◆プロジェクトをどう評価するか
こんな状況を考えてみてほしい。
ITベンダーS社は、5%ほどの利益を見込んである案件を受注した。技術的には枯れている分野でS社のスキルも十分で、技術リスクは少ない。ところが、開発に入ってから、顧客からの追加要求があり、対応しているうちに、利益は最終的には1%まで低下。
プロジェクトチームでは、要員のアサインができず、既存メンバーで対応したために、メンバーは軒並み、残業、休日出勤でダウン寸前。かろうじて最後まで、持ちこたえ、納期はクリアした。
一応、顧客要求には応えた格好になっており、顧客はその点については評価する一方で、ベンダーの要件開発の能力を問題を指摘しており、100%満足していない。
このプロジェクトをどう評価すればよいのだろうか?いくつか、考えられる評価を書き出してみる。
・赤字が出ていないのだから成功
・5%の収益を見込んだのに1%だから失敗とはいえないまでも、成功とはいえない
・こんな案件をするくらいなら、別の案件をすべきだった
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どれが正しい評価は分からない。S社の経営状況や戦略により、評価は変わる。たとえば、S社は仕事の確保に困っており、リストラを考えなくてはならないような経営状況だとすれば、このプロジェクトは食い扶持を稼ぎ、かつ、「1%もの」収益を上げたのだから、大成功だといえる。
たとえば、S社は仕事には困っておらず、収益力の向上を戦略として掲げているなら、黒字が出ていても失敗である。あるいは顧客満足の向上を戦略に掲げているのであれば、微妙である。