でも使われるが)。

異なるニュアンスとは、「標準」などの組織内のプロジェクトマネジメントに関するルール遵守という意味で使われる。

◆監査

少し話が飛ぶが、コンプライアンスの基盤になるのは「監査」活動である。会計監査、システム監査、環境監査、技術監査、システム監査、セキュリティ監査、品質監査、プロジェクト監査など、いろいろなものに対して適用される活動である。

監査論の定番書である八田先生の

 「監査論を学ぶ」
  www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4495169734/opc-22/ref=nosim

によると監査は

=====
監査とは経済活動と経済事象についての主張と確立された基準との合致の程度を確かめるために、これらの主張に関する証拠を客観的に収集・評価するとともに、その結果を利害関係をもつ利用者に伝達する体系的な過程である
=====

と定義されている。監査というと会計というイメージがあるが、経済活動、経済事象の捉え方によっては、ビジネスの活動はすべて監査の対象になるといってもよい。

では、どうして監査が必要になるのだろうか?

これにはいくつかのポイントが言われているが、最も基本であり重要なものが
 「利害の対立」
である。例えば、企業と株主の場合、情報(決算書)をめぐって利害の対立が発生する可能性がある。利益が多くなれば配当を多くせざるを得ないからだ(もちろん、これを対立にするかどうかはマネジメントの問題だが、本質的な対立要素を含んでいる)。そこで、発信側としては、できるだけ利益を少なく発信したい。そこで粉飾決算といった一線を踏み越える組織も出てくる。
このように、情報の発信者(この場合企業)と受信者(この場合株主)の間に情報をめぐる利害の対立の可能性がある場合には、「第三者」が入って監査を実施し、その情報が適切なものかどうかを明らかにされる必要がある。これが監査の必要性であり、組織として発信する情報の健全性を確保することがコンプライアンスだといってよい。

◆プロジェクト監査とは

さて、このような基本的な枠組みを理解した上で、プロジェクトにおける監査というものについて考えてみたい。まず、この監査の枠組みになぞらえると、プロジェクトの場合は誰が情報発信者で、誰が情報受信者なのか。

 情報発信者=プロジェクト(プロジェクトマネジャー)

は分かりやすい。問題は情報受信者である。情報受信者として真っ先に出てくるのは

 情報受信者=プロジェクトの成果物を受け取る顧客(社内外)

ということになると思われる。また、エグゼクティブも情報受信者になるだろう。微妙なのは、上位組織のマネジャー(ラインでプロジェクトを行うならラインマネジャー)である。上位組織のマネジャーは多くの場合、プロジェクトスポンサーになることが多い。

 ラインマネジャーはプロジェクトスポンサー
  http://pmos.jp/pmstyle/pmcoe/pmcoe4.html

従って、プロジェクトチームに片足突っ込んだ存在であるし、スポンサーとしてプロジェクトに対して何らかの統制を行うことも可能である。しかし、実際にはここが情報受信者になっているケースが多い。これはプロジェクトマネジメントの問題点の一つである。これについてはまた、いずれ触れる。

◆監査がプロジェクトマネジメントを成功させる

そのような環境の中で、プロジェクト監査は、プロジェクトマネジメントの状況を第三者的に分析する。その視点はいくつかある。

まず、最初は冒頭に述べたコンプライアンスの視点である。つまり、組織の標準として定められたとおりの手順、基準、ルール、ツールに従って計画が作られているか、進捗が報告されているかといった点である。また、マネジメント判断の中で、メトリクスが遵守されているかどうかも問題になる。ここを担保しなくては監査活動は成立しない。

その上で、プロジェクトマネジメント成果物(計画や進捗ドキュメント)が公正なものであるかどうかである。つまり、進捗報告が規則どおりに行われ、かつ、内容に虚偽がないかどうかをチェックする。

ここが担保されないとプロジェクトマネジメントはできない。プロジェクトの「前提条件」の一つは、プロジェクト作業の担当者が「正しく」にプロジェクトマネジャーに状況を報告し、また、プロジェクトマネジャーが「正しく」に上位マネジャーにプロジェクトの状況を報告することである。この前提条件も監査では分析視点になる。

これで、形式的な健全性は保証されたことになる。この先は標準化がどれだけ進んでいるかによって変わる。標準化の究極の姿は標準手法、ツール、ルール、メトリクスなどに準じて進めていれば健全性が保証されることである。品質など、特定に分野においてはこの形は実現されつつある。しかし、マネジメント全般になると少し、難しい部分がある。そこで、ある程度、マネジメントの内容に踏み込んだ視点からプロジェクトマネジメントの健全性のチェックが行われるようになる。

2006年7月23日 (日)

PM養成マガジンブログを始めました

今年に入ってからもう、3~4年読んでいるメールマガジンが立て続けに廃刊になった。内容の質が落ちているわけではない。どちらかというと、唐突な感のある廃刊。

プロジェクトマネジャー養成マガジンもそうだが、ビジネス系の人気メールマガジンは軒並み、読者数が減ってきている。

飽きたとかそういう側面もあると思うが、いろいろなメルマガの読者の一人として感じていることは、やっぱり、これだけスパムが増えてくるともういいという感じはある。組織として、メルマガドメインのメールの着信拒否を始めたところも少なくない。

メルマガにはメルマガのよさがあると思うので、当面、廃刊するつもりはないが、選択肢は必要だと思う。それで、ブログを作った。

今までも、ブログはいろいろと試みているが、メルマガの名称をつけたブログは初めて。メルマガにはすでにバックナンバーの収録サイト「プロジェクトマネジメントOS本舗」がある。これをブログ化することも考えたが、ちょっと違うと思って今のところやめた。ブログはやっぱりアーカイブには適さないと思ったから。

そんなところで、実際のところ、どのような形でメルマガとブログを共存できるかよくわからないが、とりあえず、始めた。当面は、メルマガでかけなかったことを書くようなイメージになるかもしれない。

ぜひ、読者の皆様からもアイディアを戴きたい!

PMstyle 2月~3月公開講座(★:開催決定)

PMstyle facebook

Twitterアカウント(PMstyle)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。